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魔力ゼロ

新作です!

よろしくお願いします!

「リュウキ、残念だ……お前を、この家から追放する」

「そんな!! 父上、僕は!!」

「黙れ!!」


 いつも温厚な父上が、執務机をドンと叩く。

 その剣幕に、僕はビクッと震えてしまった。

 そして、父の傍に立つ継母のイザベラが、クジャクという魔獣の羽で作った扇を広げ、口元を隠しながら言う……断言してもいい、あの扇の下の口は、歪んでいる。


「まさか、当主の座欲しさに、キルトを毒殺しようとするなんてねぇ……」

「知らない!! 僕がそんなことするわけがない!!」

「では、あなたの部屋から見つかった毒瓶はなにかしら?」


 勝ち誇ったように言うイザベラ。

 父上の執務机の上に、毒の入った小瓶が置かれている。

 当然、僕はこんなもの知らない。


「魔力を失ってしまった腹いせをするなんて、ねぇ……姉上の子は卑しいですわ」

「……なん、だと」

「よせ、イザベラ」

「ああ、申し訳ございません、旦那様」


 魔力を失った。

 違う。

 僕は叫びたかった。

 

「ふふ、大賢者に匹敵する魔力を持つ神童だった頃が懐かしいですねぇ」

「……っ」

「イザベラ、もうよすんだ。リュウキ……残念だが、お前はこのドラグレード公爵家から追放する。理由はもう言わなくてもわかるな?」

「……僕が、魔力を失ったから、ですか」

「そうだ」


 父上は、きっぱり断言した。

 魔力とは、全ての力の源だ。魔法を使うエネルギーであり、魔道具という魔力で動く道具も魔力がないと使えない。

 だが、僕は……その魔力がない。

 ある日、魔力を全て失ってしまったのだ。

 でも、僕は覚えている。魔力を失った原因を。


「ふふふ……」


 イザベラ。

 この女が、僕の魔力を全て奪った。

 そして……義弟のキルトに、僕の魔力を全て移したのだ。


「リュウキ。いくらかの金貨を渡す。それで王都に行き、職を見つけ暮らすがよい。以上だ」

「ち、父上……」

「以上だ」


 それっきり、父上はもう僕を見ていなかった。

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お読みいただき有難うございます!
脇役剣聖のそこそこ平穏な日常。たまに冒険、そして英雄譚。
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