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二年後へ向けて

 俺とヴァルカン学園長の戦いが終わり、数日後。

 学園祭も終わり、いつもの日常が戻ってきた。

 俺たちチーム《エンシェント》はアジトに集まり、これからの方針を決める。


「学園祭も終わったし、冒険者らしくダンジョンと依頼に挑戦するわよ。学園ダンジョン以外のダンジョンに挑戦したり、高ランクの依頼を受けて、スキルのレベルとあたしたちの実力を上げるわ」


 レイが言う。

 俺はさらに付け加えた。


「みんな。俺は二年後、最強のドラゴンであるバハムートと戦う。これから二年、俺は死ぬ気で鍛えようと思う……正直、みんなが付いてこれるとは思わない。それでも」

「付いていくぜ」


 俺が言い切る前に、レノが言う。

 拳をパシッと合わせ、俺に付きつけた。


「舐めんじゃねぇ。勝手に決めんな。ふざけんな。いいか? お前が突っ走るならそうしろ。オレは勝手に後ろから追うからよ。付いてこれないだぁ? ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ」

「レノ……」

「リュウキくん。ぼくも同じ意見……きみに置いて行かれるつもりはないよ」

「サリオ、お前もか……」

「当然、私もです」

「あたしもよ」

「わたしもー」


 アピア、レイ、アキューレも力強く頷く。

 全員、俺とバハムートのやり取りを見ていたからこその言葉だ。

 わかる……俺を、一人にしないために言っている。


「……ありがとう」


 だから俺は、お礼を言った。

 本当に、俺には勿体ないくらいの仲間だ。


「さて!! 鍛えるのはもちろんだけど、学園祭が終わった後は、テストがあるわよ。文武両道、テストもしっかり高得点狙いで!!」

「うげぇ……」

「あ、そうそう。赤点取るとそのチームは連帯責任で追試だからね」

「マジで!?」


 レノが驚愕した。

 レイがレノにテストについてあーだこーだと話している。

 それを聞きながら、俺は拳を強く握った。


「……強くなる。絶対に」


 バハムート、待ってろ……俺はもっともっと、強くなるからな。


 ◇◇◇◇◇


 ◇◇◇◇◇


 ◇◇◇◇◇


 ムーン公爵家の執務室では、ムーン公爵ことファフニールと、アンフィスバエナが紅茶を飲んでいた。

 ファフニールは、実に楽しそうに笑う。


「くっくっく……二年後か。実に楽しいね」

「ファフニール、嗤いすぎ」

「いいじゃないか。まさか、バハムート兄さんが、人間を認めるなんて!! くははははっ、これだけでも素晴らしいことだ。まさか「人間の可能性……」


 第三者の声が執務室に響いた。

 二人が窓へ視線を向けると、そこにはハクリュウがいた。


「久しぶりね、ファフニール。驚いた……こうして目の前にいるのに、全く闘気を感じないわ」

「……これはこれは」

「安心なさい。あなたをどうこうするつもりはないわ」

「それはどうも。で、姉さん……姉さんは、どうするつもりで?」

「当然、邪魔はさせないわ。バハムート兄さんとリュウキの戦い。ふふ、恐らくこの世界は揺れる。私は、この世界を維持するために、準備をするわ。アンフィスバエナ、あなたも手伝いなさい」

「え~? まぁ、いいけど」

「ファフニール。あなたはリュウキくんの力になりなさい。もちろん、ムーン公爵としてできることをね」

「……もちろん、そのつもりさ」

「そ、ならいいわ」


 そう言って、ハクリュウは消えた。

 窓から出たのではない。白い闘気に包まれた瞬間、煙のように消えてしまった。

 ファフニールは、頭をポンと叩く。


「油断、したかな?」

「そう? でも、バレちゃったね」

「欺くことに関しては、兄弟で一番だと思ってたんだがねぇ」

「ま、いいじゃない。じゃあ、私は姉さんのお手伝いするね。ファフニールは、リュウキに高難易度のダンジョンを紹介したら?」

「もちろん、そうするさ。ふふ……二年でどこまで強くなれるかな? 実に楽しみだ」


 アンフィスバエナは、窓から出ていった。

 残ったファフニールは、ソファへ深く腰掛ける。


「リュウキくん。きみは実に面白い……さて、彼と仲間たちに合うダンジョンを見繕っておかないとね」


 ファフニールは、鼻歌を口ずさみながらダンジョンを探し始めた。

 これから二年───……リュウキたちの、本当の戦いが始まる。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
連載中です!
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