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46話 決着

「魔法部隊、一斉攻撃!!」


 タナスト皇太子が、国軍である魔法部隊にそう命じた。

 魔獣ヴァグリアが暗黒のダークゲートを破壊したことにより、バームラント国軍が玉座の間に入って来ていた。

 

 ドドドドドドドドドド!!!

 

「グオォォォォォォォォォォォォ!」


 魔法部隊の連続攻撃魔法によって、魔獣ヴァグリアの動きが止まっている。

 が、その攻撃によってダメージを受けている様子はない。


 けど、これはチャンスだ。

 これで、ジークスがしばらく自由になれる。


「ジークス!!」

 

 僕はジークスを大声で呼んだ。


「ウルク?」


 ジークスが声に気づき、僕達の所へと戻って来た。


「……逃げることは容易だが、あれを倒すのは今の俺でも難しそうだ……。もしかして、何かいい手でも思いついたのか?」


「ああ」


 僕が頷くと、ジークスがやっぱりかという表情をしている。


「そうか、じゃあ、直ぐにでも教えてくれ」


 アリーセスと話しながら思いついた作戦をみんなと共有した。



「……なるほどな……。他の手は思い浮かばないし、その作戦で行くか……」


 ジークスがそう言うと、ラミーニア、サーフィア、ミリーもうなずいている。


「浄化するには、ヴァグリアに一度触れないといけないんだけど、これは僕とラミーニアで接近しようと思う」


 ラミーニアが頷いて同意した。


「その間、ジークスとサーフィアとミリーは神力マナめておいて欲しい」


 三人も頷いて同意する。


「それじゃあ、作戦開始!!」


 僕がそう掛け声をすると、三人は神力マナを溜め始め、僕とラミーニアは、全力疾走をしながら魔獣ヴァグリアに接近した。


「ウォーーーーーーーー!!」


 魔獣ヴァグリアが咆哮ほうこうすると、攻撃を受けていた魔法を全て弾き飛ばした。

 同時に暴風がヴァグリアの周りに巻き起こる。


「ぐっ!」


 ……あまりの強風に近づけない……


 僕が苦戦していると、

「ウルク、ごめんなさい!」

 と、突然ラミーニアがそう言った。


「え?」


 ガシッ!


 ラミーニアが僕の身体を掴んだと思ったら、

「うーーーーーりゃーーーーーーー!!」

 と気合を入れながら僕をヴァグリアに向かって投げ飛ばした。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 投げられた勢いと暴風の間に挟まれながら、顔面が押しつぶされそうになる。

 でも、そのお陰で、一気に間合いは詰めることが出来そうだ。


 ドカッ!


「ぐあっ!」


 魔人ヴァグリアに勢いよくぶつかって止まった。 


 ちょうど、魔獣ヴァグリアに触れているので、

 ……浄化されますように……

 と念じ、直ぐに後退する。


 ガッ!


「ラミーニア! 浄化が始まったから、一旦、下がろう!」


「はい!」


 ラミーニアの手首をつかんで、神力マナを溜めている三人の所へと走り出す。


 戻る途中で、向かいに立っていたタナスト皇太子と一瞬目が合った。

 すれ違いざまにタナスト皇太子がニヤリと微笑びしょうする。

 

「魔法部隊よ、ここが正念場しょうねんばだ! 魔法を放ち続けて魔獣を足止めせよ!!」


 タナスト皇太子が号令ごうれいすると、魔法部隊が魔法を連続で放ち続けた。


 ドドンドンドンドドドドド!!!


「ウォーーーーーーーー!」


 ……もしかして、僕達が何かをしようとしていることをさとって、援護してくれているのか?


 お陰で起源オリジン発動はつどうする時間がかせげる。


 ザッ!


「お待たせ!」


「出来たのか?」


「ああ」


 心なしか魔獣ヴァグリアを覆っている魔素の量が減っているように見える。


「魔法の源流げんりゅうである創造主アリーセスの力につどえ!」


 起源オリジン詠唱えいしょうを始めた。

 ジークスとサーフィアとミリーが僕に神力マナを注いでいる。


「……これは……」


 物凄ものすご膨大ぼうだいな量の神力マナに包まれているのが分かった。


 ……神位精霊の神力マナの量はすさまじいな……


 ヴーン!


 集めた神力マナを、刀剣へと移す。


 ……後は、刀剣を魔獣ヴァグリアに突き刺し、内部から起源オリジンを発動させたいが……


 そう考えていると、ふと、さっきの光景を思い出した。


「……ラミーニア、もう一回投げてもらえる?」


「にゃ?! 分かりました!!」


 一瞬驚いていたが、ラミーニアはこころよく返事をして、何故か楽しそうに笑顔で僕をヒョイっと持ち上げた。

 

 ダッ!

  

 ラミーニアが魔人ヴァグリアに向かって走り出す。


「ガァーーーーーーーーーー!!」


 僕達の存在に気づいた魔獣ヴァグリアが、咆哮ほうこうしながら黒い火球を放った。


 ザッ!


 ドーーーーーーーーーン!!


 ラミーニアがけた火球が後方で爆発する。

 

 そして、ある程度まで魔獣ヴァグリアに近づいたところで、

「全力投球ーーーーー!!!」

 とラミーニアは叫びながら、魔獣ヴァグリアに向かって僕を全力で投げた。


「神位風精霊魔法、疾風ブラスト!」


 ジークスが風の神位精霊魔法を使って、そこに更にスピードを追加する。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 ズガーーーーーン!!


 僕は気合を込めながら、魔獣ヴァグリアに刀剣を突き刺した。


「ガァァァァァァァァァァ!!」


 魔獣ヴァグリアが雄叫おたけびを上げながら、怒り狂っている。


 ……刀剣を刺しことによるダメージは、ほとんどなさそうだが……

 今回はそれが本命ではない。


「……ヴァグリア、これで最後だ……。古代魔法、起源オリジン!!」


 刀剣を刺した状態で、僕は起源オリジンを発動させた。

 

 魔獣ヴァグリアを中心に辺りが光につつまれる。

 その光は玉座の間全体をおおっていた。

「……長かったヴァグリアとの戦いが終わりましたね、ウルク……。今回はタナストも頑張っていました。それにしても、ラミーニアちゃん、楽しそうにウルクを投げていましたねw」


次回、「いつの間にか異世界の勇者になってしまっていたのだが」


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