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等級アップ

 全身を闘気で強化し、俺は走り出す。

 オークは戸惑っているのか、オロオロしていた……悪いな、遠慮しない。

 俺は右手を膨張させ、オークの一体をぶん殴る。


「『龍人掌(ドラッケン)』!!」

『ブバァ!?』


 おお、パンチ一発で爆散した。威力が高過ぎで身体が爆ぜるなんてヤバいな。

 そしてもう一体、もう一体も殴り殺す。すると、藪から増援のオークが出てきた。

 俺は左手の鱗を展開し、黄金の闘気を噴出する。


「『闘気精製(ドラゴンスフィア)』───『短斧(ショートアックス)』!!」


 小さい斧をいくつも作り、オークたちに力任せに投げつける。

 今の腕力で投げた斧は、オークの身体を貫通し岩に激突してようやく止まる威力だ。オークの数が一気に減り……残り数体というところで異変が。

 藪から、真っ赤な身体をしたデカいオークが現れたのである。


「れ、レッドオーク!? こんなの依頼になかったわよ!?」

「リュウキくん、援護します!!」


 レイが武器を抜き、アピアが狙撃銃を構えるが、俺は手で制する。

 せっかくのチャンスだ。見せてやる。

 俺は両手を交差し、呟く。


「『第二解放セカンドリベレーション』」


 両腕の鱗が上半身を包み込み、腕の形状が少し変わる。

 四分の一ではない、『半分(ハーフ)』形態へ進化した。


『ブモォォォォォォ!!』

「悪いな、少し遊ぼうぜ」


 レッドオークは巨大な斧を持っていた。俺を両断しようと振り下ろされるが……見える見える。俺は右手で斧を掴む。

 レッドオークは、必死に斧を取ろうともがく。だが、今の腕力ならレッドオークが十体いようとパワー負けすることはない。

 斧を放し、軽く腹に蹴りを叩きこむと、レッドオークは倒れてしまう。


「俺のスキル、見せてやる。スキルイーター・ストック……『炎龍闘気』!!」


 赤い闘気が俺の身体を包み込み、両手に赤い籠手が装備された。

 スヴァローグの闘気は、もう完全に俺のモノ。

 せっかくだ。この籠手、『炎龍籠手(スヴァローグ)』にしておこう。


「っしゃ!!」

『ゴボォ!?』

「もう一丁!!」

『ブバァァッ!?』


 腹に一撃、顎に一撃。

 吹き飛ばされたレッドオークは、首の骨が砕け死んでいた。

 俺は闘気を解除し、右手の『捕食右龍(アジ・ダハーカ)』を展開。レッドオークの死体に向けると、右手の五指ががぱっと開き、レッドオークの身体に喰らい付いた。


「スキルイーター、『咀嚼(インストール)』……あ、こいつスキル持ってる」


 スキル『バーサーカー』……一定時間、攻撃力十倍になるスキルか。スキル使用時は表皮が真っ赤に変わるのが特徴。うーん……いらないな。というか、レベルが上がらないからストックできない。

 インストールだけでダウンロードできず、経験値となった。


「よし、終わり……」


 変身を解くと、どっと疲れが押し寄せてきた。

 そして、レノが近づき俺の背中をバシッと叩く。


「おま、最強じゃねぇか!! その力あれば学園最強だろうが!!」

「いや、これめちゃくちゃ疲れるんだよ。もっと体力付けて筋力も付けないと使いこなせない」

「じゃあ筋トレか? ははは、いいなお前、すげぇよ!!」

「リュウキくん、回復するよ。怪我はしてないけど、少しは疲労が取れると思う」

「ありがとな、サリオ」

「すっごいわね……これなら、A級……ううん、S級の討伐依頼も受けられるかも」

「燃費悪いから、長時間は無理だぞ?」

「リュウキくん……かっこいいです」

「あ、ありがとな、アピア」


 みんな、思ったより素直だ。誰も怯えてないし、恐れていない。

 まぁ、『獣化』スキルの延長みたいなものだと思ってるんだろうな。


「さて、依頼はこれでおしまいね。オークの討伐証拠を持ってギルドに戻りましょうか」

「「「「了解」」」」


 こうして、ゴブリン、コボルト、オークの討伐が終わった。

 ちなみに、レッドオークの討伐後。


「ふふふ、見てこれ、レッドオークの心臓……これは高値で売れるのよ。兄さんの店で買ってもらおうかな」

「そんなのどうするんだ?」

「決まってるじゃない。あたしたちチームの『アジト』を買うための資金よ」

「「アジト?」」


 俺とアピアの声が揃った。

 するとサリオが。


「冒険者チームは、王都にアジトを持ってるパターンが多いんだ。アジトでは作戦会議をしたり、武器や防具を保管したり、仲間と団らんしたり……あと、冒険者チームが大きくなれば、アジトが宿泊所になったりもする。大手の冒険者チームのアジトは、訓練場があったり専用の寮まであるよ」

「す、すごいな……」

「ダンジョンに入れるのは、1チーム五名までだ。他のチームメンバーはそのチームで鍛え、新しいチームを作ったりもする。ま、研修所みたいな役割もある」

「……知りませんでした。あの、アジトでしたら、私が父に「ストップ」


 と、レイがアピアを止める。


「気持ちは嬉しいけど、仲間はみんな対等よ。アピア、あんたも貴族のお嬢様じゃない、このチームのメンバーなんだから、貴族としての力は使わないこと。お金はみんなで稼いで、みんなでアジトを買いましょ」

「レイさん……ご、ごめんなさい。余計なことを」


 アピアはぺこっと頭を下げた。

 アジトか。そういうのもあるんだなぁ。

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脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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