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追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~  作者: さとう
第八章

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評判

 学園ダンジョン、地下38階層。

 レノは、ジャイアントパーンと呼ばれる巨大な『ヤギ』の突進を真正面から迎え撃つ。

 拳を構え、レベル10となった『全身強化』を発動。どっしり構え、拳を振りかぶった。


「ッしゃぁ!!」


 正拳と、ヤギの頭が激突する。

 ヤギの頭蓋骨が砕け、吹っ飛んだ。

 レノはどっしり構えたまま、拳を収め一礼───した瞬間、背後から来た別のジャイアントパーンに吹っ飛ばされ地面を転がった。


「おぶっふぁ!?」

「バカ!! カッコつけてる暇なんてないでしょうが!!」

「う、おおお……い、いてぇ」

「レノ、回復する!!」


 サリオが魔法で回復。その間、アピアが両手に魔導銃を持ち、連射する。

 弾丸はジャイアントパーンの横腹に命中、血を噴き出し倒れた。

 アピアはマガジンを交換し、サリオの傍で銃を構える。


「援護はお任せください」

「ありがとう。レノ、大丈夫?」

「こ、腰……腰痛い」

「はいはい」


 レイは周囲を見渡しつつ、仲間の様子を確認。自分でもジャイアントパーンを双剣で切り刻み、俺に命令した。


「リュウキ、そっちは!!」

「任せろ。いける」


 俺の目の前には、ジャイアントパーンをさらに大きくした『キングジャイアントパーン』がいた。

 学園ダンジョン、38階層のボス。

 相手にとって、不足なし。


「『龍人変身(ドラゴライズ)』!!」


 四分の一(クォーター)

 両腕のみの変身。現在、四段階までの変身が可能だが、この状態なら朝から晩まで変身し続けられそうな気がする。

 俺は両腕に闘気を込め、全力でダッシュし跳躍。

 キングジャイアントパーンが吠え、俺に向かって突っ込んできた。


「『龍人掌(ドラッケン)』!!」


 キングジャイアントパーンの強靭な頭と、俺の巨大化した右拳がぶつかり合う。

 そして───キングジャイアントパーンの頭蓋骨が砕け散り、吹っ飛んだ。

 激突したキングジャイアントパーンは消滅。

 他の魔獣も、レイたちが討伐。


「よし!! これで学園ダンジョンの38階層もクリア!!」


 俺たちチーム《エンシェント》、絶好調だ!!


 ◇◇◇◇◇◇


 ショッピングモールのカフェへ来た俺たちは、それぞれ飲み物を注文した。

 レノは果実水を一気に飲み干して言う。


「っぷはぁ!! いやぁ~~~……マジで絶好調だよな、オレら」

「そうだね。等級も上がったし、スキルのレベルも上がってる。学園ダンジョンは38階層までクリアして、学園内の評判も上々。ぼくたちのチームに入りたいって子も多いけど……」


 と、サリオはレイを見る。

 レイは首を振り、しっかり言った。


「あたしたちは一年生だし、チームはこれ以上増やさないで地道に経験を積んだ方がいいわ。一年のうちに数ばかり揃えたチームになると、メンバーの育成が面倒なのよね」


 すると、今日は留守番だったアキューレが言う。


「わたしもダンジョン入りたい」

「ま、そういうことなのよ。こんな風に、ダンジョンに入れない子が出ちゃうしね」

「ダンジョンは五名まで、ですか……こればかりは、仕方ないですねぇ」


 アピアは紅茶を飲みながら俺に言った。


「あの、リュウキくん。明日のご予定は? 依頼でも受けるのですか?」

「いや、明日はリンドブルムのところに行くんだ」

「そうですか……」

「悪いな。用事があるなら、今度聞くからさ」

「はい。そのときはぜひ」

「ちょっとちょっと、あたしもあんたに用事あるんだけど」

「わかってるよ。レイ、また今度な」

「むー、わたしもリュウキと遊びたいな」

「アキューレも、今度遊んでやるからさ」

「約束だからね」

「ああ」


 レイたちと約束し、この日は解散となった。

 寮に戻ると、同室のマルセイが出迎えてくれた。


「や、リュウキくん」

「よ、マルセイ。なんかご機嫌だな」

「まぁね。スキルレベルが上がって、冒険者等級も上がったんだ。ふふふ、こんな嬉しいことはないよ」

「そっか。ところで、明日は休みだけど、何するんだ?」

「もちろんデートさ!!」

「で、デート……お、お前が?」

「……ふふふ。悪いねリュウキくん。ぼく、一足先に大人の階段を登らせてもらうよ」


 マルセイは、ニヤニヤしながらベッドの中に入った。

 こいつ……ほんとにデートなのか?


 ◇◇◇◇◇◇


 翌日。

 私服に着替えた俺は、リンドブルムがいる《真龍聖教》の大聖堂へ。

 真正面から行くと面倒なので、大聖堂近くにあるカフェでのんびり待つ。

 すると、可愛らしい私服を着たリンドブルムがいた。


「お待たせ、リュウキ」

「ああ。なんか食べるか?」

「うん。甘いの食べたい」

「じゃあ私もお願いしちゃおうかしら」

「ああ、じゃあ座───……は?」


 いきなり聞こえた第三者の声。

 リンドブルムの後ろにいたのは───アンフィスバエナだった。

 ギョッとすると、リンドブルムが手で制する。


「大丈夫。お姉さまは何もしないから」

「そういうこと。リンドブルム、何食べる?」

「パンケーキ」

「じゃあ私も」

「…………」


 二人は座り、普通に注文。運ばれてきたパンケーキをモグモグ食べた。

 俺は紅茶を啜り、アンフィスバエナを警戒する。


「そんなに見なくても、何もしないわ」

「……むぅ」

「いちおう、私はあなたの命の恩人よ?」

「……それを言われるとな」


 俺はため息を吐き、警戒を緩めた。

 とりあえず……なぜ、ここにアンフィスバエナがいるのか。

 俺は、リンドブルムに呼ばれてここに来たのだ。


「なぜ、私がここに?───みたいな顔ね」

「そりゃそうだろ」

「答えは簡単。あなたに渡す物があってきたの。それと、忠告……いえ、警告」


 アンフィスバエナは、紫色と水色の宝石をテーブルに置いた。

 これは……エキドナと、テュポーンの《核》じゃないか。


「これを食べると、あなたの力が僅かに上がるわ。第四形態の変身時間も伸びるはず」

「……どうして、これを俺に」

「あなたに、死んでもらっては困るからよ」


 アンフィスバエナは宝石を掴むとニヤッと笑い、いきなり俺の口にツッコんだ。


「もがっ!? んっぐ……」


 飲んでしまった───が、身体の中で燃える闘気が、強くなった気がした。

 いきなりのことで驚いた。俺はアンフィスバエナを睨む。


「警告よ」

「な、なんだよ……」

「テュポーン、エキドナ、スヴァローグの死により、残るドラゴンは五体となったわ。リンドブルム、ファフニール、アンフィスバエナ。そして……ハクリュウお姉様に、現最強のバハムートお兄様」

「ハクリュウ……それと、バハムート」

「二人が動くわよ。気を付けなさい」

「…………」


 アンフィスバエナは立ち上がる。すると、リンドブルムが言った。


「お姉さま、ファフニールお兄さま、は……?」

「さぁねぇ。居場所を言うと、私が消されちゃうわ」


 そう言って、アンフィスバエナは立ち去った。

 ハクリュウ、バハムート。またドラゴンが出てくるのか……なんだか、嫌な予感がした。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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