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1章 6話 終わりの始まり

6話 

「あれは殿下の第二王子としての初めての仕事でした」


エリオットは語り始めた。


17年前に起きた

この世界の終わりの始まりについて。


「今日って何階まで降りるんだっけ」


「聞いていらっしゃらなかったのですか?」


「エリオットが聞いてたでしょ?」


「本日は6階層です」


「そんなに降りるの?てっきり12層ぐらいだと思ってた」


「だから話を聞いてくださいとあれほど...」


「それに今回からは第二王子としての初任務です。成人になられたのだからもう少ししっかりしていただかないと」


「エリオットは硬いね、息苦しくないの?」


「ルシウス様が自由すぎるのです」

ルシウスは私の話に興味がないのかあたりを見回している。


「今何層?」


「次で10階層です」


「そろそろ反乱軍が出てくるかもしれません」

「特に6階層付近は活発でこちらの施設が何度か襲撃を受けていると報告されて...殿下聞いていらっしゃいますか?」


「ああ、聞いてるよ反乱軍が出るとかなんとか」


「上層の人間も下降中に狙われたと聞きます。私たちも気をつけて降りましょう」


「別に大丈夫でしょ」


「そういった油断が隙をっ...」


一瞬で目の前に火花が走る。

魔法攻撃。

私の周りの円形状に囲む壁の外で、炎は燃え上がっていた。


炎が落ち着き壁が解かれる。

空間の隔離。

ルシウス様の空間操作魔法。


「大丈夫か、エリオット」


「すみません、言っているそばから私が油断しておりました。それにしても一体どこから?」


ルシウスは調べると言って両腕を左右に広げた。

「空間認識魔法、領域感知」


空間が歪むのを感じる。


ルシウスの周囲に見えない波紋が広がる。


「見つけた」


「どこですか!殿下」


「距離がある、エリオットはここで待機」


殿下の羽が敵の方向へと飛んでいく。

そしてその方向へ殿下が指を指す。

「空間転移魔法」


二点間転移(シャッフル)


パチンーー

指を鳴らす音が響く


次の瞬間、殿下の姿が消えた。

そしてーー羽の位置に現れた。

いや入れ替えた。

敵へと向かっていく。


「どうやって移動してきた」

「あれが第二王子か?」

「ああ間違いない、あの紋章は王家のものだ。それにあんなでかい金の羽を持ってるのなんて王子たちしかいねえよ。しかもさっきのは空間魔法だ」

「相手がなんだろうとどうでもいい、俺たちはやるしかないんだ」

「魔法陣展開」

「炎魔法、真紅の(クリムゾンフレイム)


向かってくる敵に対して殿下は祈っている。

「すまないが、時間をかけるとエリオットに怒られるのでね」


「空間操作魔法、空間削除(スペースデリート)

次の瞬間

魔法陣と共に敵の姿が見えなくなった。

いや、削除した。


「お怪我はありませんか、殿下」


「ああ、逆に相手が心配になるくらいだったよ」


腰に手を当て自慢げに話す殿下。


私はこんな殿下を心から尊敬すると同時に少し恐れていた。


「どうした?ぼーっとして」


「少し...考え事をしておりました」


「考え事?」


「なんでもありません、先へ急ぎましょう」


そう言うと殿下は

「肩の力を抜いたら?」


さっきとは違う。

心配しているのか、いつもより少し難しい顔をしていた。


「ええ、そうですね」


「本当に聞いてる?」


「ええ、それより早く向かいましょう」


「聞いてないでしょ」


はぁ

とため息をつく殿下を横目に見ながら先へ進んだ。


少し経って、円柱状の建物が近づいてきた。


「あれが目的地か?」


「そうです、あれがこの国の最重要機関の一つ農園です」


眼前に広がる巨大な建物には窓や装飾が一切無く、不気味なほどに凹凸がない。


「話は聞いていたけど大きいな」


「宮殿の2倍の大きさだと聞いております」


「それで今日は何しに来たんだっけ?」


「殿下...」


「何?」

もう怒る気にもなれない。


「今日は視察です。この国のエネルギー源を自分たちの目で見てこいとのカシウス殿下の命で来たのです」


「そうだった」


カシウス殿下はルシウス殿下の兄君に当たり、王位継承権第一位の次期国王。

ルシウス様と違い冷静沈着。


カシウス殿下であれば楽だったのに...


「エリオット、顔に出てるぞ〜」


「お待ちしておりました〜」

前から大きな髭を生やし白衣を纏う、小さな男が迫っている。

おそらくこの農園の職員だろう。


「私が農園の運営を任されております。ラートン・リアムと申します」


「出迎えありがとう、今日はよろしく」


形だけの笑顔をし、握手を交わす。

外向きの対応。


「本日、私はあなた方2人を案内するように、と頼まれておりますので」


「ああ、頼んだ」


ラートンは誰でも知っている農園の概要を話しながら入り口まで案内した。


「ここが農園です」


「これは?」


目に入ってきたのは色鮮やかな羽。

赤、青、黄、緑

金が無い。


「動力炉に運ぶための集積場です」


「これを燃やすのか?」


「ええ、これが燃料です」


羽を燃やす。

それは知っていた。


上層の人間の羽から抽出される因子。

それを培養し増やす。


それが__農園。


ただ、

私たちは目の前の羽たちが発する声にならない異質な何かを感じ取ってしまった。


「この羽はどうやって作られたんだ?」


ラートンは白い歯を剥き出し一言。

「こちらへ__」


彼の背中は一気に不気味さに包まれた。


そして奥の厳重な扉が開かれる。


扉の奥に広がる光景。

それは地獄という言葉では到底足らなかった。

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