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パーティー準備

 夕飯を食べ、アジトに戻ってきた。

 レイ、アピアは風呂へ。俺とサリオとレノは話合いをしていた。


「なぁなぁ、今日の討伐三連チャン、めちゃくちゃ面白かったよな」

「ああ。敵はそうでもなかったけど、楽しかった」

「ぼく、一体も倒してないし、みんな怪我しなかったから役に立ってないなぁ。早く等級上げて、支援スキルをセットしたいよ」


 今日の反省だ。

 というか、反省すべき点はあまりない。


「アピアの狙撃、すごかったよな」

「ああ。あれほどの狙撃、どれだけ訓練したら」

「お嬢様は生まれつき、狙撃の才能がありました」


 ……いきなりの声に、俺たちはビビった。

 アピアの執事、セバスチャンさんがいた。しかも俺の背後に。

 そう言えばこの人、気配殺すのめちゃくちゃうまかった。

 まさかと思うけど、討伐も一緒だったのかな。


「リュウキ様。お嬢様からお話があると思いますが、近日、ムーン公爵家主催のパーティーが開かれます。衣装などはこちらで用意しますので、どうぞよろしくお願い致します」

「あ、そういえばそんな話あったな。わかりました」

「おいおいおい、なんだよパーティーって」

「アピアに頼まれたんだよ。パーティーのエスコートしてくれって」

「わぁ……ねぇねぇ、アピアさんって婚約者とかいないの? 確か、マーキュリー侯爵家だったよね? それほどの爵位を持つ貴族なら、もう婚約者がいてもおかしくないと思うけど」


 と、サリオが言うとセバスチャンさんは。


「お嬢様に婚約者はまだいません。ですが……在学中に、見つける必要はありますな。現在、候補が何人か上がっています。全員、貴族の方でして……お嬢様は、乗り気でないのです」

「ま、わかるぜ。貴族ってクソかったるいよなぁ。結婚とか、したい時に好きな奴とすればいいのによ」

「…………」


 俺はなんとなくわかる。元、貴族だし。

 婚約者。貴族の血を絶やさないためにも、子孫を残すのは貴族の務めだ。

 すると、ぺたぺたと歩く音が聞こえ、リビングのドアが開いた。


「あー気持ちよかったぁ!」

「ふぅ……お先、いただきました」


 レイとアピアだ。

 うぅん、湯上りの女子……二人とも血色がいい。髪も湿ってるし、なんか色っぽい。

 レノは特に気にしていないが、サリオが目を反らしていた。


「な、オレらも入ろうぜ。門限、まだ平気だろ?」

「いいな。サリオ、行くぞ」

「ぼ、ぼくはいいよ……って、なんで二人して腕掴むの!?」


 俺とレノは、サリオを連行して風呂へ入った。


 ◇◇◇◇◇


 アジトの管理は、セバスチャンさんがやってくれるそうだ。

 学園には入れないし、セバスチャンさんの待機場所としてもアジトはいい。マーキュリー侯爵家は貴族街という学園から反対方向にある。空き部屋に住んでもらうことになった。

 セバスチャンさんに見送られ、俺たちはアジトを出る。

 俺とレイが先頭を歩き、アピアとサリオが何かを話し、レノは大きな欠伸をしていた。


「あ~、夜風気持ちいいな」

「そうね。ふふ、アジト……冒険者のアジト」

「レイ、そんなに嬉しいのか?」

「ええ。当たり前じゃない。それに、一年生でアジトを持つなんて、そうはないわよ?」

「そうなんか?」

「そりゃそうでしょ。まぁ、金持ちお坊ちゃんなら持ってるかもしれないけどね」

「ふぅん……まぁ、明日からアジトに集まればいいか?」

「そうね。ギルドも学園も兄さんの店も近いし、放課後にアジトに集合して、冒険者ギルドで依頼を受けるってのがいいわ。それと、学園ダンジョンに入るのもありね」

「わかった。ふふ、なんか学生冒険者っぽくていいな」

「ぽい、じゃなくて冒険者なのよ」


 すると、アピアが俺の隣に。


「あの、リュウキくん」

「アピア、どうした?」

「その、パーティーの件なんですけど」

「ああ、さっきセバスチャンさんから聞いた。近く開催されるんだって?」

「はい。その、衣装合わせもあるので、明日の放課後、一度私の屋敷に来ていただけると……」

「明日か」


 レイをチラッと見ると、そっぽ向いた。


「お風呂でアピアに聞いたわ。行ってらっしゃい」

「あ、ああ。なんか怒ってる?」

「別に? あ、今度兄さんの店に買い物しに行くから、付き合いなさいよ」

「お、おお」

「二人で、ね」

「え……あ、ああ。わかった」


 すると、今度はアピアがムッとしていた。何なんだ?


 ◇◇◇◇◇


 翌日の放課後。

 俺はアピアと一緒に、マーキュリー侯爵家に来た。

 放課後になった瞬間、セバスチャンさんが迎えに来て馬車に乗り、あっという間に貴族街に来た。

 俺も元貴族。貴族の屋敷がデカいことは知っているけど……。


「で、デカいな」

「そうでしょうか?」


 マーキュリー侯爵家。俺の実家の五倍はデカいな。

 セバスチャンさんを筆頭に、執事やメイドが総出で迎えてくれた。


「「「「「お帰りなさいませ、お嬢様」」」」」

「ただいま。さっそくだけど、リュウキくんのパーティー用衣装をお願い」

「かしこまりました」


 メイドさんの一人がアピアの前に、俺の前には若い執事が。

 

「リュウキくん。ダンスは踊れますか?」

「ああ。習ったよ」

「そうですか。あの、衣装が決まったら少し練習をしたいのですが」

「わかった」


 執事さんと一緒に屋敷の中へ。

 採寸され、パーティー用の衣装をいくつか見繕ってもらう。

 黒をベースにし、金色の糸で刺繍が入ってる衣装に着替え、軽く髪を整え化粧をした。

 そして、執事さんと一緒にダンスホールへ。

 しばらく待っていると……ドアが開いた。


「お待たせしました、リュウキくん」

「ああ、アピ……」


 ア、と最後まで言えなかった。

 水色を基調としたドレスだった。長い髪は丁寧にまとめられ、綺麗な髪飾りで止めている。化粧もして、アクセサリーも身に付けて……すごい、別人みたいだ。

 肩がむき出しで、胸元を強調しているせいで、胸の谷間が見えている。貴族女性のドレスって、なんで胸元を強調するのが多いんだ。


「リュウキくん?」

「あ、ああ。その、見惚れてた」

「えっ」

「あっ」


 しまった、何言ってんだ俺!?

 アピアが恥ずかしがり、俺も顔を反らしてしまう。

 すると、メイドさんが咳払いする。


「こほん。では、ダンスの練習をしましょうか」

「「は、はい」」

 

 アピアとのダンスは、寮の門限ギリギリまで練習した。

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脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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