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悪しき獣に神罰を  作者: らんペル
1章・幻獣ハンター
8/26

お疲れ様。

 ダイスは今、幻獣ホーンラビットと戦っている。


 林の反対側を探していると、木の上から飛び掛かってきたために、いきなり戦闘となったのだった。


「こんのっ!すばしっこいな!!」



 ダイスの剣はホーンラビットには全く当たらない。


 素早く動き回る敵にダイスの剣のスピードが圧倒的に遅れている。



「闇雲に振るだけじゃ当たらなくて当然よ!しっかりと敵の動きを先読みして振りなさい!」


「わかった!」



 アミーユ助言もあり、先ほどとは違ってダイスの攻撃が敵に近くなってきていた。


 しかし敵も攻撃の手を緩める事はなく、ダイスに体当たりを何度も当てていくのだが、生まれたての幻獣であるためダイスにダメージはほとんどないが、ヒットアンドアウェイのホーンラビットはダイスに対し、常に距離をとって戦っている。



(ほぼ初めての戦闘だからしょうがないか。でもこれなら倒すのも時間の問題ね。私が出るまでもない。)



 アミーユはダイスとホーンラビットの戦力差を既に見切っており、その場に座り込んだ。



「剣だけが攻撃じゃないわ!使える物は何でも使わないと自分の身も危うくなるわよ!」



 その言葉を聞いたダイスは剣を鞘に納めて、その場に立ち尽くし、目を閉じた。



(あの子何をするつもりなの?)



 隙を見せたように感じたのか、ホーンラビットはダイスに向かって後ろから猛アタックしてきた。


 ダイスはその動きを感じ取ったのか、そのまま身体を回転させて裏拳を叩き込む。


 パァン!!と綺麗な音が鳴り響き、殴られたホーンラビットはそのまま吹き飛んだ。



(なによそれ…。)


「うおおぉぉ!!」


 そこへすかさず剣を抜いたダイスは吹き飛んだ方へと走り出し、倒れているホーンラビットに剣を突き刺した。



「はぁはぁ、どうだこのウサギめ…!!」



 剣に貫かれたホーンラビットはそのまま消え去り、幻獣討伐の証である魔石が足元に転がった。



「やったー!勝ったぞーー!!」



 ダイスは嬉しそうに声を上げ魔石を拾い、アミーユの元へ駆け寄る。



「やったぜアミ!幻獣討伐達成だ!」


「お疲れ様。初めての実戦はどうだった?」


「うーん…思ったよりも強くなかったかな。」


「戦い方はともかくとして、相当肉体を鍛えてたのね。私の予想よりもずっと戦えてたわよ。」


「ありがとう!ニシシ♪」



 まるで玩具で遊んでる子供のような晴れやかな笑顔を見せるダイスに、アミーユも自然と笑みがこぼれる。



「ふふふ、ところでどうして剣をしまったの?」


「ん?アミが使える物は何でも使わないとって言っただろ?だから俺の中で一番速い攻撃方法を考えたんだ。」


「その答が裏拳だったわけ?」


「おう!」


「アッハハ!!何よそれ!本当ダイスは面白いわね。」



 ケラケラと笑っているアミーユに驚きを隠せないダイスは先ほどの戦闘を振り返って考えるが…。



(そんなに変だったかなー。)



 ダイスにはまだ実践経験が足りておらず、足りていないからこその閃きがアミーユには衝撃的だったのだろう。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「さてと、それじゃあ酒場に行きましょうか。魔石は忘れてないわよね?」


「ああ!しっかり持ってる!」


「OKよ。じゃあ行きましょう。帰り道に採取できる物があったらついでに拾っていくよ。」



 こうしてダイスの初めての任務は無事に終わった。


 林を出る頃には日も落ちかけてきており、2人は酒場へと急いだ。


 カランカラン…。


 酒場のドアを開け中に入ると、昨日来た時よりもハンター客が多く、店はとても賑わっていた。



「あ、アミーユさんお帰りー!」


「おうアミーユの姉ちゃん!今日もお疲れだな!」


(ゴールドランクだからかな。アミって凄い人気だ。)


「みんなお疲れ様ー。」



 色々なハンター達から声を掛けられ手を振ったり言葉で返すアミーユ。


 受付カウンターへ行くとノールが手を振っていた。



「お帰りなさ~い。任務は完了したみたいね~。」


「ただいまです。バッチリ討伐してきました。」


「さすがノールお姉さんのお気に入りだわ~。それじゃあこの報告書を書いてね~。」



 ダイスは昨日アミーユが書いたものと同じ紙を渡された。


 紙にはいくつか書く欄があり、ハンター名、討伐依頼名、幻獣名、そして備考報告欄。


 ダイスは空いているカウンターへ報告書を書きに行く。



「それでダイス君はどうだったかしら~?」


「戦い方はまだ全然なってないけど、身体能力の高さは中々の物よ。グリーンランクの幻獣ともいい勝負が出来るくらいの戦闘力は持っていると思うわ。」


「あらあら~、もしかして金の卵ちゃん発見かしら~。」


「さあ、どうかしらね。」



 アミーユとノールがダイスの話で盛り上がっていると、報告書を書き終わったダイスが紙を提出しに来た。



「ノールさん、これで大丈夫ですか?」


「はいは~い。あら綺麗な字ね~。誰かさんのよりもよっぽど読みやすいわよ~。」


「うるさい!」


「ふふ~ん。それじゃあ魔石を出してもらえるかしら~?」


「はい!」


 ダイスはホーンラビットを討伐して手に入れた小さな魔石をカウンターに置く。


「OKよ~。それじゃあ報酬を用意するからしばらく待っててね~。そうだわ!初任務達成のお祝いによかったら酒場でご飯でも食べてって~。伝票は私にくれたら後で払っておくわ~。」


「本当ですか!?じゃあお言葉に甘えていただきます!」


「悪いわねノール。私もいただきまーす。」


「もう何でアミーユもなのよ~。しょうがないわね~。」



 依頼達成の報酬が出るまでの少しの時間ではあるが、ダイスは任務達成のご褒美として、アミーユはついでに酒場で夕ご飯をご馳走してもらう事になった。

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