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依頼

 放課後。

 俺、レイ、レノ、サリオ、アピアの五人はショッピングモールにあるカフェに来た。

 今後の予定を話すためである。


「依頼は、王都で探すわよ」


 レイがそう言うと、レノが挙手。


「討伐依頼!!」

「当然よ」

「え、マジ? なんとなく却下されると思ってたぜ」

「あたしらは全員、戦闘向きのスキルを持ってるからね。採取系依頼はそっち専門の冒険者が受けるでしょうし。とりあえず、ゴブリンでもオークでも、討伐依頼を受けてレベル上げないと」

「討伐かぁ……」

「それに、冒険者等級を上げれば、セカンドスキルを付けることもできるわ。というわけで、さっそく王都のギルドに行くわよ」

「こ、これからですか?」


 アピアが驚く。放課後とはいえ、あと二時間もすれば日が暮れる。

 ここから王都の冒険者ギルドまで徒歩で三十分。寮の門限は夜の七時。あまり時間はない。

 だが、レイは言う。


「門限まで戻ればいいでしょ。それと、せっかくだし夕飯は王都の店でどう? 兄さんからお小遣い送られてきたし、みんなに奢ってあげる」

「マジ!? さっすが、リーダー最高だぜ!!」

「……リーダー?」

「あん? 違うのか? オレはてっきりお前がリーダーかと」

「え……あ、あたしが?」

「……ぼくもそう思ってた」

「俺も」

「私もです。レイちゃん、すごく頼りになるから」

「そ、そういうのはリュウキでしょうが!」

「いや俺、何にも知らんし…………なんか自分で言って悲しいな」

「ってか、あたしらチームなの?」

「「「「え、違うの(か?)(ですか?)?」」」」


 全員揃った。

 俺はてっきり、この五人が冒険者チームってことなのかと。

 レイは赤くなり、そっぽ向く。


「……じゃああたしがリーダーで。チーム名は?」

「俺の名前はダメだぞ」

「あれは仮だから。あはは、リュウキくん気にしてた?」


 サリオをチラッと見ると、苦笑いした。

 そして、レノが挙手。


「チーム『バーニングファイヤー』……これで決ま「却下」なんでだよ!!」

「あの~……早く町に行かないと、暗くなっちゃいますよ?」


 アピアの一言でチーム名は保留。王都へ行くことになった。


 ◇◇◇◇◇


 聖王国クロスガルド、王都セイファート……今更だが、王都の名前セイファートって初めて知った。というか、王都の名前くらい知っておけよ俺……と思う。

 五人で冒険者装備で町を歩き、冒険者ギルドへ。

 アピアが挙手。


「あの、レイちゃん。なんで冒険者の衣装に?」

「舐められるから。学生が制服着てワクワクしながら依頼掲示板覗き込むなんて、ベテラン冒険者からすればいいカモよ。みんな、覚えておいて。冒険者にもクズはいるってことを」

「「「「……」」」」


 過去に何かあったのかな……とは聞けない。

 レイはB級冒険者。きっといろいろあったのだろう。

 冒険者ギルドに到着し、俺は建物を見上げた。


「で、でかいな……」


 冒険者ギルド。

 長方形のデカい箱のような建物だ。大きな正面入口のドアは解放され、依頼人や冒険者が出入りしている。レノ、サリオは特に感想もないようだが、アピアと俺は建物を見上げていた。


「初めて見ました……」

「アピア、王都に住んでるんだろ? 見たことないのか?」

「は、はい。ギルドまでは来たことがなかったので」

「そこの二人、行くわよ」


 レイたちがスタスタ歩きだす。

 レノやサリオはここで冒険者になり、依頼を受けてたんだよな。


「とりあえず、依頼掲示板を見ましょうか。運が良ければ、低ランクの討伐依頼が残ってるかも」


 ギルド内は広かった。

 いくつもあるカウンター、そこで対応しているギルド職員、二階は酒場になっているようで、依頼を終えた冒険者たちが飲み食いし、武勇伝を語っている。

 一階には道具屋や素材買取屋もあるようだ……すごい。


「ふわぁ~……」


 アピアもぽかーんとしていた。

 すると、レノが。


「そこの新人、依頼掲示板はこっちだぜ」

「あ、ああ」

「は、はい」

「ふふ、ぼくらもここに初めて来た時はそんな風に見上げてたなぁ」


 サリオはクスっと笑い、すでに依頼掲示板を覗いているレイの元へ。


「とりあえず……ゴブリン、コボルト、オークの討伐依頼があったわ」

「え、マジで? 豊作じゃん」

「まぁね。運が良かったわ。しかもこれ、全部同じ地域にあるの。一日あれば終わらせられるわね」

「では……受けますか?」

「ええ。アピア、たぶん連戦で体力的にキツイと思うけど」

「大丈夫です! 私、頑張ります!」

「よーし。明日は休みだし、一日かけて魔獣討伐よ!」


 レイは依頼書を三枚ひっぺがし、受付カウンターへ。


「この三つを受けるわ」

「確認します。B級冒険者レイ様ですね。こちら、全てD級依頼となりますが、よろしいですか?」

「ええ。新人の指導も兼ねてるから」


 俺、アピア、サリオはE級、レノはD級だ。

 新人指導ね……間違っちゃいないけど。

 依頼を受け、レイは笑う。


「じゃ、ご飯食べに行くわよ!」


 とりあえず、腹も減ったしいっぱい食うか。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです [一言] 今回主人公がロイのことを忘れてるような描写になってて不思議に思いました レイとの繋がりもロイからだったのに しかもクズ冒険者に嵌められた事実も忘れてる感じでした
[気になる点] レイが冒険者にもクズはいるものよって言ってましたけどその後リュウキがきっといろいろあったのだろうって言ってロイの時のこと言わないのはおかしいのでは?まるでロイのこと忘れてる感じがします…
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