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カノアゲーム  作者: 朔
1/11

チュートリアル

是非読んでみてください

俺は土木作業員。いわゆる肉体労働者と言うやつだが、この度休暇を頂けることになった。それも少なく見積もっても一ヶ月以上。どうしてこんなに休みが取れるようになったかと言えば、カノアゲームの存在がある。カノアとはハワイ語で自由を意味している。


そんなゲームにどうして俺なんかが参加出来るのかと言えば、国からの命令ってやつだ。国が発令したVRゲーム法によれば、社会人でも会社から何名か参加者を集うことになっている。うちは零細企業だから一人だけだが、大企業になれば、千人の募集が出ると聞いた。


ところで、どうして一ヶ月以上の休みになるかと言うと、カノアゲームは誰かがクリアするまで、ログアウト出来ない仕様だからだ。国主導で勧めているので、デスゲームにはならないのが唯一の期待か。


そういえば自己紹介がまだだった。俺の名は御堂健二。土木作業員でいずれは事務の方へと考えている。妻子はまだいない。26歳だ。


キャラメイクに入る。名前はケンチャンにした。身長、体重はいじれないので、ベリーショートの赤髪にした。目の色も年月のかけたワインのような赤にした。眉はキリッっとし、男前に仕上げておいた。髭も一切無くしてと、こんなものだろう。


次に決めるのはステータスだ。筋力、素早さ、賢さ、器用さ、運だ。攻略勢になりたいので筋力にステータスを振るのは決まっている。そうでないと持ち運べる荷物の量が増えない。素早さも必要だ。歩くスピードと、武器を使うときのスピードに影響する。賢さは魔法職になるつもりがないので、そこまで上げる必要はないだろう。器用さもそこそこ欲しい。


問題は運だ。運を上げればヌルゲーになるのか?単にモンスターに遭遇しにくくなるのか。それともアイテムをドロップしやすくなるのか。


運に1ポイントも振らず、常にファンブルを起こしているような状況は嫌だったので、最低でも10ポイント振ることに決めた。


考えた結果、持ちポイント100の内、筋力を25素早さを35賢さを10器用さを20運を10振ることにした。


武器には双剣を考えている。だが、最初はみんな木の剣一本から始まるのだ。文句はいえない。


それではゲームスタートだ。と意気込んでみたものの、最初はチュートリアルからだった。歩いて走ってジャンプして、木の剣で的を壊すことを遂行した。そうしてようやくチュートリアルの最後、スライムとの戦いが始まった。


スライムは直線的に俺に向かって来て、攻撃前に止まった。どうやら戦闘シーンは本編で、ということらしい。止まっているスライムを木の剣で一撃で倒すとチュートリアルの終わりのブザー音が鳴り響く。


みんな今日が稼働日初日なので、全員がログインすることになっている。病院の一室で点滴を打ってもらいながら、体がなまらないように、運動まで自動でしてくれるそうだ。そこら辺の知識には疎いので、国がなんとかしてくれていると信じている。頼むぞ、ゲームを終えたらガリガリなんて目も当てられないからな。


ゲーム本編が始まると思ったら、主催者側から公平を期すため、全員のチュートリアルが終わるまで待っているように言われた。


その際、待っているプレイヤーはチャットアプリで他のプレイヤーと会話したり、武器を変えてのスライム戦が出来るようになっていた。


そこで俺はハンマーを振り回したり、狙っている双剣でスライムを倒して遊んでいた。


最初は楽しかったこの時間も、暇をもて余すようになってきた。ちなみにゲーム内時間は加速していて現実での一時間が、ゲーム内での二十四時間になる。


チャット欄も見てみたが、「仲間募集」など穏便にことが運んでいた。


ゲーム内時間が五時間も経過したところでようやく全員の準備が整ったようだ。


あれのどこに五時間も使う要素があったのかと思うが、よくよく考えるとキャラメイクガチ勢が存在するんじゃないかという推測に至った。


何はともあれゲームスタートだ。


予想どおりというべきか、とんでもない数の参加者がひしめき合っている。

「たしか高校生と大学生は全員参加だったな」

そんなことを思い出しつつ、辺りを見渡した。


明らかに陽キャグループがはっちゃけている。

「速攻でゲームクリアしてやろうぜ!」

と言って盛り上がっている。


そんな中、主催者が言った言葉に驚いた。

「難易度は鬼です。皆様頑張ってください」


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