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異世界転移と魔王と僕。  作者: ちゃむ
6/24

始まりの街

「もうスターシードはこりごりだ!」


そう言って僕はその場を離れた。


あいつ!ヤバすぎんだろ、あいつ!

この世界、あんな奴ばっかじゃないよね?


しかし抜き差しならなくなってストーンあげちゃったけど、他のストーン、色を確認しただけで効果を見てなかったな。いい加減どっか宿に入って一晩色々調べ物したい。

何より自分の体がおかしい。

スイッチ入ったら達人のような動きで、ためらいなく相手を攻撃しちゃうから怖いわ。

これって儀式の影響?

この装備と関係してるのかな?

どっかで落ち着いて確認したい。


先輩に周辺地図を見せてもらった。

もう最寄りの街はリースじゃなくなってるみたいだ。

今の最寄りの街は…ブサークだって。

始まりの街はブサークか…テンションあがんないよ。

リースが良かったな…。

でもリースの街道ぐちゃぐちゃにしちゃったし、ほとぼり冷めるまで行けないよね。

ふぅ…リースたん…。


僕はブサークを目指した。

日は傾きかけているのであまりグズグズしてると初日から野宿とかありえるよ。

軽く走りながらブサークへ続く街道に出た。

初めからまっすぐリースへ向かえば良かったよ…。


街道沿いにしばらく歩くと堀に囲まれた街が見えてきた。あれがブサークね。

ほんとこの名前ないわー。センスない。


入り口には守衛さんが立っていた。


「身分証を提示願えますか?」


でた、身分証持ってなくて一悶着ある展開。


「あのー、身分証まだ作ってないんですけど…。」


「では保証金として100ベルをお納めください。」


おぉう、通貨はクラムじゃないの?


「すみません、持ち合わせがクラムしかないんですが…。」


「では両替が必要ですね。あちらの受付で両替出来ますので、ベルに両替が出来ましたらまたこちらへ来て頂けますか?」


めっちゃ丁寧だな!ブサーク良いわ。

僕は案内された受付へ向かった。

綺麗なお姉さんが受付に立っていたので話しかけた。


「すみません、クラムをベルに両替して貰いたいんですけど。」


「はい、ではこちらへ両替したいクラムをお願いします。」


まずいな、レートが全然わからない…。

僕はポケットから10クラムを出した。

街に入る前にあらかじめ10クラムをポケットに移しておいたんだ。

大きくて綺麗な硬貨だから価値の高い硬貨だと思うんだよね。


「これでお願いします。」


「10クラムですね。でしたらお渡しは1万ベルになります。袋か何かお持ちでしょうか?」


1クラム=1000ベルか。

クラムの価値、結構高いのかもね。


しかし…1万ベルってどのくらいの体積だろう?


「袋はないんですけど、ポケットに入らないかな?」


「では1000ベル紙幣9枚と100ベル硬貨10枚でお出ししましょうか?」


「はい、それでお願いします。」


待つまでもなくすぐに用意された。


「こちらになります。ご確認下さい。」


「はい、確かに…手数料とかは必要ないんですか?」


「そうですね、全て1ベル硬貨や10ベル硬貨でお支払いする場合は手数料を頂きますが、今回のケースですと手数料は発生しませんね。」


「そうなんですね。ありがとうございました。」


「こちらこそ、良き滞在になるよう祈っております。」


ブサークめっちゃ良いじゃんか。

お姉さん超べっぴんさんだったし。


100ベル硬貨を握りしめて初めに両替の事を教えてくれた守衛さんに声をかけた。


「すみません、両替してきたんですけど。」


「はい、ではこちらの用紙にお名前と滞在理由だけご記入頂けますか?」


きた。ついにきた。

名前だ。

本名は嫌だな。

子供の頃ゲームで良く使ってた名前にしよう…。


「アレスっと。滞在理由は…観光っと。」


「すみません、書けました。」


「はい、では確認致しますね。お名前はアレスさん。滞在理由は観光と。はい、結構です。では保証金100ベルをお納めください。」


「はい、ではこれで。」


100ベル硬貨を差し出した。


「はい、確かに。では身分証を発行されましたらまたお越しください。そうして頂けますと保証金が返金されますので。」


「なるほど、わかりました。身分証はどこで発行出来ますか?」


「各種ギルドで発行が可能です。」


「そうなんですね、色々教えてくれてありがとうございました。」


「いえいえ、ではこれでお手続きは以上になります。ブサークをお楽しみください。」


「はい、ありがとうございます。」


なんの問題も起こらずに通過出来た。

ブサーク最高じゃんか。

保証金は身分証を作ったら帰ってくるみたいだな。

100ベルってどのぐらいの価値かまだわからないね。

宿が取れれば一泊の金額で通貨の相場がわかってくると思うんだけど。


とりあえず宿だな。軽く見て回ってみようか。

僕は入場門を後にした。


入場門からまっすぐ伸びる道を僕は進んでいった。

この道沿いがメインストリートのようだ。

冒険者と思しき人たちが忙しなく店舗から出入りしていた。これからちょうど夕飯時といった時間帯なので、仕事終わりの冒険者が宿に入ったりご飯を食べに外出したりしているみたいだ。

この辺りが宿屋街みたいだね。宿屋っぽいお店が何軒か見られたが宿屋って当り外れありそうだから何の下調べもなく入るのやだな…。

ご飯でも食べながら情報収集してみるか。


そう考えて宿屋が並んでる辺りを抜けると、小川が流れる広場のような場所に出た。いくつか屋台が並んでいて美味しそうな匂いが色んな所からしてくる。

冒険者が至る所で酒盛りしたり食事したりしている。

ちゃんとした店舗での食事も良いけど、外でこうやって食べるのも良いね。何にも縛られない自由な生き方って感じがするよ。


僕も何か買ってみることにした。

店をよく見てみると繁盛してる店とそうでもない店がある事がわかった。やっぱり繁盛してる店の方が美味しいよね?僕は可愛い店員さんがいる繁盛してそうなお店を選んだ。5人ほど並んでいたけど、後ろに並んで待つ事にした。


100ベル硬貨で買えるよね…?

ふと見ると上にメニュー表が見えた。


牛串 200アール

豚串 200アール

鳥唐 200アール

盛り合わせ 1000アール


待て待て、アールってなんだよ。

ベルの下にまだアールって通貨があるんだろうか。

どうしよう…牛串2本ぐらい買いたいけどベルで買えるかな…。


僕の番がきた。お姉さんに正直に聞いてみた。


「持ち合わせが100ベル硬貨しかないんだけど大丈夫かな?」


「えぇ、100ベル硬貨…?お釣り多いなぁ。たくさん買ってよ。」


良かった!どうにかいけるみたいだ。


「じゃあ盛り合わせ2つで…。」


「はいよ、2000アールね。100ベルだと…ちょっと待ってよ両替するから。」


「はい、すみません。」


「おとーさーん、100ベル両替するよー。」


お姉さんが奥に向かって声がけしてる。

まずい、迷惑な客になってる。

後ろもつかえてるのに……。


「じゃお釣り98ベルね。持てる?袋に入れようか?」


「すみません、お願いします。」


僕は盛り合わせ2つと98ベルを別の袋に入れてもらった。恥ずい恥ずい、迷惑な客になっちゃった。


「どうもありかとう!また寄ってね。」


「こちらこそありがとうございました!」


退散退散……後ろの人の視線が痛い。

しかし1ベル1000アールか。

盛り合わせが1000アールだから日本の感覚で言うと1ベル千円ぐらい?

宿代は5〜10ベルってとこかなぁ。

じゃあ保証金100ベルって10万円ぐらいの金銭価値?

結構高いね。早く身分証作って返金受けないと。


そう考えると2000円の買い物に10万円出して、9万8千円のお釣りを貰ったのか…めちゃくちゃ迷惑な客じゃんか。あのお姉さんに今後たくさんお金を落とそう…。


大体金銭感覚がわかってきた訳だけど、神様の用意してくれた500クラム、ヤバいね。

1クラム1000ベルだから500,000ベル。

1ベル千円だから…500,000,000円

5億円………?

神様ヤバい人だね。

でも嫌いじゃないよ、そういうとこ。


さて、買ったはいいけど、ちょっと買い食いって量じゃなくなっちゃった。

仕方ない。宿に持って行って食べようか。


なんの情報も収集出来てないけど僕は宿へ向かう事にした。

食事を終えた冒険者さんもたくさん帰ってきてるみたいだ。お金もあるし、ちょっと良いところへ泊まろうか。

身なりのいい冒険者さんが入っていく宿に狙いをつけて僕も入っていった。

日本のホテルと大差ないぐらい綺麗な宿だ。いや、ここはもうホテルだな…。

受付に声をかけた。


「すみません、部屋は空いてますか?」


「はい、ご用意出来ますよ。お一人様でしょうか?」


「はい、一人です。」


「今ご用意出来るお部屋はスイートとツインとシングルになっております。料金はスイートが100ベル、ツインが20ベル、シングルで10ベルとなっております。」


「シングルでお願いします。5泊分前払いしてしまって良いですか?」


「もちろんでございます。5泊分で50ベルになります。

それぞれ朝食夕食をお付けしますと一泊当たり2ベル加算の60ベルでございます。」


「食事は当日にお金を払って食べる事も出来ますか?」


「もちろんでございます。あちらがレストランになっておりますのでご利用ください。」


受付からラウンジスペースを経て向かいがレストランになっているようだ。


「どうもありがとうございます。じゃこれ、50ベルで。」


「少々お待ち下さい。宿泊のお手続きをさせて頂きますね。初めにお名前を頂戴してもよろしいでしょうか?」


いけね、名前も名乗らず泊まろうとしちゃった。


「アレスと言います。身分証はまだないんですけど大丈夫でしょうか?」


「アレス様、身分証がないお客様からは保証金として10ベルをお預かりしております。問題ございませんか?」


ここでも保証金か。まぁ仕方ないよね。


「はい、大丈夫です。明日から明後日には身分証を発行しようと思ってるんですが、身分証があれば保証金は返金されますか?」


「はい、もちろんでございます。アレス様がチェックアウトされるまでにご提示頂ければご返金させて頂きます。」


「なるほど、ありがとうございます。じゃさっきの50ベルと保証金の10ベルです。」


「5泊分の宿泊費と保証金、確かに頂戴致しました。こちら領収書とお部屋の鍵になります。3階上がって309号室になります。お出かけの際には鍵をこちらにお預けください。」


「ありがとうございます。」


「ごゆっくりどうぞ。」


完全にホテルだわ。異世界の宿って「なになにのなんちゃら亭」だと思ってたけど、ブサークは違うみたい。

ブサーク最高じゃんか。誰だよテンション上がらないなんて言ってた奴は!


ちなみに3階までは階段で上がるシステムだ。

流石にエレベーターはないみたいだね。


僕は部屋の前まで来た。

鍵を挿して…よし、開いた。

念願の宿だ。ようやく辿り着けた。

今日は色々あったな。


部屋に入ると思ったより広い部屋だった。

これでシングルなんだ。めっちゃ広いよ。

ベッドがあって、ベッドサイドにはテーブルと椅子が置いてある。

窓際にもテーブルがあって椅子がある。


僕は買ってきた盛り合わせ2個を窓際の方のテーブルに置いた。

「しまった。飲み物がない…。」

っていうか今日何も飲んでない。

あんなに走ったのによく何も飲まずにいられたもんだ…。

さすがにご飯食べる時は飲み物が飲みたいな…。

水道はあるのかな?

ユニットバスと思しきドアを開けてみた。

ちゃんと水道とトイレとシャワーが付いていた。

コップも歯ブラシもタオルもある。

正直日本と変わらないよ。

ほんとに異世界なの?


コップに水を入れてテーブルに持ってきた。

さて、食べようか。

盛り合わせを開けてみるとめっちゃ美味しそうな串が4本、唐揚げが5つ入ってた。一つ一つが大きい。これで1000円ならお買い得だよ。


この世界にも牛豚鶏がいるのはありがたいね。このアポカリプスをベースにアースを作ったって言ってたから、アースにいる生き物は全ているのかも知れない。


僕は一皿完食する頃にはお腹いっぱいになってしまった。


「もう一皿は食べられないな…そうだ、定番のやつ、やってみようか!」


僕は残った盛り合わせを腰袋に入れてみた。

時間停止状態で保存出来るから、ほかほかの食べ物がいつでも食べられるあれ。

少し冷めちゃったけど大丈夫だよね。

この腰袋も時間停止ついてたら良いなー。


そうだ、先輩に聞きたい事が山ほどあったんだ。

僕は先輩を取り出した。


「ふふふ、先輩…今日は寝かしませんよ。」


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