表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の名湯は、喋らない。 〜効能チートでエルフと作る、世界最高の癒やしリゾート〜  作者: 悠々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/19

第13話:頑固親父と匠の技

 カーバンクルの一件から数日後。

 またしても珍しい客がやってきた。

 今度は人間……いや、背は低いが肩幅が広く、立派な髭を蓄えた種族。ドワーフだ。


「いたた……ここが噂の『奇跡の湯』ってのは本当か?」


 老ドワーフは腰をさすりながら、苦悶の表情で現れた。

 背中には大きなハンマーと、大工道具が入った袋を背負っている。

 重そうだ。あれじゃ腰も痛くなるだろう。


「はい、そうです。ようこそお越しくださいました」


 フィオが笑顔で出迎える。

 ドワーフの爺さんは、フィオを見て少し驚いたようだが、すぐに痛みに顔を歪めた。


「わしゃガンテツだ。腕利きの建築家だったんだがよ……この腰痛のせいで引退を考えててな。藁にもすがる思いで来たんだ」

「それは大変でしたね。さあ、どうぞお入りください」


 ガンテツはよろよろと服を脱ぎ、露天風呂へと足を踏み入れた。


「ふん、ただの野湯じゃねぇか。こんなんで治るなら苦労は……」


 ブツブツ言いながら、彼はお湯に肩まで浸かった。


「……ん?」


 その瞬間、ガンテツの動きが止まった。

 俺は「腰痛治療モード」全開だ。

 血行促進、筋肉の緊張緩和、そして神経痛に効く成分を惜しみなく投入する。

 さらに、適度な水圧マッサージもサービスだ。


「お……おお……? 痛みが……引いていく……?」


 ガンテツの強張っていた顔が、次第に緩んでいく。

 そして数分後には、とろけるような表情で空を仰いだ。


「あぁ〜……こりゃあ極楽じゃ……長年苦しんだ腰の重りが、嘘みたいに消えていく……」


 どうやら効果は抜群のようだ。

 ガンテツはそのまま一時間以上も長湯を楽しみ、上がってきた時には、来た時とは別人のように背筋が伸びていた。


「すげぇ! まさか本当に治るとは!」


 彼は腰をひねり、屈伸をし、痛みが消えたことを確認して大笑いした。

 そして、改めて周囲を見渡した。

 フィオが作ったログハウスや、俺の岩場の配置を、職人の目つきで吟味する。


「ふむ……嬢ちゃんが作ったのか? 素人にしては筋がいいが、ちと荒いな。ここも、もっとこうすれば湯冷めしねぇし、使い勝手も良くなる」


 職業病なのだろう。彼はあちこち指差して指摘し始めた。

 フィオは「なるほど……勉強になります」と素直に聞いている。


「よし! 決めたぞ!」


 ガンテツはドンと胸を叩いた。


「わしゃここに住む! この腰を治してくれた礼だ。わしの残りの人生かけて、ここを世界一の温泉郷にしてやる!」


 なんと、専属の建築家ゲットだ。

 しかも腕は超一流らしい。


「まずは脱衣所だ! 今のままじゃ隙間風が入る。それに、休憩所も必要だろ。あと、源泉様(俺)の周りの岩組みも、もっと風情あるものに組み直してやる!」


 ガンテツは早速、道具袋からノミや金槌を取り出した。

 その目は、引退を考えていた老人のものではなく、現役の職人の輝きを取り戻していた。


 フィオの「素材調達力」と、ガンテツの「建築技術」。

 そして俺の「温泉力」。

 最強の布陣が整った気がする。

 俺たちの温泉郷作りは、ここから加速していくことになりそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ