「遊んでいるだけの女に用はない」と追放された令嬢——彼女が設計した『遊び』がなくなった日、騎士団の子供たちは剣を抜いた
食堂に血の匂いが広がった——と、後にヘルムートの手紙は書いていた。
私はその場にいなかった。けれど手紙を読んだとき、匂いまで伝わってきた。子弟寮の食堂の、あの冷たい石壁に染みついた血と鉄の匂いが。
夕食の鐘が鳴ってまだ五分も経っていなかった。トーマスが向かいに座っていた年下の子供の顔面を、スープ皿ごと叩き殴ったのだ。
陶器が割れる甲高い音。スープが飛び散り、テーブルの上の蝋燭が倒れる。年下の子供——名前はフリッツ、八歳——が椅子ごと後ろに転がり、後頭部を石の床に打ちつけた。鈍い音が食堂に反響し、一拍の沈黙の後、子供たちの悲鳴が弾けた。
寮母のマルタが駆け寄る。しかしトーマスは止まらなかった。十歳の少年は椅子を掴んで振り上げ、マルタの制止を突き飛ばした。目が据わっている。歯を食いしばり、鼻腔が大きく広がり、瞳孔が開ききっている——恐怖が暴力に化けた子供の目だ。
「やめなさい、トーマス!」
マルタの声はトーマスには届かない。少年は椅子を振り回し、近くにいた子供たちが蜘蛛の子を散らすように逃げた。
足音。新任寮長ゲルハルトが食堂に飛び込んできた。
「何事だ!」
しかしゲルハルトは子供に手を出さなかった——出せなかったのだ、とヘルムートは書いていた。武官上がりの大男が暴れる子供を力で押さえつければ、確実に子供の骨が折れる。そしてそれが騎士団副長の耳に入れば——。
鎮静魔法を使える治癒師が呼ばれた。青白い光がトーマスの体を包み、少年は糸の切れた操り人形のように崩れ落ちた。意識はある。しかし目だけが動いている。声が出ない。体が動かない。魔法で縛られた子供の目が、天井を睨んでいる。
古参騎士ヘルムートが食堂の入口に立っていた。腕を組み、眉間に深い皺を刻んで、床に転がったトーマスと、血を流すフリッツと、震える子供たちを見渡した。
そしてゲルハルトに向かって、低い声で言った。
「……ベルタがいれば、こうはならんかった」
ゲルハルトが振り向いた。
「何だと?」
「ベルタの遊びがあれば——」ヘルムートの声は静かだったが、食堂の隅まで届いた。「あの子は、こんな目にならずに済んだ」
ゲルハルトは何も答えなかった。
ベルタ・シュピールフェルト。
三ヶ月前にこの子弟寮を追われた、遊戯指導係の女。
——私のことだ。ヘルムートの手紙を握りしめながら、私は辺境の宿屋で、この場面を何度も何度も頭の中で再生した。
三ヶ月前の話をしよう。
騎士団子弟寮。王都エーレンフェストの騎士団敷地の奥に建つ、灰色の石造りの寄宿舎。六歳から十二歳の子供たち、三十人ほどが暮らしている。全員が騎士の子弟だ。
私はここで四年間、遊戯指導係をしていた。
遊戯指導係。名前だけ聞けば大層なものだが、実態は——子供たちと遊ぶ仕事だ。少なくとも、周囲の大人たちはそう思っていた。
朝は武術訓練、午前は座学、午後の二刻が私の時間。広場に出て、子供たちと走り回る。積み木を積む。粘土をこねる。騎士ごっこの台本を書く。
傍から見れば、私はただ子供と遊んでいる女だった。
——でも、違う。
子弟寮の子供たちは、普通の子供ではない。
親は騎士だ。戦場に出る。何ヶ月も帰らないことがある。そして——帰ってこないことも、ある。
ある朝、寮母が六歳の男の子の前に膝をついて、言った。
「お父様は、北方戦線で——」
それ以上は聞こえなかった。寮母の声が小さかったのではない。男の子の泣き声が大きかったのでもない。子供は泣かなかった。ただ黙って、朝食のパンを咀嚼する手を止めた。
翌日から、その子は誰とも口をきかなくなった。
年長の子供たちが年少者を殴ることも珍しくなかった。力で序列を作ろうとする。それは彼らが見てきた「騎士」の姿——父親の姿だ。強い者が弱い者を従える。武力が正義。子供たちは、親の背中を見て育つ。
けれど子供には、大人の抑制がない。
力で従えようとした結果、殴られた子供は壊れる。殴った子供も、別の形で壊れていく。暴力の連鎖が、閉じた寮の中でぐるぐると回り続ける。
それが騎士団子弟寮の現実だった。
私がやっていたのは——その連鎖を、遊びの中で止めることだ。
トーマスの話をしよう。
十歳。父親は半年前に戦死した。母親はその前に病で亡くなっている。天涯孤独の戦災孤児。
トーマスは砦遊びが好きだった——というより、砦遊びの「壊す」部分が好きだった。
砦遊びは私が設計した遊びの一つだ。木の積み木で砦を組み立て、それを壊す。単純な遊び。だが、設計には意味がある。
トーマスは毎回、異様な力で砦を叩き壊した。他の子供たちが引くほどの勢いで、積み木が弾けて壁にぶつかるほどの力で。顔を真っ赤にして、歯を食いしばって、積み木の山を何度も何度も殴りつけた。
私は止めなかった。
破壊衝動というのは、出口がなければ人に向かう。トーマスの拳が積み木を殴っている間は、人間を殴らない。砦遊びはトーマスにとって、攻撃性の安全な放出口だった。
壊し終わった後、トーマスはいつも肩で息をしている。拳の皮が剥けていることもある。
その時、私は静かに言う。
「もう一回、作ろうか」
最初の一ヶ月、トーマスは作らなかった。壊すだけ壊して、立ち去った。
二ヶ月目。壊した後、積み木をひとつ拾い上げた。元に戻したのではない。ただ拾って、見つめて、放り投げた。でも、それだけで十分だった。
三ヶ月目。壊した砦の残骸を、一つずつ積み直し始めた。前よりも丁寧に。前よりも高く。壊した砦を、自分の手で作り直した。
破壊と再建。それがトーマスの遊びだった。
父親を失った怒りを積み木にぶつけ、壊し尽くした後に、もう一度作り直す。何度でも。何度でも。壊しても終わらない。作り直せる。——その感覚を体に覚えさせること。それが、トーマスの砦遊びの治療目標だった。
遊び設計帳の記録——「トーマス。砦遊び開始から三ヶ月。破壊後の再建率100%。攻撃衝動は遊びに転化済み。中断厳禁」。
トーマスだけではない。子弟寮の子供たちは、それぞれ違う形で壊れていた。
十一歳のルーカス。ガキ大将。父親は北方戦線の中隊長で、年に二度しか帰らない。帰ってくるたびに素振りを見て「まだまだだな」と言う。褒めたことがない。
ルーカスは年下の子供を殴ることで、自分の価値を確認していた。力が正義——それが彼の知っている唯一の世界だった。
私がルーカスに用意したのは、騎士ごっこの脚本だ。ただし毎回、役を交代させる。強い騎士の日もあれば、逃げる村人の日もある。
「俺は騎士だ。逃げるなんて」
「そう? でも村人さんが逃げないと、騎士さんが守る人がいなくなるよ」
しぶしぶ引き受けたルーカスが、砂まみれの顔で笑った瞬間を覚えている。攻撃する側でも、命令する側でもない立場で、初めて笑った。
ある日、ルーカスが「守る側」の役で六歳のフリッツの前に立ちはだかった時——遊びなのに、目が真剣だった。守ることの意味を、体が覚えた瞬間だった。
そして七歳のアンナ。
父親を三ヶ月前に亡くしてから、一言も喋らなくなった子。
子供は、大人のように言葉で悲しみを処理できない。七歳では、悲しみの正体すらわからない。お腹が痛いのか、寒いのか、怖いのか。区別がつかないから、全部を閉じてしまう。
アンナには、静かな遊びを用意した。粘土をこねる。糸を紡ぐ。色を塗る。言葉のいらない遊び。
私はアンナの隣に座って、黙って粘土をこねた。話しかけない。目も合わせない。ただ、同じ空間にいる。
一週間。二週間。三週間。アンナは粘土に触らなかった。
四週間目。
隣から小さな手が伸びてきた。ルーカスが投げ出した粘土の塊に、アンナの指先が触れた。
——最初の接触。
四週間かけて、やっと一歩。粘土に触れただけ。声はまだ出ない。
でも、それだけでいい。急がないこと。
遊び設計帳に記録する。「アンナ。静かな遊び開始から四週間。初の対物接触。次段階: 共同作業への誘導。急がないこと」
四年間、こうやって一人ひとりの子供を見てきた。
五十人以上。それぞれに課題があり、それぞれに遊びを設計した。攻撃性の高い子には全身を使う鬼ごっこで衝動を発散させ、臆病な子には段階的な木登りゲームで恐怖を克服させた。一人として同じ処方箋はない。
遊び設計帳は三冊目に入っていた。
——そこに、新任寮長ゲルハルトがやってきた。
前任の寮長は穏やかな文官で、遊戯指導の意味を理解していた。少なくとも、邪魔はしなかった。しかしゲルハルトは違う。武官上がりの大男で、子弟寮に赴任してきたのは「騎士の子弟に甘い教育をするな」という上層部の方針を実行するためだった。
赴任初日、ゲルハルトは子弟寮を巡回した。武術訓練場を見て頷き、座学の教室を見て頷き——そして広場に出た。
広場では、私が子供たちと砦遊びをしていた。トーマスが砦を壊し、ルーカスが積み直し、アンナが隅で粘土をこねている。笑い声と怒鳴り声と、積み木が崩れる音が入り混じっている。
ゲルハルトは腕を組んで、しばらく広場を眺めていた。
「——おい」
私は振り向いた。腕まくりをして、膝に泥がついて、髪が乱れた、二十三歳の伯爵令嬢。社交界では見られない姿だろう。
「はい、寮長」
「何をしている」
「遊戯指導の時間です」
「……遊んでいるだけではないか」
ゲルハルトの目は冷たかった。子供たちを見ているのではない。私を見ている。伯爵家の令嬢が泥にまみれて子供と転げ回っている——その光景を、蔑みの目で。
「騎士の子弟に遊びは不要だ。この時間は剣の素振りに充てる」
「寮長」
私は立ち上がった。
「この子たちには今、剣より積み木が必要です」
ゲルハルトの眉が跳ね上がった。
「何だと?」
「トーマスは父親を亡くしてから攻撃衝動が制御できません。砦遊びで発散しなければ、人を殴ります。ルーカスは暴力でしか自分の価値を確認できない。騎士ごっこで守る側の経験を積ませなければ、このまま暴君になります。アンナは——」
「黙れ」
ゲルハルトは私の言葉を遮った。
「子供と遊んでいるだけの女に、給金を払う余裕はない」
——それが、判決だった。
元婚約者のクラウスが追い打ちをかけた。騎士団副長の息子。金髪を後ろに撫でつけた、見栄えのいい男。
「ベルタ。前々から申し上げていたはずだが。騎士の妻として、体面というものを考えてもらいたい。子供と転げ回るなど、恥ずかしいとは思わないのかね」
クラウスにとって、私は「騎士の妻候補」でしかなかった。社交界で見栄えのする妻。パーティーで夫の隣に立つ妻。——子供の心を治す専門家ではなく。
婚約破棄と追放は、同じ日に宣告された。
悔しかった。
悔しくて、腸が煮えるほど悔しくて、でも一番悔しかったのは——クラウスのことではなかった。四年間、毎日泥まみれになって、一人ずつ子供の心を編み直してきたのだ。その全てを「遊んでいるだけ」の一言で切り捨てられた。私の仕事を、私の四年間を、何も見ずに。
けれど怒鳴り返す言葉は、出てこなかった。怒鳴ったところで何が変わる。ゲルハルトには遊びの価値が見えない。見えない人間に見せることは、私にはできない。
——いや、違う。本当のことを言えば、私は怖かったのだ。怒鳴れば、四年間かけて積み上げたものが本当に「遊び」でしかなかったと認めることになる気がして。
荷物をまとめるのに、一刻もかからなかった。
動きやすい服が数着。着替え。それと——遊び設計帳、三冊。
寮を出る前に、寮母のマルタを呼んだ。
「マルタさん。これを」
遊び設計帳の写しを渡した。三冊分。夜を徹して書き写したものだ。
「各子供の遊びの処方箋が書いてあります。特にトーマスの砦遊びは——中断しないでください。あの子は今、壊したものを作り直す段階に入っています。ここで中断したら——」
「ベルタ嬢」マルタの目に涙が浮かんでいた。「私は遊戯指導のことはわかりません。でも、お預かりします」
「……ありがとう」
荷物を担いで、正門に向かった。
広場を横切るとき、窓から子供たちが見ていた。
トーマスが積み木を一つ、握りしめていた。砦遊びの積み木。手のひらに収まるサイズの、角が丸くなった木の塊。
目が合った。
何か言いたそうだった。でもトーマスは口を開かなかった。私も何も言わなかった。
——ごめんね。
声に出せなかった。声に出せば崩れる。泣いたら、この門を出られなくなる。トーマスの砦遊びを中断することの意味を、私だけが知っている。あの子の拳がどこに向かうか、私だけが知っている。知っていて、置いていく。
門を出た。
振り返らなかった。振り返ったら、足が止まる。足が止まったら、膝から崩れる。だから、歯を食いしばって、前だけを見て歩いた。
辺境ヴィーゼ領。王都から馬車で七日。北方戦線の跡地に近い農村地帯。
なぜここに来たか。理由は単純だ。行く宛がなかった。
シュピールフェルト伯爵家には帰れない。次女の私が婚約破棄されて出戻れば、長姉の縁談に差し障る。父からは「しばらく身を隠していなさい」と手紙が来た。金は多少、同封されていた。
辺境の宿屋で働きながら、日々を過ごした。掃除をし、食事を運び、客の相手をする。体を動かす仕事は嫌いではなかった。
——けれど、手持ち無沙汰だった。
遊び設計帳を開く。三冊。子供たちの顔が浮かぶ。トーマスは砦を作り直せているだろうか。ルーカスは守る側の役を続けているだろうか。アンナは——粘土に触れただろうか。
考えても仕方がない。もう私は遊戯指導係ではない。ただの、宿屋の下働きだ。
ヴィーゼ領の村には、子供がたくさんいた。
帰還兵の子供たち。父親が戦場から帰ってきた——が、帰ってきた父親は以前の父親ではなかった。夜中に叫ぶ。酒に溺れる。些細なことで怒鳴る。子供たちは家にいたくなくて、広場にたむろしていた。
その子供たちの遊びを、私は宿屋の窓から見ていた。
戦争ごっこ。
殴り合い。取っ組み合い。棒切れを振り回す。「死ね」「殺せ」という言葉が飛び交う。遊びのはずなのに、顔は笑っていない。
——見覚えのある目だった。
子弟寮のトーマスと同じ目。恐怖が暴力に変わった目。
三日、窓から見ていた。四日目の朝、私は宿屋を出た。
村の広場に行き、隅に腰を下ろした。持っていたのは積み木——宿屋の親父に頼んで、端材から作ってもらったものだ。不揃いで、角が鋭い。子弟寮のものほど良い出来ではないが、積めば砦になる。
黙って積み始めた。一人で。
子供たちは最初、無視した。戦争ごっこの方が面白い。
一時間後、一人の少年が近づいてきた。十歳くらい。頬に青痣がある——父親か、子供同士か。
「何やってんだ、おばさん」
おばさん。二十三歳でおばさんか。まあいい。
「砦、作ってるの」
「は? 砦?」
少年は鼻で笑って、積み上げた砦を蹴り倒した。積み木が散らばる。
私は黙って拾い集め、また積み始めた。
「もう一回、作ろうか」
少年は呆れた顔をして去っていった。
翌日も同じだった。積む。壊される。「もう一回、作ろうか」。
三日目。
壊しに来た少年が、蹴る直前に止まった。
砦は前日よりも高く、前日よりも複雑だった。窓がある。門がある。見張り台がある。
「……一緒に作っていい?」
少年の声は小さかった。
「もちろん」
それが始まりだった。
辺境に来て二週間。広場に毎日通ううちに、子供たちが集まるようになった。
砦遊び。騎士ごっこ(全員が全役を回る版)。静かな遊び。子弟寮で四年かけて磨いた遊びを、一つずつ村の子供たちに合わせて調整し、設計し直した。
戦争ごっこが減った。殴り合いが減った。「死ね」「殺せ」の代わりに、「もう一回」「次は俺が守る番」という言葉が聞こえるようになった。
宿屋の親父が不思議そうな顔で言った。
「最近、広場が静かになったな。前は毎日、泣きながら帰ってくる子供がいたんだが」
——そうだろう。遊びが変われば、子供が変わる。
辺境に来て二ヶ月近くが経った頃だった。
その日の夕方、広場に見知らぬ男が立っていた。
大柄。筋肉質。顎に短い髭。左頬に古い傷跡。右足を引きずっている——義足ではないが、膝から下の動きが鈍い。戦場で負った傷だ。
男は広場の端に立って、子供たちが砦遊びをしている様子を見ていた。
私が近づくと、男は目を細めた。
「……子弟寮の、遊びの先生か」
驚いた。
「ご存知なんですか」
「ああ」
男は短く言った。軍人口調。
「ヴォルフ・グリュンヴァルトだ。元騎士団所属。息子が——子弟寮に、いた」
いた、と過去形で言った。
「エーリヒという名だ。十歳になった。あなたの遊びの時間が、あいつの唯一の笑顔だったと——手紙に書いてあった」
エーリヒ。
覚えている。おとなしい子だ。ルーカスに殴られても殴り返さない。怒りを内に溜める子供。爆発するまで溜め込む。砦遊びでは壊す方ではなく、作る方が好きだった。細かい装飾を積み木で再現しようとして、何度も何度も崩れて、でも諦めなかった。
「エーリヒの遊びは、砦の装飾遊びでした。壊れやすいものを丁寧に作る——忍耐と集中の訓練です。あの子は暴力を内側に溜めるタイプで、出口が必要だった。精緻な作業に集中することで、溜め込んだ感情を別の形で昇華させる設計にしていました」
ヴォルフは黙って聞いていた。
「……しかし今は」
「今?」
「手紙が途絶えた。二ヶ月、来ない」
ヴォルフの声は平坦だった。しかし、握りしめた拳の関節が白かった。
「最後の手紙に、一行だけ書いてあった。『遊びの時間がなくなった。もう書くことがない』と」
「子弟寮で——何があったか、知っているか」
私は目を伏せた。
「……私は、三ヶ月前に追放されました」
ヴォルフは何も言わなかった。ただ、広場で砦を作っている子供たちを見つめた。
しばらくして、低い声で言った。
「あなたがいなくなってから、息子は笑わなくなった」
ヴォルフは辺境に引退した元騎士だった。戦場で右足を負傷し、前線を退いた。妻は早くに亡くし、一人息子のエーリヒを子弟寮に預けていた。
年に一度、面会に行く。そのたびにエーリヒは嬉しそうに、遊びの時間のことを話した。「ベルタ先生と砦を作った」「今度は窓を三つつけるんだ」「ルーカスが僕の砦を壊さなくなった」。
——それが、三ヶ月前から途絶えた。
「足が悪いから、子供の相手はできんが」
ヴォルフは広場の空き地を指差した。
「あそこを整地した。子供たちが遊べるように」
見れば確かに、広場の一角が平らに均されていた。石が取り除かれ、雑草が刈られている。
「遊び場を?」
「……ああ。元々は、息子が来た時に一緒に遊べればと思っただけだ」
不器用な人だ。子供の相手はできないが、遊び場は作る。自分が遊べなくても、子供が遊べる場所を用意する。
——似ている、と思った。私と。目に見えない形で子供を支える人間。
「ヴォルフさん」
「何だ」
「ここで遊戯指導を続けさせてください。宿屋の仕事が終わった後になりますが——」
「……ああ、好きにすればいい」
短い返事。でも、ヴォルフの目の端が少しだけ緩んだのを、私は見逃さなかった。
辺境での日々が流れた。
午前は宿屋の仕事。午後は広場で子供たちと遊ぶ。遊び設計帳の四冊目が始まった。
ヴィーゼ領の子供たちは、子弟寮の子供たちとは違う課題を持っていた。親が戦死したのではなく、帰ってきた——けれど壊れて帰ってきた。夜中に叫ぶ父親。酒に溺れる父親。些細なことで拳を振るう父親。
子供たちの恐怖は、「父親がいなくなること」ではなく、「帰ってきた父親が怖い」ことだった。
砦遊びの設計を変えた。壊すのは自分ではなく、「嵐」だ。嵐役の子供が砦を揺らし、他の子供たちが砦を守る。壊れても、全員で作り直す。「壊すのは自分のせいじゃない。でも、作り直すのは自分にもできる」。
少しずつ、村が変わっていった。
ヴォルフは毎日、広場の端で見ていた。片足を投げ出して座り、腕を組んで、子供たちが走り回るのを目で追っている。時折、転んだ子供に手を差し伸べる。すぐに引っ込める。——照れているのだ、この大男は。
「ヴォルフさん、子供と遊ばないんですか」
「……足が」
「足なんか関係ないですよ。座ったままできる遊びなんていくらでもあります。粘土こねましょう、粘土」
「俺に粘土をこねろと」
「はい」
ヴォルフは渋い顔をしたが、結局、子供たちの輪に加わった。元騎士の大きな手が粘土をこねる姿は、子供たちに大受けだった。ごつごつした、不格好な粘土の塊。
「ヴォルフのおじちゃん、下手くそ!」
「……うるさい」
子供たちが笑った。ヴォルフも——ほんの少しだけ、口の端を上げた。
その横顔を見て、不意に気づいた。この人の前にいると、私も笑っている。子供と遊んでいる時とは違う、別の種類の笑みで。
そして三ヶ月後。
冒頭に戻る。
王都の子弟寮で、トーマスが食堂で爆発した場面。
あの日、私は辺境ヴィーゼ領にいた。知ったのは、後からだ。
ヘルムートから手紙が届いた。
ヘルムートの手紙は長かった。
遊戯指導の時間が廃止され、剣の素振りに置き換えられたこと。
トーマスの砦遊びが中断されたこと。最初の一週間、トーマスは壁を蹴り、床を殴り、声にならない叫びを上げていたこと。出口を失った攻撃衝動が、二週間目から人に向かったこと。年下の子供を殴り、寮母を突き飛ばし、止めに入った教官の手を噛んだこと。
ルーカスが騎士ごっこの脚本を取り上げられたこと。守る側の役を経験する機会を失い、暴力による序列づくりに逆戻りしたこと。年少者を従えるグループを作り、食事の取り分を奪い、逆らう子供を殴ったこと。
アンナが再び誰とも話さなくなったこと。静かな遊びの時間を失い、粘土も糸も色鉛筆も片付けられ、集団に戻る道が完全に塞がれたこと。隅に一人で座り、膝を抱えて、じっと靴先を見つめるだけの日々に戻ったこと。
——そして、鎮静魔法が常態化したこと。暴れる子供を魔法で黙らせる。声が出ない。体が動かない。意識だけがある状態で床に転がされる。翌日、魔法が解けた子供の目は、もっと暗くなっている。恐怖が二重になる。暴力への恐怖と、自分の体が動かなくなる恐怖。
ゲルハルトは「規律の問題だ」と言い張った。「素振りの量を増やせ。疲れさせれば暴れる体力がなくなる」。
——違う。疲労で暴力は止められない。出口を塞がれた感情は、体力の有無に関係なく噴出する。
手紙の末尾に、ヘルムートはこう書いていた。
「食堂で暴力事件が起きた日の夜、わしはゲルハルトの執務室に押しかけた。お前が去る前に寮母に託していた遊び設計帳の写し——あれを突きつけてやった」
「ゲルハルトはページを一枚ずつ読んだ。子供の名前。行動記録。遊びの処方箋。治療目標。経過観察。全てが記録されていた」
「トーマスの項目を読んだ時、ゲルハルトの手が止まった。『砦遊び開始から三ヶ月で、破壊後の再建率100%。攻撃衝動は遊びに転化済み。中断厳禁』——その最後の二文字を、三度読み直していた」
「ゲルハルトが言った。『……遊んでいただけではなかったのか』」
「わしは答えた。『あの女は、一人ひとりの子供の心を設計していた。お前が追い出したのは遊び相手じゃない。子弟寮の医者だ』」
「ゲルハルトは遊び設計帳を閉じたまま、しばらく動かなかった。それからな——この大男が、頭を抱えたよ。『なぜ……なぜ、もっと早く言わなかった』と。わしは言ってやった。『ベルタは言った。お前が遮ったのだ』。ゲルハルトは黙った」
「ついでに教えておく。あのクラウスの坊主だが——子弟寮の暴力事件が騎士団本部に報告された。暴力が激化した時期が、ベルタの追放と完全に一致する。副長殿が激怒してな、息子を呼びつけて問い詰めたらしい。『お前が婚約破棄した女が、子弟寮の秩序を支えていたのか』と。クラウスは何も答えられなかったそうだ。体面を気にしていた男が、体面を失ったわけだ」
手紙を読みながら、私は笑わなかった。笑えなかった。
ゲルハルトが頭を抱えたところで、トーマスの壊れた砦は戻らない。クラウスが体面を失ったところで、アンナの四週間はやり直せない。
因果応報。そう呼ぶには、あまりにも遅い。
騎士団から正式な帰還要請が届いたのは、それから一週間後だった。
王都から早馬で五日かけて、使者がヴィーゼ領に来た。騎士団の紋章入りの外套を着た文官が、宿屋に乗りつけた。
「ベルタ・シュピールフェルト嬢。騎士団子弟寮長ゲルハルト閣下より、遊戯指導係への復帰をお願い申し上げます。待遇は以前の三倍——」
「お断りします」
文官が言葉を失った。
「し、しかし。子弟寮は今、大変な——」
「存じ上げています」
私は広場を見た。子供たちが砦遊びをしている。ヴォルフが端で粘土をこねている。
「子弟寮に戻る気はありません」
文官が焦る。
「な、なぜ——」
「遊戯指導係が必要なのは、子弟寮だけではありません。ここにも、遊びを必要としている子供たちがいます」
そして——
「それに」
私は遊び設計帳を手に取った。四冊目。表紙がもう擦り切れている。
「私がいなくても、遊びは設計できます。遊び設計帳の使い方をお教えしますから、子弟寮で実行できる人を育ててください」
文官は口をぱくぱくさせたが、やがて生唾を飲み込んで、巻物に返事を書きつけた。
「……もう一つ」
私は付け加えた。
「クラウス様——元婚約者にお伝えください。騎士の妻が何をすべきかは、夫が決めることではありません。私は子供と遊ぶ女です。それが恥だと仰るなら——その恥が、あなたの騎士団を支えていたのだと、お知りおきください」
使者が去った後、ヴォルフが近づいてきた。
「断ったのか」
「はい」
「……そうか」
それだけだった。ヴォルフは何も聞かない。なぜ断ったのか。後悔はないのか。これからどうするのか。
——この人は、いつもそうだ。私が何を選んでも、黙って受け止める。判断を尊重する。口を出さない。
クラウスは、私の全てに口を出した。服装に。振る舞いに。仕事に。「騎士の妻として」という枕詞で、私の輪郭を削ろうとした。
ヴォルフは、何も削らない。
……そのことに、胸の奥が少しだけ、温かくなった。今はまだ名前をつけない。つけなくていい。
ヴォルフが、一つだけ付け足した。
「頼みがある」
「はい?」
「……エーリヒを、引き取る手続きを始めた。子弟寮から出す。ここで育てる」
ヴォルフの声は平坦だった。しかし、指先が微かに震えていた。
「あいつが来たら——あなたの遊びに、入れてやってくれるか」
「もちろんです」
即答した。
「ヴォルフさん」
「何だ」
「エーリヒくんの遊びは、砦の装飾遊びでした。壊れやすいものを丁寧に作る遊び。あの子には今、それが必要です。精緻なものを作る集中の時間が、あの子の心の安全弁なんです」
ヴォルフはしばらく黙って、それから頷いた。
「……覚えておく」
エーリヒが辺境に来たのは、さらに二週間後だった。
馬車が村に到着し、ヴォルフが出迎えた。片足を引きずりながら、馬車の前に立った。
降りてきたのは——十歳の少年。小柄。目の下に隈があり、唇の端が切れている。手には小さな傷がいくつもあった。爪が手のひらに食い込んだ痕。怯えた目。
子弟寮で何があったのか、全身が語っていた。
ヴォルフはエーリヒの前に膝をついた。大きな体を折り曲げて、息子と目の高さを合わせた。
何を言うかと思った。
ヴォルフは口を開き——閉じ——もう一度開いた。
「……帰ってきたな」
それだけだった。不器用な父親の、不器用な言葉。
エーリヒは答えなかった。拳を握りしめて、ヴォルフの顔を見上げていた。
ヴォルフが立ち上がり、不器用にエーリヒの背を押して、私の前に連れてきた。
「……頼みがある」
ヴォルフの声が震えた。
二十年以上の実戦経験を持つ古参騎士。戦場で右足の自由を奪われても顔色一つ変えなかった男の声が、震えていた。
「もう一度……こいつと、遊んでやってくれ」
エーリヒを見た。
怯えた目。握りしめた拳。爪が手のひらに食い込んでいる。——出口がない。感情の出口が、全部塞がれている。
私はエーリヒの前にしゃがんだ。視線を合わせた。
何も聞かなかった。何があったのか。誰に殴られたのか。怖かったか。寂しかったか。——何も、聞かなかった。
代わりに、積み木を一つ差し出した。
角が丸くなった、小さな木の塊。砦遊びの積み木。
「一緒に、砦を作ろうか」
エーリヒは積み木を見つめた。
長い沈黙があった。
広場で他の子供たちが走り回る声が聞こえた。風が吹いて、木の葉がざわめいた。遠くで鳥が鳴いた。
エーリヒの握りしめた拳が——ゆっくりと、ほどけた。
小さな手が、積み木に触れた。
夕暮れの広場。
ベルタと子供たちが砦を作っている。エーリヒは端の方で、細い積み木を慎重に積み上げている。窓を三つつけようとして、二回崩れた。三回目。
ヴォルフが広場の端に座っている。片足を投げ出して。大きな手で不格好な粘土をこねながら。
子供たちの笑い声が、夕焼けの空に響く。
トーマスの砦は——もうここにはない。でも、あの子の手が覚えた「壊して、作り直す」は、きっとまだ、あの小さな手の中にある。
ルーカスは——守る側の役を、まだ覚えているだろうか。覚えていてほしい。
アンナの指先は——粘土に触れただろうか。触れていてほしい。
遊びは目に見えない。遊びの成果は数字にならない。剣の素振りは回数を数えられる。座学の点数は比較できる。でも、「壊した砦を作り直した回数」は、誰も数えない。
だから——「遊んでいるだけ」に見える。
でも私は知っている。遊びは子供にとっての言語だ。言葉にできない怒りを、恐怖を、悲しみを、遊びの中で表現し、遊びの中で消化する。それが遊戯療法。
私の仕事は、その言語を設計すること。一人ひとりの子供に合わせた、世界で一つだけの処方箋を書くこと。
エーリヒが積み木の砦に三つ目の窓をつけた。崩れなかった。少年は砦を見つめて——ほんの少し、口の端を上げた。
笑った。
私も笑った。
「いい砦だね。次は門を作ろうか」
——もう一回、作ろうか。
何度でも。何度でも。壊れても、作り直せる。
それを教えるのが、私の仕事だ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今回のモチーフは「遊戯療法」です。子供は大人のように言葉で感情を処理できないことが多い。遊びは子供にとっての言語であり、攻撃性・恐怖・孤立を遊びの中で安全に表現し、消化していく——という現実の心理療法を、異世界ファンタジーに落とし込みました。
「もう一回、作ろうか」。この台詞をリフレインにしたのは、遊戯療法の核心が「繰り返し」にあるからです。砦を壊して、作り直す。何度壊れても、もう一度作れる。その体験の積み重ねが、子供の心を支える。書いていて一番苦しかったのはアンナのシーンで、四週間かけてやっと粘土に指が触れる——その一歩の重さを、自分でも泣きそうになりながら書きました。
トーマスの「中断厳禁」という遊び設計帳の記録が、追放後の崩壊を予告するシーンは、この作品で一番好きな因果応報です。設計者がいなくなった後に、設計がいかに精緻だったかが露呈する——見えない仕事の恐ろしさ。
◇◆◇ 「捨てられ令嬢は最後に笑う」シリーズ ◇◆◇
婚約破棄・追放・裏切り——捨てられた令嬢たちが、それぞれの方法で最後に笑う短編シリーズです。
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