気がきくケンチャン
シュークリームを頬張りながら、アルルのお店へ再来店する。
「ケンチャンがこんなに気が使えるとは思いませんでした」
とマリリンが言うように、ケンチャンはどうやら甘党には見えないらしい。
「この子の防具にエンチャントして欲しいんだ」
アルルにそう言うと、
「どんなエンチャントが良いかね?」
と返してきた。
「私はとにかく運を上げたいです」
「それじゃあ運50%アップをインナーと防具にエンチャントしよう」
「武器は・・・何だ、これは!?」
「それはラストを倒した時にドロップした武器です」
「今の俺にはこの武器にはエンチャント出来ない。難易度が高すぎるんだ」
そう言って武器へのエンチャントを辞退するアルル。
とりあえずインナーと防具にエンチャントを施してもらった。
「両方で1200Gだ」
「はい、これでお願いします」
「丁度、まいどあり!」
マリリンの運の数値が凄いことになっている。運216だ。
アルルのお店を後にして、雑談しながら歩く。
「運216とは驚きだな」
「ええ、どんなことになるのか楽しみです」
アリアには絶望しながら、さっさとゲームが終わるのを待つ者達がいる。それは初日に、木の剣を武器にされた者達である。
「どんなステータスでも、スライム一体なら倒せるだろう?なぜ動かないんだ」
「そんな事武器持ちのアンタに言われたって、答えたくないね」
武器が木の剣の彼らには、全うなことを言ったとしても、武器持ちというだけで耳を貸してもらえない。
そこで青年が答える。
「最初は動いたさ。木の剣でも努力すれば追いつけると思ったんだ。でも現実は違った。パーティーを組んでいても、オーガ一体が怖いんだ」
「それならゴブリンを倒せば良い。収入効率はゴブリンの方が上だろう。そして武器を買えば良い」
「簡単に言ってくれるぜ。そうそう武器が手に入るくらいは収入がないっての」
「なに言ってるんだ?2000Gあれば、武器と交換出来るぞ」
そう言うと広場が一気に盛り上がった。
「そんな事知らなかったぞ!なぜ武器が買えることを知っているんだ?」
「もう少しNPCと仲良くする必要性がありそうだな」
広場の角にある小屋を指差す。
「あそこに2000Gと武器を交換してくれるNPCがいる。数量限定とかではないはずだから、マナーを守って買うことだな」
ケンチャンの一言で動き出す集団。
だが、それでも動かない者もいる。
以前ケンチャンに敗北した者だ。
「おい」
声をかけると身を振るわせ、
「もうゴールドは持ってないぞ!」
と必死の弁明を始めた。
しかし、
「ここに500Gある。残りは自分で真っ当に稼げよ」
と言って、立ち去った。
正直懐が痛いが、一人救ったと思えば安いものだろう。
こうしてケンチャンとマリリンはパーティーを組み、ファイヤービーと戦うのだった。あっという間に1000Gが貯まった。
ボス戦だが、最初はやはりケンチャン一人で挑ませてもらうことになった。
ボスはボーンメイドという、骨を作り出して戦うモンスターだった。双剣とはあまり相性が良くない。骨を切断出来るか分からないからだ。




