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悪しき獣に神罰を  作者: らんペル
1章・幻獣ハンター
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いざ初任務!

 アミーユの家に招待され、ペットの猫と共にダイスはリビングでくつろいでいた。



「にゃーにゃお。」


「かわいいなコイツー!」



 猫と戯れていると風呂に入ってきたアミーユが戻ってくる。



「いいお湯だったわー。ダイスも入ってきなさい。ついでに服も洗っちゃうから洗うもの出しといてね。それじゃあ夕飯作ろうかしら…って何よ?」


「いや、何かいつもと感じが違うなって…。」


「そう?まあ気の休まるのは家の中だけだからね。おいでミャーちゃん。」



 猫を撫でながらまた新たな優しさの一面を見せるアミーユに対し、ダイスは最初にあった警戒心が嘘のように心を開いていく



(本当に幻神獣って幻獣とは全然違うんだな。どこからどう見ても人間の女の子だ。)


「それじゃあお風呂いただくよ。」


「ごゆっくり~。」



 1人で入るには余りある広い風呂でダイスはお湯に浸かりながら、様々な事を考える。



(アミーユには感謝しかないなー。スピリアを出て最初は1人で頑張るつもりだったのに、出会ったばかりの俺にこんなに良くしてくれて…。明日からは任務だ!気持ちを切り替えて1つずつ頑張っていこう!少しずつでもやってけばいずれは…。)



 幻獣ハンターになった目的のためにダイスはしっかりと自分の意識を再確認し、風呂を出る。


 風呂から上がりリビングに戻ると夕飯の用意がほとんど出来ていた。


 いい匂いが部屋の中で香り、テーブルに並べられている料理はダイスのお腹を鳴らすのに十分過ぎるほど美味しそうに見えたのだった。



「あらお帰り。丁度スープも出来たから食べましょう。」


「ああ、ありがとう。いただくよ。」



 ダイスの食べたアミーユの料理はとても家庭的で優しい味がした。


 夕飯を食べながらダイスは気になっていた事をアミーユに聞くことにした。



「なあ、どうしてここまでしてくれるんだ?」


「何の話かしら?」


「いや、旅路で出会っただけの人間にここまでは普通しないんじゃないかと思って…。」


「それは説明したでしょ?ダイスは私を助けてくれたからそのお礼をしなくちゃいけないの。」


「助けたって言っても森から連れ出して、傷の手当をして介抱しただけなんだけど。」


「それが私にはとても大きい事なの。正直あの時はちょっと危なかったのよ。腕の傷よりも、体力と魔力が限界に近かったからね。傷を治すのに使う分の魔力もダイスが手当してくれたおかげで無駄に消費しなくて済んだし。だから命の恩人って言っても差し支えないくらいダイスには感謝しているのよ。」


「そんなにあの幻獣は強かったのか?」


「アイツ自体は全然強くないわよ。アイツと戦うよりも前に受けたダメージが響いてて、限界に近いところにアイツが現れたの。」


「そうだったのか。」

(幻獣相手に動きが悪かったのはそういう事だったんだ。)


「さ、そんな事よりもしっかり食べて明日に備えるわよ。ダイスの初任務だもんね。」


「おう!」



 気になる点はまだあったダイスだが、この時は聞けずに食事の続きをする。


 夕飯を取り終え二人で少々のブレイクタイムを楽しんだ後、明日のために早く寝る事にし、アミーユはダイスを空き部屋に案内した。



「それじゃあおやすみ。」


「うん、おやすみ!」



 自分ではそんな感覚はなかったが、身体は意外にも疲れていたのか、ダイスは布団に潜るなりスヤスヤと眠りについたのだった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 次の日の朝、2人は依頼の幻獣が現れた林にいた。


 依頼の幻獣は小型の角を持つウサギ型の幻獣で、通称ホーンラビット。


 出現してから一定の期間までは丸みを帯びている小さな角だが、時間が経つにつれ大きくなっていき、やがては動物や人を刺し殺せるほどの大きさにまで成長する幻獣。


 成長しきる前の段階では新米ハンターにとっても易しく、絶好の初任務となる場合が多い。



「それじゃあ任務を開始しましょう。武器はその剣でいいの?」


「ああ!俺が昔父さんから貰った剣だ!コイツが一番使いやすくて慣れてるからこれでいく!」


「わかったわ。じゃあ次に幻獣の探し方だけど…。」


「ゴクリ…。」


「中型や大型じゃない限りは足で探すしかないわねー。その場所にある痕跡や違和感とかを地道に辿るしかないわ。後は襲われたって場所付近を探すとか。」


「なんだそれ!もっといい方法ないのかよ!」


「しょうがないわよ。ウサギと同じような幻獣なんだから小さいし、あっちだって動き回るわよ。だから自分の足で探し回るしかないでしょ?まあ運が良ければ向こうから現れてくれるわよ。」



 ダイスは林の中を走りながら討伐対象となるホーンラビットを探し回る。


 昼過ぎになっても対象の幻獣は見つからず一旦休憩する事にしたダイス達。


 落ち葉の溜まった場所に座り込み、持ってきたおにぎりを食べる。



「中々見つからないなー。」


「そうね。でも林の半分くらいは探したから、もう後半分よ。頑張りましょう。」


「そうだな。食べ終わったら反対側を頑張って探す!」


「ダイスは戦闘の経験はどれくらいあるの?」


「実際の戦闘はした試験の時の小型幻獣くらいしかないな。後は自分で訓練してたくらいで、自分がどれだけやれるのかも分からないんだ。」


「じゃあ今日はほとんど初実戦なわけね。私はとりあえず手を出さないつもりだけど大丈夫?」


「大丈夫!ここまでついてきてくれただけで十分だよ。」


「ふふ、それじゃあ反対側も探してみましょう。」



 休憩が終わりダイス達は改めて反対側の林の中を探しだした。

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