表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放貴族少年リュウキの成り上がり~魔力を全部奪われたけど、代わりに『闘気』を手に入れました~  作者: さとう
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/109

危険階層

 現在、カフェで休憩中。ここの従業員は学園関係者らしい。

 俺は、レイたちに管理人さんから聞いた危険階層のことを話す。


「───……ってことで、危険階層があるらしい」

「へぇ、面白そうね……って、言うと思った? 冗談じゃない、そんな危険な場所には近づかないわよ」

「…………」

「レノ、一瞬だけ『面白そう』って思ったでしょ」

「さ、サリオてめぇ、余計なこと言うんじゃねぇ!!」


 レノはサリオの肩を掴んでガタガタ揺らす。

 俺はアピアに言う。


「調査隊も帰って来なかった危険な場所らしい……」

「まぁ……怖いです」

「ま、行かなきゃ安心だ。な、レイ」

「そうね。あと、今日は二十階層くらいまで進んで終わりにしましょっか。じゃ、そろそろ行くわよ」


 レイが立ち上がり会計を済ませる。

 先輩冒険者としての奢りらしい。感謝感謝。

 カフェから出て気付く。


「あれ、いない」


 管理人さんがいなかった。

 お手洗いでも行ったのだろうか。


「リュウキ、行くわよ!!」

「あ、ああ───……ん?」


 レイたちが階段に足をかけている。

 だが、ちょっと違和感を感じた……あれ? 階段を封鎖していた鎖、こっちの階段だったか?

 首を傾げると、レノが言う。


「おい、何してんだ」

「……まぁ、いいか」


 とりあえず、先に進まないといけない。


 ◇◇◇◇◇◇


 階段を上り、先に続く扉を開けて中へ。

 扉が閉まると、扉は綺麗さっぱり消えてしまった。

 さて、休憩して疲れも取れた。先に進んで……。


「…………」

「レイ、どうしたんですか?」

「……おかしい」


 レイが一筋の汗を流す。

 その理由が、俺にもわかった……背中がピリピリし、妙に寒い。

 おかしい。気温が低いわけじゃないのに、冷える。

 なんだろう……俺の何かが、警戒している。


「……なんか、さみぃ」

「レノ、お前もか」

「リュウキ……なんだ、この階層?」

「……」

「あ、あの、リュウキくん」


 アピアが俺の袖をそっと摘まむ。


「な、なんだが、嫌な予感がします」

「アピア……」

「ぼ、ぼくも、ここはヤバいと思う。レイさん、どうする?」

「……進むしかないわ」

「え……」

「見てわかるでしょ? もうセーフエリアには戻れない。先に進むしか、道はない」

「で、でも」

「……気持ちはわかる。あたしも、嫌な予感しか感じてない。でも……ここで立ち止まっても、どうにかなるわけじゃない。だったら、みんなで力を合わせて進むしかないでしょ」


 レイは、自分に言い聞かせるようにサリオに言う。

 不安なのか、冷や汗を掻いていた。

 この時点で、俺は確信した。


「間違いない……ここは、危険階層だ」


 ◇◇◇◇◇◇


 どうして、危険階層に入ったのか。

 管理者さん? なぜ管理者さんがいない? 鎖の入れ替わり?

 誰が? 俺たちが休んでる間に? どうして、こんなことを?


「…………」


 わからない。

 悩んでいると、レイが言う。


「ここから先は、最大級の警戒をもって進む……いい、空気で察したと思うけど、ここはヤバいわ。それと、あたしが前に出るから、リュウキは殿をお願い」

「わ、わかった」

「……マジでヤバいわ。この先に、何がいるのか」


 レイは緊張したまま、階層の奥へ続くとドアを開けた。


 ◇◇◇◇◇◇


 ドアを開けると、そこは広い空間だった。

 途端に襲うプレッシャー。ズンと、重しを両肩に載せたような威圧感。

 ドアが閉まると、ドアが消えた。

 レイは槍を抜き、レノは震える手で拳を構える。アピアとサリオは動けなかった。

 現れたのは───……漆黒の狼。


「な、なんだ……こいつ」

「…………うそ」


 驚くレノ、驚愕するレイ。

 漆黒の狼は、真紅の眼をギラギラさせ、遠吠えした。


『ウォォォォォ───……ン!!』


 部屋が震えた。

 みんな、動けなかった。

 レイですら青ざめ、動けなかった。

 動けたのは───……俺だけだった。


「みんな!! しっかりしろ!!」

「「「「!!」」」」

「あのバケモノ、何なんだ? 誰か知らないか!?」


 必死で叫ぶ。

 すると、レイがポツリと呟いた。


「……『大罪魔獣』」

「え?」

「ぶ、文献で、読んだことがある……あ、あれは、この世界に七体存在する最強の魔獣の一体」

「さ、最強の魔獣? 最強って、ドラゴンじゃ」

「ドラゴンを除いた最強よ。そもそも、ドラゴンに喧嘩を売る種族なんていない。だから最強は不動なの。でも、それ以外で最強の名を関した、七体の魔獣がいるの」

「それが、あいつか」

「え、ええ……巨大な漆黒の体躯、真紅の瞳を持つ狼。恐らくあれは、『暴食の影狼』、マルコシアスよ」

「暴食の、影狼」


 マルコシアスは、漆黒の毛を逆立てていた。

 ヨダレをダラダラ流し、大きな口を開ける。

 動けるのは俺だけ。


「やるしか、ない」


 こいつが、管理者さんが言っていた、過去にダンジョンを調査しにきた調査隊を全滅させた魔獣。

 大罪魔獣『暴食の影狼』マルコシアスか。

 俺は闘気を解放し、ミスリルソードを抜いてマルコシアスに突き付けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
気に入ってくれた方は『ブックマーク』『評価』『感想』をいただけると嬉しいです
― 新着の感想 ―
[良い点] 休憩してる間に他の学生も間違って入らなかったんだろうか
[一言] 召喚士の時のように仲間が死ぬとかは正直二番煎じになると思うのでどのように窮地を切り抜けるかを期待しています。
[一言] リュウキがどう立ち向かうのか? 凄く楽しみ。 続きが待ち遠しい〜
2022/04/03 19:04 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ