表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~  作者: さとう
第八章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

97/109

漆黒のドラゴン

 ロストワン帝国から、少し離れた森の中。

 ここに、身体を横たえた大きな漆黒のドラゴンが眠っていた。

 正確には寝ているのではない。夢うつつ、眼を空けたり閉じたりして、寝ぼけている。

 ドラゴンは、ボソボソと言った。


『クソ……ハクリュウめ、面倒な……こと、を』


 ハクリュウの『酔夢の呪い』が効いているせいで、なかなか頭が働かない。

 さらに、力の一部を制限された状態だ。

 その呪いは、体内で分解されつつある。漆黒のドラゴンこと『バハムート』は首をブンブン振り、首を持ち上げ大きな欠伸をした。


『フガァァァァァ……!! ああ、なんとかいけるな。よし……』


 バハムートは、ドラゴン形態から人間の姿へ変身する。

 漆黒の鎧、漆黒の大剣を背負い、長くボサボサな黒髪、無精ひげを生やした二十代半ばの男性へ。目だけが赤い、暗黒騎士のような姿へ変身した。

 バハムートは、首をゴキゴキ鳴らす。


「ようやく呪いが消えた。力も解放できる……よし」

「あーあ。復活したのね、兄さん」

「…………ハクリュウ、てめぇ」


 現れたのは、ハクリュウだった。

 バハムートと正反対の、白い美女。

 ややめんどくさそうにため息を吐き、頬に手を当てた。


「兄さん、やっぱりお父さんの継承者と戦うの?」

「てめぇ……オレに面倒な呪いをかけておいて、最初に出る言葉がそれか?」

「仕方ないでしょう? お父さんが死んで悲しんでる兄さんが、人間たちの国に八つ当たりでもしたら大変だもの」

「誰が悲しんだ誰が!! オレは親父が老衰で死んだことに腹立ててんだ!! 死ぬならオレにやられて死ね!!」

「はいはい。お父さんのこと大好きだから、弱いところを見たくなかったのよね」

「ちっげーし!! てめぇ勝手なことばっか言ってんじゃねぇ!!」


 キレるバハムート。

 バハムートは「フン」と鼻息を荒くし、ハクリュウに聞く。


「おい、親父の後継者はどこだ?」

「クロスガルド中欧諸国。学園に通ってる子供よ」

「ガキだぁ?」

「ええ。でも、スヴァローグも、テュポーンもエキドナもやられた。リンドブルムがすごく懐いてるわ」

「ほぉ、雑魚とはいえ、あいつら始末したのか。やるじゃねぇか」

「そうね」

「ところで、アンフィスバエナは? ファフニールもやられたのか?」

「アンフィスバエナは傍観、ファフニールは不明。まぁ案外、人間として楽しく生活してるんじゃないかしら」

「けっ……まぁいい」

「あ、兄さん待った。戦うなら、リュウキが完全に力を制御できるようになったらにして」

「……はぁ?」

「そっちの方が、兄さんも楽しめるわ。今、あの子はきっと、お父さんの力を使いこなすために頑張ってると思うの。邪魔しないであげて」

「……そっちのが、面白くなるんだな?」

「ええ。間違いなく」

「まぁいい。じゃあ、メシ食いに行くぞ」

「いいけど、ロストワン帝国は消えたから、近くの国まで行くわよ」

「はぁ? 消えただぁ?」

「あなたがやったんでしょ……この、寝坊助さん」


 二人は並んで歩きだし、近くに国へ向かった。

 これが、バハムート。

 スヴァローグのように傍若無人ではなく、エキドナとテュポーンのように人間で遊ぶわけでもない。

 ただ、強者が好きなドラゴン。

 父を超えることを目標にしているだけの、ドラゴンである。


「おい、どのくらい待てばいい?」

「そうねぇ……わかんないわ」

「あぁ? まぁいい。メシ食ったら会いに行くぞ」


 現最強の『黒天覇龍』バハムートが、ついに動き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ