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【書籍版】錬成七剣神(セブンスソード)  作者: 奏 せいや
第二章 セブンスソード
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スパーダの登場

 彼女と一緒に駅のロータリーに来る。見れば時計塔の下にはすでに星都と力也の姿があった。


「おーい。二人きりってことは見つけられなかったってことか」

「ということは星都たちもか」


 俺たちもそうだが星都たちも行きと人数は変わっていない。どっちも空振りのようだ。


「ごめんねぇ、僕たちも探してはみたんだけど見つけられなかったよ」

「ううん、謝らないで織田君。私たちも同じなんだから」

「どうする? 今日は引き上げて明日またやるか? それか別の反応を探してみるってのも手だが」


 星都の提案に思案する。セブンスソードの期限。それを過ぎれば失敗とみなされ管理人が終了しにくる、もたもたはしていられない。


「相手の出方が気になるな、俺たちと同じで接触する気があるなら来るだろうし。そうでなく籠城してるならずっと空振りか?」


 とりあえずでここに来てみたがそう上手くはいかないか。


「今日のところは引き上げて明日また探索するのはどうだ? まだ諦めるのは早いだろうし。相手も様子見かもしれない。どうかな?」


 聞くがみんなも俺の考えに納得してくれた。


「よし、それじゃあ今日は一旦解散して、明日また同じ時間に集合しようか。危険な状況に変わりないけどなんとか乗り越えよう」

「なあ、ちょっと待ってくれ」

「なんだ、どうかしたのか」


 そこで星都から声がかかる。それで振り返るのだがなにやら表情が厳しい。


「気づかないのかよッ」


 言われ俺も慌てて街の方を見た。


「え」


 そこには、誰もいなかった。


「そんな」


 二、三歩歩いて駅前を見渡すが誰もいない。都会にあるこの駅はいつだって人通りが多い。さっきだってたくさん人が行き交っていたのに。

 嫌な予感がする。この状況は、


「管理人の時と同じか」


 あの時も人が消えていた。もともと人通りの少ない道だったから気にしなかったけどこれと同じか? もしそうなら。


「まさか」


 俺は念じシンクロスを出す。人がいないんだ、バレることもない。それで刀身を見るが。


「光ってる」


 黄色の刀身は大きな光を発していた。

 その時、コツンと足音が聞こえてくる。


「誰?」


 その音にいち早く香織が反応した。


 日は沈み空は夜に移り変わっていく。街灯の光が点き始め静かな駅前を照らす。

 音がした方向、そこには白いロングコートを着た男が歩いていた。


 二十代くらいだろうか、白い肌で濃い金髪の前髪は下げ横髪は少しハネている。夜に移ろう町に足首に届くほどの裾をした白の外套がなびき、身長は力也と同じくらいですらっとした体型は引き締まった体を思わせた。


 その男が俺たちを見る。切れ長の青い目が底冷えするほどの視線を放っていた。

 なんなんだ、こいつは。

 男は俺たちと距離を取り立ち止まる。シンクロスの光がさきほどよりも強い。間違いない。


「あんたも、スパーダか」


 この男も、俺たちと同じ。セブンスソードの参加者。俺たちはそこから生き延びようと協力してきた。


 だがこの男は違う。こうして対峙しているだけで、向けられてくる殺気が分かる!


「待ってくれ!」


 この気迫、間違いない。殺し合いをする前提で立っている!


「あんたもスパーダの一人なんだろ? セブンスソードっていう殺し合いの儀式に巻き込まれた。俺たちは戦う気なんてないんだ」


 突然放り込まれたこんな儀式に参加する気なんてない。


「セブンスソードなんて殺し合い、誰だってしたくないはずだ。俺たちは誰にも危害を加える気なんてない」


 今まで平和に暮らしていた。セブンスソードなんてしたくない。誰だって殺し合いなんて嫌だろう。

 だけど。


「なるほど」


 男は喋るが、そこに親愛の情はない。


「しょせんは茶番か。話にならん」


 呆れたような侮蔑するような、そんな醒めた声。その後表情を引き締め直し俺たちを睨んできた。


「スパーダ」


 男がつぶやく。それに合わせて男の手の平に光が現れた。

 それは紫。その中から現れたのは黒い鞘の日本刀でありそれを掴む。


「戯れ言につき合ってられん。剣を出せ。それくらいは待ってやる」


 そう言って男は構えた。腰を落とし居合いの構えを取る。


「ロストスパーダ!?」

「ロストスパーダ? なら、こいつが」


 香織が探していているというもう一本か。未来において紛失してしまった二本の内の一つ。これを手に入れないと彼女の目的は果たせない。


「ねえ! あなた名前は?」

「香織!」

「私は沙城香織。そのスパーダに用があるの。私たちの目的は停戦と協力なの。こちらから危害を加えるつもりはない。考えてくれない?」


 男は答えない。鋭い視線でスパーダを構えたままだ。


「名乗られた以上名前くらいは教えてやる。魔堂魔来名まどうまきな。それが俺の名だ」

「魔堂、魔来名……」


 それが俺たち以外の初めて出会ったスパーダの名前。


「それで、提案はどう?」

「教えてやる」


 金髪の男、魔来名がそう言うなり鯉口から刀を抜いた。それを見て香織も動く。


桃源刀とうげんとう

魔壊まかい


 白い鞘が出現しそこから桃色の刀身が顔を出す。二人の動き、二つの刃が重なった。


「天志!(てんし)!」

天黒魔あくま!」


 それは紫色の刀身だった。黒の鞘から抜かれるバイオレットの刃。二つの刃は衝突し香織は後ろに下がっていく。


「セブンスソードはスパーダ同士の殺し合い。それが嫌なら念仏でも唱えるんだな、俺が楽にしてやる」

「言ってくれるじゃん」


 こいつ、いきなり斬りかかりやがった! 


 考えていなかったわけじゃない。こうなることを。セブンスソードに積極的なスパーダがいれば当然戦闘になる。殺し合いを望んでするやつがいるなんて考えたくなかったけれど。


 だけどこいつは違う。ある意味正しい、本物のスパーダなんだ。

 俺は前に出た。


「聖治君?」


 香織が振り返る。だけど俺は彼女を見ることなく視線はずっと魔来名に向けていた。


「あんた、戦う気なんだな?」

「セブンスソードとはそういうものでありスパーダとはそのためにある」

「確認するが、止めるつもりはないか?」

「くどい。お前こそ最後の言葉でも考えておけ」

「そうか」


 魔来名の鋭い眼光に戦うしかないと確信する。


「みんな、やるぞ」


 最悪の展開だ。一番避けたかった状況に俺たちはいる。けれどこうなった以上仕方がない。


「ちっ」


 星都も状況を理解したらしくスパーダを出す。力也も表情を引き締め取り出した。


 四対一だ。状況は俺たちが圧倒的に有利。だけど余裕なんて一切ない。それだけこの男が発する雰囲気は重く緊張が全身を縛り付けてくる。


 この男を前にして、俺は思っていた。まだ出会っていないスパーダはいるけれど、こんなのが二人もいるなんて思えない。


 魔導魔来名。こいつこそがセブンスソード最大の障害になる。


 こいつを倒さないと、俺たちに明日はない!

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