第14話:サウナと冷泉でととのう
ガンテツが加わってから、温泉郷の風景は一変した。
まず、脱衣所が立派な木造建築に生まれ変わった。
隙間風はなくなり、中には棚やベンチも完備。入り口には「ゆ」と書かれた暖簾(フィオの手作り)まで掛かっている。
そして今日、ガンテツ渾身の新作が完成しようとしていた。
「よし、組み上がったぞ! これがドワーフ式蒸し風呂小屋……名付けて『サウナ』じゃ!」
露天風呂の脇に建てられたのは、厚い丸太を組んだ小さな小屋だ。
中には石を積み上げた炉があり、ベンチが階段状に設置されている。
俺の前世知識にあるフィンランド式サウナそのものだ。
「源泉様、熱いお湯をお願いします!」
フィオの合図で、俺は炉の下に通したパイプ(ガンテツ作)に熱湯を送り込む。
熱された石が焼け、カンカンと音を立てる。
そこへ、フィオがアロマ水を柄杓で掛ける。
ジュワァァァァ!!
凄まじい音と共に、熱い蒸気が小屋の中に充満する。
ロウリュだ。
木の香りとハーブの香りが混ざり合い、心地よい熱波が広がる。
「うおぉ……こりゃあ効くわい!」
一番風呂ならぬ一番サウナに入ったガンテツが、汗だくになりながら唸る。
フィオも挑戦したが、最初は「熱いです〜!」と逃げ出しそうになっていた。
だが、サウナの真髄はここからだ。
「次は水風呂じゃ!」
サウナ小屋のすぐ横には、俺が新スキル「冷泉」を使ってキンキンに冷やした水風呂(16度設定)が用意されている。
ガンテツは熱った体のまま、豪快に水風呂に飛び込んだ。
「くぅ〜っ! 冷てぇ! だが最高だ!」
そして水風呂から上がり、外気浴スペースのベンチに寝転ぶ。
森の風が、火照った体を優しく撫でる。
「……ととのったぁ……」
ガンテツが魂の抜けたような顔で呟く。
それを見ていたフィオも、恐る恐る真似をしてみた。
サウナで汗をかき、勇気を出して水風呂に入り、そして外気浴へ。
「…………あ」
フィオの目がとろんとし、力が抜けていく。
世界が回るような、でも意識はクリアになるような、不思議な感覚。
「これが……『ととのう』ですか……? すごく、気持ちいいです……」
どうやらエルフもサウナの虜にしてしまったようだ。
『入浴者たちが極上の快感を得ました』
『満足度ポイントを獲得:200pt』
サウナ効果、恐るべし。
これでまた一つ、この温泉郷に強力な武器が加わった。
汗を流してリフレッシュできるサウナは、冒険者や労働者にも人気が出るに違いない。
俺たちの楽園作りは、着々と進んでいる。




