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悪しき獣に神罰を  作者: らんペル
1章・幻獣ハンター
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アース・ネクロイド

「は~い、それじゃあこれが初任務の報酬よ~。」


「ありがとうございます!」



 ダイスはホーンラビットを討伐した報酬として2万ブランを貰った。



「これで大体流れはわかったかしら~?後はいっぱい任務をこなしてランクを上げてって自分のやりたい事をやるのよ~。」


「はい!あの、他のハンターの事とかって情報はあったりするんですか?」


「わかる範囲でいいなら大丈夫よ~。ハンターさん達の情報は協会で管理されてるから、ここみたいな支部ならどこでも調べられるわよ~。」


「それじゃあ1人調べてほしい人がいるんですけど…。」


「いいわよ~。名前はわかるかしら~?」



 ダイスは口ごもりながらも真剣な表情でノールに訴える。



「俺の…俺の父さん、アース・ネクロイドが今どんな状態か教えてほしいです!」


「アース…だって!?」



 父親の名前を聞いた途端、アミーユが顔つきを変えてダイスに迫ってきた。



「ダイス!君の父親の名前はアースで間違いないのか!?」


「う…うん…。」



 最初に助けた時よりも取り乱しているアミーユにダイスはたじろぐ。



「はいはい落ち着いて~。アースさんなら今のところ死亡報告も入っていなくて、高位幻獣『ムーンドラゴン』の討伐任務中になっているわ~。アミーユも逐一聞いてくるから名前だけでわかったわよ~。」



「父さんは生きているんですね…。よかった…。」


「すまない…取り乱してしまって…。」



 アミーユは落ち着きを取り戻し、ダイスに謝罪した後椅子に腰かける。



「それにしてもダイス君のお父さんがアースさんだったのね~。世界って狭いわね~。」



 ノールは1人で納得したのか、優しく笑っている。



「ノールさんは父さんの事を知ってるんですか?」


「ちょっと前までここの常連さんだったからね~。数少ないゴールドハンターで一緒にお酒飲んだり、色々語りあったりしたわよ~。ああ、そういえば自分の子供の話もしてたわね~。その子供がダイス君だったなんて思いもしなかったわ~。」


「ん?ちょっと待ってノール!ダイスのファミリーネームを見て何も気付かなかったの?」


「ファミリーネーム?あら~、見てなくて全然気付かなかったわ~。」


「アンタねぇ…。」


「それを言うならアミーユも一緒よ~?それだけ一緒にいてダイス君のお父さんの事聞いてなかったの~?」


「い、いや…、聞いてはいたのだが、よもやアースさんだとは…。それにファミリーネームも聞いてなかったし…。」


「私達似たもの同士ね~。」



 ノールは何度も確認できたはずのダイスのファミリーネームを見ておらず、今の今までダイスの事、父親の事に気が付いていなかった。


 アミーユも一緒でダイスに対してファミリーネームは聞いておらず、父親の事もただのハンターとしか認識していなかったのだ。



「父さんもここでゴールドハンターになったんですね…。よし!ありがとうございます!」



 父が生きていると知ったダイスは、嬉しさから少し涙が出ていたが、それよりも何かを決意した顔になっていた。


 ノールにご飯を奢ってもらった事、父親の事を教えてくれた事へのお礼を言い、酒場でやる事は終わった。



「それじゃあダイス帰るわよ。今後の事を決めたいわ。」


「え?帰るって?」


「私の家に決まってるでしょ。ちょっと話したい事もあるし。」


「ああ、わかった。」


「それじゃあ二人ともまたね~。」



 ダイスとアミーユは酒場を後にした。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 アミーユの家にて。


 アミーユは真剣な眼差しでダイスを見つめる。



(な、なんだ!?なんなんだこの展開は!?)



 少しの間ダイスを見つめたアミーユは口を開く。



「ダイス、あなたのお父さんはアース・ネクロイドで間違いないのね?」


「ああ。間違いないよ…。」


「そう…。1つ提案なんだけど、ダイスさえ良ければ私とパーティを組まないかしら?」


「パーティ?それってどういう事だ?」


「つまり、これから一緒に行動する仲間にならない?って事よ。」


「えぇ!?どうして俺と!?」


「理由はいくつかあるの。」


「それは聞いてもいい理由なのか?」


「相変わらず優しいわね。大丈夫よ。」



 アミーユは真剣な表情から一転して優しい微笑みを見せる。


 唐突なアミーユからのパーティ勧誘発言に戸惑うダイスだったが、酒場でのアミーユの取り乱し様を思い出し、現在の真剣な表情と、優しい微笑みに心を打たれ、理由を聞くことにした。

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