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闘技大会

「つ、疲れた……」


 夜、門限ギリギリに部屋に戻った。

 マルセイはまだ寝ている。俺は部屋に備え付けのシャワーで身体を洗い、そのままベッドに寝転んだ。

 休みは終わり、明日から授業だ。

 これからは、放課後まで学園。放課後以降はリンドブルムの浮島で特訓だ。

 スヴァローグというドラゴンが俺を狙っていると知った以上、少しでも闘気の使い方に慣れる必要がある。リンドブルムは言った。

 

「最低でも、わたしより強くなって。じゃないと、スヴァローグお兄ちゃんに殺される」


 と……リンドブルムよりも強く? 

 はっきり言う。不可能だ。

 俺はドラゴンの両腕を使い、リンドブルムを全力で殴った。だが、リンドブルムには傷一つ付かない。それどころか、俺が殺されてもおかしくなかった。

 ベッドで寝転んでいると、睡魔が襲ってくる。


「…………くぁぁ」


 そのまま目を閉じ───……俺は静かに眠りについた。


 ◇◇◇◇◇


「腹減った」


 翌朝、マルセイと一緒に朝食を食べて学園へ。

 Dクラス教室に向かい、レノとサリオがすでにいたので挨拶する。


「よ、レノ、サリオ」

「おう」

「おはよ、リュウキくん」


 席に座ると、サリオがニヤニヤする。


「聞いたよ? 昨日、アピアさんとデートしてたんだって?」

「は? デート?」

「へ、隅に置けねぇなぁ?」

「……」


 ここで、俺はようやく気付いた。

 デート。休日に、女の子と二人で買い物をしたり、食事をしたり、公園でのんびり過ごしたり……これは、デートなのではないか、と。

 俺はサリオの肩を軽く叩く。


「で……デートじゃないし。話があるっていうから聞いただけだ」

「「ふーん」」

「そ、そういうお前らは何してたんだよ」

「オレは短期労働」

「幼馴染の実家のパン屋で働いてた、ってことね。ぼくは王立図書館で勉強してた」

「王立図書館!? そんなのあるのか!?」

「う、うん。あの……レノのパン屋、気にならないの?」

「おいサリオ、余計なこと言うな!!」


 レノの幼馴染のパン屋、王立図書館。

 まだまだ知らないことが多いな。


「レノには幼馴染がいるんだ。彼女、実家のパン屋を継ぐために修行中なんだけど、レノってば休みの日はそこに通ったり、仕事を手伝ったりしてるんだよねぇ~」

「ほほう。ちなみに、幼馴染ってのはどんな子だ?」

「ぼくらと同い年の女の子。かわいいよ~?」

「お前らブチ殺すぞ!!」


 レノをからかい、ホームルームの時間となった。

 担任教師のホスホルが教壇へ立ち、いまいちやる気のなさそうな声であいさつする。


「じゃ……授業を始めます。教科書を開いて」


 最近知ったが、ホスホル先生はやる気がなさそうに見えるだけだ。

 授業はわかりやすいし、質問にもちゃんと答えてくれる。

 見てくれは酷いが、それ以外は真面目だった。

 午前中の座学が終わり、俺、レノ、サリオはショッピングモールへ。

 お昼は学生で混むが、地下商店の数は半端じゃない。入ろうと思えばどの店にも入れる。

 すると、ショッピングモール入口でレイとアピアに会った。


「リュウキくん、こんにちは」

「アピア。昨日はいろいろありがとな」

「いえ。私こそ、お土産までもらっちゃって」

「…………」


 すると、レイがムスッとしているのに気付いた。

 サリオが俺の肩を叩き、耳打ちする。


「リュウキくん、レイさんのこともフォローしないと」

「フォロー?」

「……ダメだこりゃ」

「おい、なんだよそれ」


 レイが俺の背中をバシッと叩く。


「リュウキ、何食べたい?」

「そうだな。肉を食べつつ、最後に甘いの食べたい」

「じゃ、焼肉ね。行くわよ」


 レイは歩きだす。

 アピアが申し訳なさそうに隣に並び、サリオが肩をすくめて歩きだす。

 俺はレノに聞いた。


「なんで怒ってるんだ?」

「……馬鹿かお前?」

「は?」


 そう言って、レノも歩きだした。


 ◇◇◇◇◇


 焼肉を食べ、締めにアイスを食べた。

 喫茶店に移動し、のんびりコーヒーを飲むと、レノが言う。


「聞いたか? 学園長主催の《闘技大会》のこと」

「とうぎ、大会?」

「ああ。あの学園長、見ての通り武闘派だからよ、『学園最強の生徒は誰だ!!』みたいなコンセプトで、闘技大会を毎年開催してるんだとさ。優勝者にはなんと、『学園最強』の称号、準優勝以下の4人に『四天王』の称号を与えるって」

「し、四天王?」

「ああ。一学園最強と、その下にいる四天王。だとさ」


 く、くだらねぇ。

 よく見ると、レイも似たような顔をしていた。

 サリオ、アピアも苦笑している。


「え、じゃあ……今の二年、三年生にも『学園最強』と『四天王』がいるのか?」

「ああ」

「ぶっ……くく、馬鹿みたいねぇ」


 レイが噴き出した。

 俺もすごく気持ちがわかる。

 サリオはお冷を飲みながら言う。


「ぼくは遠慮しておこうかなぁ。そもそも、ぼくは回復系だし」

「オレは出るぜ。へへ、腕が鳴る」

「あたしも出る。面白そうだしね」

「私は……んー、遠慮しておきます」

「俺はどうすっかな……」


 出てもいいけど、あまり目立ちたくない。

 すると、予鈴が鳴った。


「さて、そろそろ出るか。そういえば、みんなはどんな部門取ってるんだ?」


 そういや、みんなの部門はあまり知らない。


「あたしはこれから『護衛部門』に行く。守ることも覚えないといけないし」

「私は『音楽部門』を取りました。ふふ、実は音楽が好きでして」

「リュウキとオレはこれから『筋力トレーニング部門』だ。行こうぜ」

「ぼくは『薬草学部門』に行くよ」


 みんな別々の部門で学ぶ。俺とレノは一緒だけどな。

 さて、筋力トレーニング部門……いっぱい肉食べたし、いい汗掻くか!!

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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