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44話 古代魔法オリジン

神位しんい精霊魔法、風のウインドソード!」


「ジークス! 何故、貴様が神位精霊を!?」


 闇精霊魔法が解けた後、ジークスはミーシャの姿をした魔人を斬り、そのままヴァグリアとの戦いへと移行した。

 

 ジークスの精霊はフーリスからミーシャに代わっている。

 風の精霊ミーシャはアリーセスの力によって昇位しょういし、今は神位精霊となっていた。


「ふふ、それは、お前が一番よく分かっているのではないか?」


「あの小僧か! ……まさか、本当に勇者だったとはな……。いいだろう、まだ力が覚醒かくせいしていないうちに、このヴァグリアがまとめて叩きつぶしてくれるわ!!」


 ……ヴァグリアに勇者と認定されてしまった……

 ジークス、そんなにあおらなくても……


 魔王十二将と一対一で対峙たいじをしたらまず勝ち目はない。

 まだ勇者としての実力が備わっていないのは、自分でもよく分かっている。


『……ですが、ウルクに出来ないことがないわけではありません』


 アリーセスが話しかけてきた。


『ん? ああ、さっき言っていた奥の手のことか?」


 さっきは、ジークスがヴァグリアとの戦いに参戦出来ないとリスクが高いと言っていたのだが……

 ジークスが戻って来た今なら使えるということなのだろう。


『はい』


『それって、どんな奥の手なんだ?』


『それは、勇者だけが使える古代魔法、起源オリジンという魔法です』


『古代魔法、起源オリジン?』


『魔法の元を辿たどると、創造主としての私の力から全て派生はせいしています。そのため、勇者には様々な魔法を一つに集めることが出来る能力がそなわっているのです』


 ……魔法の起源が創造主であるアリーセスの力から派生しているとか……

 普段、何も考えずにアリーセスと会話をしているが、こういうことを聞くと、改めて創造主なのだと実感するな……

 

『要は、みんなの魔法の力を集めて、ヴァグリアにその魔法オリジンを放ったらいいということかな?』


『それで間違いありません』


 ……確かにこの魔法オリジンは、ジークスがいない状況ではリスクが高すぎる……


 みんなの魔法を集めておいて、もし外すようなことがあれば、敵の格好かっこうの的になってしまう。


 それに、ジークスを除いて、この場で魔法が使えるのは自分も含めて三人だけ。

 それだけの魔法量では、おそらくヴァグリアに致命傷ちめいしょうは与えられないと思われる。


 ジークスとヴァグリアの戦いの援護として、起源オリジンを使うという意味に違いない。



「ラミーニア、サーフィア、ミリー、ちょっといいかな……」


「「「はい」」」


 ジークスとヴァグリアの戦いが始まったことにより、少しだけ息をつくことが出来た。

 今は、ラミーニアとサーフィアとミリーを、ミューリの水精霊魔法で回復している。


 ミリーは回復を受けながらも、聖剣ホーリーソードで魔族と戦いつつ、ジークスの援護をしている。

 さすがのミリーも、神力マナをだいぶ消耗しているようだ。


 みんなを集めて、アリーセスと話し合った内容を簡単に共有した。


「……そんな魔法があるなんて……」


「お父様からそういう魔法があると聞いたことはありましたが……」


 ミリーは驚いていたが、サーフィアはシムナ聖騎士団長から聞いたことがあったようだ。

 もしかすると、聖騎士団長達の間では知られている魔法なのかもしれない。


「それで、具体的にはどうしたらいいの?」


 ミリーが確認する。


「具体的には、僕が魔法の詠唱えいしょうを始めると神力マナを集められるようになるので、そこに二人の神力マナそそいでもらいたいんだけど……」


「「分かりました」」


 みんなを集める前に、アリーセスから起源オリジンの使い方は聞いていたので、その通りに説明する。


「ラミーニア、ちょっと負担ふたんが大きくなるけど、魔族達の相手をお願い出来るかな?」


「任せて下さい!」


 起源オリジンを使うためには、三人の中で一番上位の精霊魔法が使えるミリーにも協力をしてもらわないといけない。

 そのため、一定時間、ミリーの光魔法、聖剣ホーリーソードに代わって、ラミーニアに魔族達をしのいでもらう必要がある。


 本人は腕を振ってやる気満々な様子だが、

「無理はしないようにね」

 と、頭を撫でながら忠告しておいた。


「はい!」


 ラミーニアは笑顔でそう元気に返事をした。



「魔法の源流げんりゅうである創造主アリーセスの力につどえ!」


 アリーセスに教えられた通りに、僕は魔法の詠唱を始めた。

 詠唱中、サーフィアとミリーが僕に神力マナを注いでいる。


「古代魔法、起源オリジン!!」


 ズドーーーーーーーーン!


「うっ!」


 古代魔法、起源オリジンによって放たれた巨大な閃光せんこうの力が、思った以上に強かったため、僕は後ろにってしまったが。


 ガッ!!


 サーフィアとミリーが両手で支えてくれた。


「なっ?!」


 ヴァグリアが巨大な閃光に気づき、とっさにけた。

 が、一瞬判断が遅れたため、右腕は打ち抜いた。


 直撃ではなかったが、右腕には当たった。

 問題は、どれくらいのダメージを与えられたかだが……


「え?」


 ヴァグリアの右腕を見ると、閃光が当たった箇所が、跡形あとかたもなく消し飛んでいた。


 ………そんなに強いの!?

 この魔法オリジン……

 

「……まさか、起源オリジンまで使えるとはな……」


 ヴァグリアが右腕を再生させようとしているが、創造主としてのアリーセスの力が付加ふかされているからか、再生に時間がかかっている。


目算もくさんが狂ったな、ヴァグリア」


「フッ、……この程度で勝った気でいるのか?」


「何?」


 ……右腕を失った今のヴァグリアの状態であれば、神位精霊を持っているジークスだけでも勝てるはず……

 何か奥の手でも残っているのか?


「……自我を失ってしまうので、使いたくはなかったのだがな……。どうせこのままちてしまうのであれば……、全てを破壊してくれる!」


 ヴァグリアがそう叫んだ。


「ハハハ、あの世で会おうぞ、ジークス! 人の姿を捨て、全てを破壊する魔物となれ! 悪魔魔術、魔獣化デーモンビースト!!」


 ヴァグリアの身体が肥大化ひだいかし、魔人の姿から巨大な魔獣の姿へと変貌へんぼうしていく。


「グアァァァァァァァァァァ!!!」

 

 魔獣となったヴァグリアが天井を見上げて咆哮ほうこうする。


 ヴァグリア本人が言っていたように、自我が残っているようには見えないが、代わりに圧倒的な魔素を身にまとっていた。


 ズドーーーーーーーーーーーン!!


 敵味方関係なく拳を振るい、魔獣ヴァグリアが全てを弾き飛ばしている。

 

 ……これはまずいな……


 その力は、暗黒のダークゲートによって作られた結界すらも吹き飛ばす勢いだった。

ついに勇者だけが使える古代魔法、起源オリジンを使いましたね、ウルク。……ヴァグリアが全てを破壊するべく魔獣化してしまいました……。ウルク、みんなで力を合わせて、どうかこの戦いに勝利を……」


次回、「ヴァグリアの過去」


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