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鉱山へ、そして

 真龍聖教。

 エンシェントドラゴンを神とする、聖王国クロスガルドを中心に広がる宗教。最高指導者は枢機卿のリンドブルム。外見は十四歳ほどの少女だが、数千年の時を生きるドラゴンであり、エンシェントドラゴンによって生み出された偉大なる存在である。

 

 エンシェントドラゴンによって生み出されたドラゴンは、全部で八体。

 現在、その行方が分かっているのは、リンドブルムのみ。

 完全に姿をくらましたドラゴンもいれば、ヒトに擬態し生活する者もいる。

 そして……ヒトを率い、組織を作るドラゴンも。


 現在、人が確認しているドラゴンは四体。

 真龍聖教の枢機卿リンドブルム。

 東方の国に安置されている石化したドラゴン。

 そして、ヒトの欲望、悪意、おぞましさを好み、好き勝手暴れている双子のドラゴン。

 

 エンシェントドラゴンが生み出し、『神話八龍』の双子ドラゴン。

 『毒魔凶龍』テュポーン。『睡蓮水龍』エキドナ。

 ヒトが手出しできない、最強最悪の犯罪組織のボスである。

 組織の名は、『ギガントマキア』……構成員は約三百名。

 数自体はそれほどでもないが、テュポーンとエキドナにより何らかの『力』を与えられた、違法スキルを所持する傭兵、そして元冒険者の集団である。


 ギガントマキアの構成員は、熟練冒険者たちによる襲撃を受け、アジトの一つが壊滅。構成員の数名が逃げて行方をくらましたとの報告が入っていた。

 さて、彼らはどこに逃げたのか?


 ◇◇◇◇◇◇

 

 ◇◇◇◇◇◇


 ◇◇◇◇◇◇


「準備できた? じゃ、行くわよ」


 ギルドでムーン公爵家の指名依頼を受けた俺たちは、公爵家が用意した冒険者運搬用の馬車に乗り、ムーン鉱山を目指し進んでいた。

 冒険者運搬用馬車。これがなかなか立派である。


「すっげーな。あの馬」

「あれ、魔獣との混合馬だよ。体力は普通の馬の数十倍、脚力もすごくて、一蹴りで岩を砕くとか」

「荷台も鉄製だし、意外と椅子は座り心地いいし、欲しくなるぜ」


 レノ、サリオが話している。

 確かにすごい。荷台は木製だが鉄板が貼りつけられ頑丈に補強され、座る部分には柔らかなクッションが敷いてある。このクッション、高いやつだよな。

 レイは、アピアと話している。


「鉱山に現れた魔獣……どんな魔獣でしょうか?」

「そうねぇ。鉱山って鉱石取るところで、魔獣とかエサとかそんなにいないはず。そこに住む魔獣だと……ロックワームとか、ロックタイタンとか、鉱石を食べる魔獣かな?」

「そんな魔獣がいるんですね……知りませんでした」

「ま。世界は広いってことね」


 俺は、『闘気精製』で作った剣を磨きつつ、投擲用の短剣を確認する。

 ルイさんには悪いことしたな……俺のためにいろいろ武器を用意してくれたみたいだけど、今の俺は武器に困っていない。全部『闘気精製』で作れるから。

 なので、武器のデザインだけ確認した。今ある武器は全部、新しいデザインで錬成したものだ。

 すると、サリオが近づいてきた。


「ね、リュウキくん。リュウキくんって、杖とかも作れる?」

「杖……こんな感じか?」


 俺は、闘気精製でサリオの持つ杖と同じのを作った。

 サリオに渡すと、すごく喜んでくれる。


「いいの? もらって」

「ああ、使ってくれ」

「わぁ~……ありがとう!」


 さっそく、サリオは俺の作った杖を装備……なんか照れるな。

 するとレノも。


「おい、オレにもガントレット作ってくれよ」

「いいぞ。ほら」

「よっしゃ!!」

「リュウキくん、私に銃を……」

「す、すまん。銃とか構造が複雑なのは難しい……」

「あたしはパス。これ、気に入ってるし」


 なんか、仲間と冒険しているって感じだ。

 それから半日馬車が進み、ムーン鉱山入口に到着した。

 鉄のフェンスで仕切られ、鉄製の門に守られた『ムーン鉱山』だ。鉱山前には管理人の小屋があるが、今は無人となっている。

 御者が門を開き、俺たちに言う。


「気を付けてください。ここからは魔獣の巣になっています」

「了解。さ、みんな行くわよ。リュウキとレノ、先頭で」

「「了解」」


 俺とレノが先頭になり、鉱山内部へ踏み込む。

 鉱山内は、魔導ランプの光で通路が明るく、視界も悪くない。

 だが、やはり通路が狭い。

 俺は腰に差していた二本のナイフを抜いた。


「今日はナイフか?」

「ああ。狭いし、剣だとな」

「多彩だねぇ」


 レノは拳をパシッと打ち付ける。すると、通路の前から何かがやってきた。


「来たわよ。二人とも」

「「了解」」


 ナイフを構え、やってきた魔獣を見る……それは、ムカデだった。


「む、ムカデかよ」

「ロックワーム。鉱石や岩、土なんかを食べる魔獣ね。鉱山に現れる魔獣としては、ありきたりなモノ。でも……ありきたり故に、厄介なのよ。一匹みたら十匹はいると思いなさい」

「じゃ、俺が」


 闘気を解放し、袖に仕込んでいたナイフを抜き投げる。

 ナイフはムカデの頭を貫通した。あれ、けっこう脆いのかな?

 ムカデは倒れ───……なんと、ムカデの仲間が現れ、共食いを始めた。


「ひっ……」

「なんだあれ、共食いかよ」

「仲間意識はないみたい。というか……あれ、全て退治するの大変だよ」


 アピアが俺の背に隠れ、レノが嫌そうな目で見て、サリオが首を傾げる。

 すると、レイが言う。


「……親がいるわ」

「「「「親?」」」」

「そう。ロックワームの親。そいつを倒せば、残りの子は死ぬわ。鉱山の奥に進んで、親を倒すわよ」

「親か。強いのか?」

「ええ。マザーロックワーム。討伐レートはB+の魔獣。ったく、ムーン公爵家だっけ? ずいぶんと嫌らしい魔獣を当ててくるわね」


 そう言い、レイは鉱山の奥へ歩き始めた。

 俺はアピアを安心させるように笑うと、アピアは小さく頷く。レノとサリオも並んで歩きだした。

 歩きだし、俺はほんの少し違和感を感じた。


「……ん?」

「ん、どうしたリュウキ」

「あ、いや……気のせいか」

 

 なんだか、見られてたような……でも、封鎖されてる鉱山に、誰かいるなんてこと、ないよな。


 ◇◇◇◇◇



「…………」



 ◇◇◇◇◇

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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