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9 とってもうれしい

「わあ!すごい!」


ぼくは今人間の姿で、新しいお家に来ている。

大きくて、お庭もある。すごい!


「…はあ。何でこうなるんだ」

「嬉しいでしょう?スライムくんはあんなに喜んでいますよ」

「…はああああああ〜」


タヌキくんとキツネくんも人間に変身している。2人が何か言ってるけど、ぼくはお家に夢中で聞いていなかった。

だってすごいんだよ。今日からぼくたちは3人でこのお家に住むんだ!

人間の兄弟のふりをしてこのお家に住んで、魔法学校にも通うんだってー!

びっくり!

生まれてから1番のびっくり!

まだ3ヶ月しかたってないけど。

でも、これ以上のびっくりは、あと何ヶ月… 何年もかかっても無いと思う!そのくらいびっくり!


お家の中に入ると、丸いテーブルと、椅子が3つある。ぼくたち3人分の椅子!

ぼくは嬉しくって座ってみた。


「見て見て!ぼくの椅子?」

「はい。スライムくんの椅子です。こちらは私の椅子です」


キツネくんがぼくの隣に座った。タヌキくんを見ると、タヌキくんは家の中をキョロキョロ見ている。


「タヌキくん!椅子!椅子!」

「あ?ああ、椅子だな」

「タヌキくんも座って!」

「ああ?何でだよ…」


そう言いながらもタヌキくんは座った。

ぼくは嬉しくって、にこにこしちゃう。

でも、隣の部屋も気になる。


「まずは家の中を探検してみては?」

「探検!」


探検する!ぼくは隣の部屋に飛び込んだ。


「くっそ…」

「スライムくんあんなにはしゃいで喜んでくれるなんて、嬉しいですねえ」

「で?いつまでここに住めば良いんだよ」

「さあ?」

「…おい」

「飽きるまででしょうか」

「おいおい」

「スライムくんが飽きるまで?」

「アイツは一生飽きねーよ!」

「じゃあ、スライムくんの一生が終わるまでですね」

「…………………」

「ふふふふふ」


「階段の上に行っても良い⁈」


ぼくは隣の部屋と、小さな部屋と、反対側の部屋も探検して、階段を見つけた。

階段の上は、2階。


「はい。気をつけてくださいね」

「はーい!」


階段を一段ずつ登る。ここはゆっくりと、踏み外さないように。

2階に到着!

部屋が、1、2、3。3つある!

1つ目の部屋は、ベッドがある!

わあ、乗っても良いかな?

…ちょっと乗ってみよう。

そうっと乗ってみた。ふかふか。気持ちいい。

そうっと降りた。

乗ったところがくしゃっとなっちゃった。

伸ばそう。手で引っ張ったりなでたりして伸ばした。


「よし」


次の部屋に行こう!

わあ、こっちにもベッドがある。もしかして?

ぼくは3つ目の部屋にも入ってみた。

やっぱり!ここにもベッドがあるから、1人1つベッドがあるんだ!すごい!

ベッドしか見てなかったけど、良く見たら小さいテーブルと椅子もある。あと棚。

棚を開けてみた。空っぽだ。何を入れるのかな?

ぼくの物を入れていいのかな?

聞きに行こう!

ぼくはまたゆっくりと階段を降りて、タヌキくんとキツネくんのところへ行った。


「2階にベッドがあったよ!あと、テーブルと椅子と…棚!」

「はい。好きな部屋を使って良いですよ」

「わああ!全部好きだからどうしよう」


3つの部屋は色が違ってた。黄色っぽい部屋と緑っぽい部屋と青っぽい部屋。

どこが良いかな?


「おいちょっと待て、俺も見る」


タヌキくんが2階に向かった。ぼくももう一度見てみよう!


「私はお茶でも淹れましょうか」


タヌキくんと2階へ。タヌキくんはそれぞれの部屋を覗くと、端っこの部屋を指差した。緑っぽい部屋だ。


「俺はここ。スライムは真ん中の部屋にしろ」

「うん!真ん中!」


真ん中は黄色っぽい部屋だ。

今日からここがぼくの部屋。

ぼくの… 部屋!


「棚もあるよ!」

「そーだな」

「何でも入れて良いの?」

「おー、入れろ入れろ」

「わあ…どうしよう!何でも入れて良い時は何を入れれば良い?」

「そんなん自分で考えろ」

「うーん、うーん… あ!」


ぼくは棚の1番下にある引き出しを開けた。

けっこう大きい。

中に入った。


「ブッ… 何で自分が入ってるんだよ!」


タヌキくんが笑った。タヌキくんはいつもムッとしているけど、笑うと可愛くなる。


「タヌキくんも入る?」

「ヤダよ!」


タヌキくんはまだ笑ってるから、ぼくもつられて笑っちゃった。


お茶とおやつがありますよー

ってキツネくんの声が下から聞こえた。

お茶とおやつ!

すごい!人間になるとお茶とおやつを食べるんだ。

ぼくとタヌキくんは一階へ戻って、3人で食べた。

美味しい。楽しい。


「名前も考えないといけませんね」

「ぼくはスライム」

「それは種族名です。個人名を考えましょう」

「こじんめい」

「スラ吉でいいんじゃね」

「スラきち」

「こらこら、もっと可愛い名前にしないとダメですよ」

「何でだよ」

「難しい。そうだ!キツネくんがぼくの名前考えて!」

「私が?良いんですか?」

「うん!ぼくはタヌキくんの名前を考える!」

「は?」

「タヌキくんはキツネくんの名前を考える!」

「はあ⁈」

「良い考えですね。では明日までゆっくりと考えましょう」

「うん!何が良いかな?タヌキくん…タヌ…タヌーキくん…」

「おい待て、タヌキから離れろ!」

「えっ?」


ぼくはよく分からないけど、タヌキくんからちょっと離れた。


「距離じゃねえ!名前だ!タヌキを入れないで良い!」

「ああ、良かった。タヌキを入れない名前…キツネ…はキが一緒だから、スライム…」

「何でだよ!」

「ふふふ……、あはははは!」


名前を考えるのは大変かも。でも、とっても楽しい!

これから毎日こんなに楽しいのかな?

どうしよう!ワクワクして眠れないかも!

眠れない時に思い出すのは… なんだっけ?

忘れちゃった!


でもぼくはなぜか、その日すぐに眠っちゃったんだ。

明日から魔法学校に通うから、がんばって勉強するぞ!





おしまい

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