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追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~  作者: さとう
第七章

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オークション開始

『まず、最初のスキルは……エピックスキル、『天雷魔法』です!! 『雷魔法』の最上位魔法!! 大金貨500枚からスタートです!!』

「600!!」「700!!」「800!!」


 入札が始まった……が、俺はイザベラから目が離せなかった。

 あの女、なぜここにいる。目的はスキル、だよな?

 すると、サリオが俺の肩を叩く。


「天雷魔法、レイさんの第二候補だけどどうする? 第一候補が出ると限らないし、ここで落としておくのもありかも」

「あ、ああ……」

『現在、大金貨2700!! 他にいませんか?』


 ちなみに、大金貨1000枚で白金貨1枚だが、ここでは全て大金貨の枚数で計算する。そっちの方がオークション参加者にもわかりやすいからだ。

 オークションは、不正などがないように、事前情報などが全くない。通常のオークションでは出品リストなどがあるのだが……このスキルオークションに関しては、リストやカタログがない。

 なので、何が出てくるかわからない。

 俺たちの大金貨予算は50000枚。白金貨50枚だ。

 だが、まだオークションは始まったばかり。


「……いや、やめておこう」

「わかった」

『それでは、参加番号19番さんが落札です!!』

「…………」

「リュウキくん、どうしたの?」

「い、いや……」


 イザベラ。あの女……何を落札しに来たんだ?


 ◇◇◇◇◇

 

『それでは次のスキル!! 身体強化スキルの最上級、『全身強化』だ!! これがあれば、部分強化スキルはもう必要なし!! では、大金貨800枚からスタートです!!』

「来た。サリオ」

「わかってる」

「1000!!」「1200!!」「1300!!」


 サリオが挙手し、指立てる。


「2000!!」

「2100!!」「2200!!」「2300!!」


 そして、もう一度挙手。


「3000!!」

「「「「「…………」」」」」

『3000が出ました。他にいませんか~?……では、参加番号39番が落札!!』

「よし!!」


 思わず拳を握り、サリオと小さくハイタッチ。

 レノの望んだエピックスキルを手に入れた。大金貨3000枚、なかなかの出費だった。

 その後、『全体支援魔法』とレイの第一候補の『金属精製』を落札した。まさか、三人の第一候補を手に入れられるとは思わなかった。

 目的のスキルは全て手に入れたし、後はオークションを楽しもうとのんびり観戦。

 そして───本日最後のスキルが。


『皆様、本日最後のスキルとなります。本日参加された方は、新たな歴史が始まる瞬間に立ち会えるラッキーな方々としか言えません』


 司会者が仰々しい説明をする。

 俺とサリオが顔を見合わせ首を傾げた。

 そして。


『本日最後のスキルは、エピックスキル……ではありません!! なんと、レジェンド、レジェンドスキル!! 『大賢者(シン・サーガ)』!! 魔法系スキルの最強!! さぁ、大金貨30000からスタートです!!』

「100000」


 大金貨3万からのスタート。いきなり10万の値を付けたのは……イザベラだった。

 静寂に包まれる会場。

 唖然とした司会者が復活し、震える声で「じゅ、じゅうまん……ほ、他にいませんか」と言う。

 俺はイザベラから目が離せない。

 間違いない。こいつ……最初から、このスキルが狙いだった。

 大賢者。最強の魔法系スキル。

 

『そ、それでは。今回のスキルオークションはこれにて終了!!』


 こうして、オークションは終了した。


 ◇◇◇◇◇


 支払いをして、スキルを受取った。

 すると、ムーン公爵がステッキをクルクル回しながら俺たちの元へ。


「いいスキルを手に入れたようだね」

「はい!! えへへ、早く装備したいけど、レノと一緒に……リュウキくん?」

「……すみません。公爵様、サリオのこと任せてもいいですか?」

「構わないよ。ふふ、気を付けて」

「え、え……リュウキくん?」


 俺はサリオを置いて、オークション会場を出た。

 オークション会場の裏に回り、人がいないことを確認。


「『龍人変身(ドラゴライズ)』!!」


 変身し、オークション会場の屋根に飛び移り、闘気を全開にして視力、そして嗅覚を強化し、イザベラの匂いを探し当てる。


「───……いた!!」


 一台の馬車が、すごい速度でオークション会場から遠ざかっていく。

 俺は闘気を全開にして後を追う。屋根から屋根に飛び移り、馬車を追う。

 走りながら考える。

 どうして俺は、イザベラを追っているのか。

 明確な理由があったわけじゃない。でも……なぜか、イザベラを追わなければいけない気がした。

 馬車はクロスガルドを出て、街道をひたすら進む。走っているとバレるので、『第二解放セカンドリベレーション』で翼を生やし、空を飛んだ。

 そして、馬車が森の中で止まり、イザベラが下りてきた。


「……なんだ、ここ?」


 馬車が止まったのは、森の中にある小さな洞窟。

 イザベラは、数人の護衛と一緒に洞窟の中へ。

 俺は地上に降り、変身を解除。見張りもいないので、気配を殺して洞窟内へ。

 洞窟内には松明があり明るい。


「……いる」


 最奥が、明るい。

 奥に進むと、そこは……三十人以上の人間がいた。

 驚いたことに、玉座のような椅子に座っているのはイザベラだった。


「で、エルフのガキは見つけたのかしら?」


 イザベラが言う……エルフの、ガキ?

 すると、マントを装備している冒険者風の男が言う。


「いえ、まだです。ムーン公爵家に護衛されたエルフは東方に戻りましたので……現在、クロスガルドにいるエルフは、学園内にいる王族の女と、そのメイドだけになります」

「そ。だったら、捕まえてきなさい。エキドナ様がエルフの血をお望みなの。わざわざ東方まで行ってられないわ」

「し、しかし……あの学園内は、警備が厳しく」

「だから? それとも、エキドナ様の忠実なるしもべである私の言うことが聞けないのかしら?」

「そ、そんなことは」

「エキドナ様はエルフの血をお望みよ。さっさと捕獲してらっしゃい」

「「「「「は、ははぁ!!」」」」」


 エキドナ……その名前、聞き覚えがある。

 俺の中のエンシェントドラゴンの知識が告げる。エキドナ、ドラゴンの名前だ。

 そうか、こいつらが《ギガントマキア》……まさか、イザベラがギガントマキアのメンバーだったとはな。

 すると、エキドナの傍に立つ男が言う。


「ところでイザベラ様、オークションはどうでした?」

「上々よ。レジェンドスキルを手に入れたわ。これで、私のキルトはもっと強くなれる。フフフ……最強の魔力、最高のスキルを得たキルトは、ギガントマキアを率いるのに相応しい」

「あなたの息子、ですね」

「ええ。あの馬鹿な長男から魔力を奪うのは苦労したけど、その甲斐あって今はかなりの強さを誇る。ああ……キルト、もっと、もっと強くなって」


 ……この、野郎。

 イザベラがギガントマキアってだけで驚いてるのに、キルトをギガントマキアのリーダーにするのが、イザベラの計画なのか? 俺の魔力を奪ったのも、計画の一部……くそ。


「シモン。私は少し休む……あなたも、エルフの女を攫ってくるの手伝いなさい。そのための力をあげる」

「ありがたい。イザベラ様の『祝福』があれば、A級冒険者だろうと我の敵ではない」

「そうね。じゃあ……いってらっしゃい」


 イザベラが指を鳴らすと、シモンとかいう男は消えた。

 そして、イザベラが───……俺のいる方を見た。


「久しぶりね、リュウキ」

「……イザベラ、お前」

「フフフ。私が『ギガントマキア』と知って驚いた? そう、ドラグレード公爵家も、あなたに近づいたのも、あなたの強大な魔力を奪うためにすぎない。残念だったわね」

「……エルフを攫うだって?」

「ええ。我が盟主エキドナ様がお望みだから。苦労して助けたみたいだけど、もう遅いわ……今頃、シモンがあなたたちのアジトを襲っている。もう、手遅れよ」

「イザベラ、お前ぇぇぇぇっ!!」


 俺は変身しようとするが、イザベラが指を鳴らすと煙のように消えてしまった。


『またね、リュウキ……いずれキルトが、あなたを殺す』


 俺は最後まで聞かず、変身して洞窟から飛び出した。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[一言] リュウキがやられっぱなしでイマイチ。他人の魔力を奪って,スキルを奪ってそれで威張り腐ってるキルトって超クズがのさばっているのが不快。早く撃退して欲しいけどイザベラがいつまでも上手でたちふさが…
[一言] 竜の眷属の一人だったか スヴァローグに比べたら直接的な戦闘力は思ったより弱そうだった
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