第四形態
全身を闘気で包んで防御力を上げ、両足の噴射口から闘気を噴射し高速移動。
上空で、俺はひたすらティアマットの攻撃を避け続けていた。
エキドナの方は放水、テュポーンの方は毒の弾丸をひたすら発射してくる。
遊んでいるのか、俺は黄金盾を両手に装備し、守りを固めながら回避しかできなかった。
「クッ……ちくしょう、隙がない」
『『ギャハハハハハハ!! 無駄無駄、無駄ぁぁぁぁぁ!! さぁさぁ、もっと踊れ、楽しませろぉぉぉぉっ!!』』
集中砲火。
器用なことだ。喋りながら常に口から吐き出している。
回避しかできない───でも、ただ回避しているだけじゃない。
俺は、ティアマトを観察して気付いたことがあった。
「なんとか、懐……いや、死角に潜り込めば」
この双頭の大蛇。大きさはクロスガルド王城に絡みつき、そのまま丸呑みできるくらいだ。
攻撃手段は、口からの放水、毒の弾丸だけ。俺を舐めているのか、それしかしてこない。
他の攻撃に移る今ならやれる。
さらに、攻撃手段もある……が、これはあまりにも危険すぎる。
正直、やりたくない。
「……覚悟、決めるしかない。ん?」
すると、宮殿からリンドブルムたちが出てくるのが見えた。
「リュウキ!! こっちは終わったぜ!!」
「バカ!! デカい声だしたら気付かれるでしょーが!!」
「あ」
「も、もう気付かれてるよぉ!!」
「わぁ、おっきい……わたしの国にある樹みたい」
レノのバカ!! ティアマットがそっち見たじゃねぇか!!
『ねぇ、その子たち殺したら……あなた、絶望する?』
「!!」
『はははっ、ならやるしかないな。死ね』
テュポーンの口が開いた。
エキドナの口が俺を狙っている。
まずい、まずい。
もう、覚悟を決めるしかない。
「うがぁぁぁぁぁぁ!! スキルセット、『嵐龍闘気』!! さらに『闘気精製』───〝突撃槍〟!!」
俺は竜巻を作り、黄金の突撃槍を作る。
『何考えてるか知らないけど、手遅れ───』
「させる、かぁぁぁぁぁぁぁぁ───ッ!!」
俺は竜巻を自らにぶつけ、突撃槍を構え全力で闘気を噴射。
緑色の竜巻がエキドナに向かって飛んでいく。
すると───エキドナの口から、とんでもない速度の『水』が発射された。
俺の突撃槍と、水の波動が正面衝突する。
『バラバラになりなさい!!』
「うぁァァァァァァ───ッ!!」
押し戻される。
そして、見た。
リンドブルムがレイたちを守るように前に出た。テュポーンの口が大きく開いた。
このままじゃまずい。
「頼む、頼む、エンシェントドラゴン!! 俺はどうなってもいい!! 今だけ、今だけ……お前の本当の力を貸してくれェェェェェェェェェェェッ!!」
すると───俺の胸、心臓付近が燃えるように熱くなった。
◇◇◇◇◇◇
『叫べ、リュウキ───』
◇◇◇◇◇◇
「え……」
◇◇◇◇◇◇
『ふふ、お前を舐めているこの二人の度肝を抜いてやれ』
「え、エンシェントドラゴン……」
◇◇◇◇◇◇
聞こえてきたのは、どこか楽し気な声。
エンシェントドラゴンの……俺の、友の声。
俺は全力で叫んだ。
「『第四解放』!!」
鱗が、俺の顔を包み込む。
全身を覆う鱗が変化し、完全な鎧となった。
完全なる龍人変身。スリークォーターとは比べ物にならない力があふれてくる……が、恐ろしい速度で闘気を消費している。
恐らく、三十秒も持たない。時間が過ぎれば変身は解除され、しばらく闘気は使えない。
『なっ……嘘、その力、まさか』
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ───ッ!!」
『オガッ!? がが、ガガッガガガッガッガッガガガッガガガ!!!???』
俺は、エキドナの口の中に飛び込んだ。
そして、体内を滅茶苦茶に掻き回しながら進み───……。
『な、エキド、ッゴボゥエあ!?』
テュポーンの口から飛び出した。
俺の突撃槍はボロボロだが、先端にはティアマットの内臓や肉片がくっついている。
双頭龍。さすがにダメージがデカいのか口から血を吐いてのたうち回っていた。
俺は翼を広げ、両手を前に突き出す。
すると、鱗が変形し合体。巨大な砲身となる。
「全ての闘気をつぎ込む!! これで終わりだ!!」
『『ぐ、ぎ、がぁァァァァァァァァァァ!! ギザ、まァァァァァァァァァァ!!』』
翼が黄金に発光し、全闘気が砲身に集まっていく。
「食らえ!! 『真龍神光砲』!!」
一日一発、今の俺の最強技が発射。双頭龍を飲み込み、その身体が消滅した。




