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29話 戦え!!

 ズドーーーーン!


 ドカーーーン!


 魔法と魔術の爆音が至るところで鳴り響く。

 

「ジークス、まさかお前達が奇襲を仕掛けてくるとはな……」


 デグルトが俺に対してそう言った。

 魔王軍の本陣に突撃した後、今は乱戦状態である。


「てっきり聖騎士団には騎士道みたいなものがあるのだと思っていたのだが……」


「あいにく、俺はもう聖騎士団の一員ではないんでね」


 ヴァグリアを倒すと決意した日から、騎士道などはとうに捨てている。


「ふ、まあいい、先日の戦いはヴァグリア様の命令とはいえ、私も消化不良だったのだ。ここで決着をつけてくれる」


「気が合うな。俺もそう思っていたところだ」


 デグルトに合わせたわけではなく、実際に打ち損じたことが心残りだった。


「悪魔魔術、闇のダークソード!」


 デグルトが持っていた剣に魔術を付加する。


「風精霊魔法、風のウインドソード!」


 同じく、持っていた大剣に風魔法を付加した。


「「行くぞ!!」」


 ガキーーーーン!


 お互いにそう叫ぶと、一瞬で距離を詰めて剣と剣を交えた。


 ◇ ◇ ◇ ◇


「っぐ!」


 精神世界から戻って来ると、とんでもない疲労感が襲ってきて、僕は思わず膝をついた。 


「よくもよくもよくも!」


 ヴァグリアがあからさまに苛立っている。


「計画を台無しにした罪は死を持って償ってもらう!」


 ヴァグリアがそう言いながら、こちらに近寄って来る。

 ヴァグリアにも精神干渉をしていた疲労がなくはないようにも見えたが、元々、精神魔法を得意とするヴァグリアにとっては些細な疲れにも見えた。


 まずい。

 このままでは全滅だ。


「ファイ、ミューリ頼む!」


 僕自身が戦えない以上、精霊達に頼るしかない。


「私も戦います!」


 サーフィアも参戦する。

 だが。


「その友情ごっこ、虫唾が走る! 本気で私に勝てるとでも思っているのか?」


 ヴァグリアが言っている通りだ。

 

「サーフィア、逃げろ!」


「逃げない! ウルクを置いて私だけで逃げられるわけがない!」


 ……サーフィア……

 そうだよな。


 疲労感とか言ってる場合じゃないよな。

 ここで戦わなくていつ戦うんだ?


 精霊達や仲間に甘えてないで、自分で戦え!


「戦え!!」


「ウルク!」

「ウルク殿!」

「「ウルク様!」」


 僕が立ち上がるとみんなが叫んだ。

 気がつくと、相当なダメージを受けているはずのルビナフもヴァグリアに対峙たいじしている。


「ふははははは、愉快、愉快! 何人集まろうが私には勝てぬというのに! 今、それを思い知らせてやろう!」


「火の精霊魔法ファライア!」


 ヴァグリアが魔術の詠唱えいしょうに入ったため、発動させる前に精霊魔法で攻撃した。


 実力差を考えると、魔術を発動させてしまったら最後、場合によっては全員戦闘不能になる可能性も考えられる。

 それならやることは一つだけ。


 魔術を発動させられないくらい連続で攻撃し続ける!


「ふ、こざかしい」


 炎の刃となって突撃した攻撃を、ヴァグリアは黒い障壁で防ぐ。


「くっ、ミューリ!」


「はい、ウルク様! 氷よ!」


 ミューリがそう叫ぶと、無数の尖った氷が全方位からヴァグリアを襲う。


「悪あがきを!」


 ヴァグリアは黒の爆風を起こし氷を弾き飛ばした。


「「闇魔法、黒の重圧!!」」


 サーフィアとルビナフが目線を合わせて同時に魔法を使った。


「ぐっ! 我に闇魔法で対抗出来ると思うのか!」


 重力負荷に一瞬うめき声を上げるが、魔術も使わずにヴァグリアが重圧を弾き飛す。


「ファイ、ミューリ! 今だ!」


 二人か作ってくれた一瞬の隙をついて、今出来る最大の技を使わせてもらう!


「「水蒸気爆発!!」」


 バーーーーーン!


 火の魔法と水の魔法を合わせて水蒸気爆発を起こした。

 物凄い爆音が城塞内に響き渡る。


「これなら少しは………」


「面白い技を使う……。凄まじい威力ではあったが、相手が悪かったな」


 ……これほど力の差があるのか……

 無傷というわけではなさそうだが、軽傷程度に見えた……


「悪魔魔術、闇の稲妻ダークサンダー!」


 ヴァグリアの右手から膨大な魔力を帯びた黒い稲妻が放たれる。


「まずい! 水の精霊魔法ミューリアス!」

  

 黒い稲妻が枝分かれして全員が攻撃受けてしまう!

 僕はとっさに氷の壁を作って稲妻に向かっていた。

 

「うぁぁぁぁぁぁ!」


 氷の壁が破壊され、黒の稲妻が直撃する。


 ドサッ!

 

 そして、そのまま地面に叩きつけられた。

 全身に激痛が走る。


「ウルク!!」


 サーフィアが叫んでいる。


 ………やばい、身体が……動かない………


 朦朧もうろうとした意識の中、ヴァグリアがサーフィア達の方へと向かって行くのが見えた。


 やめろ! 行くな!


 叫ぼうとするが声すら出ない。


 動けーーーーーー!!


 ドゴーーーーーーーーン!


 何が起こった!?

 突然、ヴァグリアがいた場所に大爆発が起きた。


「……すまない、遅くなった……」


 ………シムナ団長………


 どうやら、シムナ団長が間に合ったようだ……


「ウルク!!」


 消えゆく意識の中、ラミーニアの泣き叫ぶ声がわずかに聞こえた。

「ウルク!!! ……なんて無茶なことを……。シムナ、後はお願いします。どうか、ウルク達を護って……」


次回、「君のために」


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