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異世界転移と魔王と僕。  作者: ちゃむ
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超有能百科事典


「この百科事典、もしかしてヤバいアイテムなんじゃない?」


僕は直感でそう感じた。

何より百科事典という割には小さい。

文庫本サイズだ。

厚みも1センチぐらい。

こんな情報量で百科事典として成立するのかと思ったけど、この辞典の凄いところは、見たい情報を思い浮かべて開けば一発で出てくる所だ。初めに地図のページが一発で出てきた時点でおかしいと思ったんだ。この百科事典は欲しい情報がすぐに引き出せるマジックアイテムだ。これがあれば異世界の定番スキル「鑑定」は要らないんじゃない?

神様…結構チーターだね。そういうとこ好きだわ。


とりあえず今いる所はリース草原と表記してある。

すぐ北にリースと言う街があるらしい。

始まりの街はリースか。うん、響きがいい。

女子の香りがする。


ちなみにこのアポカリプスには大きな大陸が5つあるようだ。試しに世界全体を見渡せる地図が見たいと思って辞典を開くと世界地図が出てきたので判明した事実だ。辞典先輩、ホント有能だわー。


今いる大陸は一番大きな大陸で、アストリアと言うらしい。アストリア大陸だけを見ることが出来る地図を開くと、主要な都市の名前は記載されているがリースの文字はない。リースは小さな街なのかな。

現在地を示す△マークは大陸中央の西の端だった。

ここはアストリア大陸の西の端で、さらに西へ行くと海があると言うことだ。

海も行ってみたいね。水着とかあるのかな?


あまり知識を詰め込み過ぎると楽しみがなくなっちゃうので、予習はほどほどにして、僕は人のいる所へ移動する事にした。


元の周辺地図を開き直し、現在地を確認した。ここのすぐ西にリースへ続く街道があるようだから、とりあえずそっちへ向かうか。


今最優先すべきは衣食住を整えて装備品を返却する事だ。その為にまず住む所を確保しないといけない。

500クラムでどのぐらい生活出来るか分からないけど、とりあえず宿を取って一人になって今後の事を色々考えたい。


僕は街道がある方へ歩き出した。

見渡す限り草原だが、草丈はあまり高くない。

遠くまでよく見えるから何か出てきても、襲われる前に心構えをする事ができると思う。

そんな事を考えながら若干挙動不審気味にキョロキョロしながら歩いていると遠くに灰色の地面が見えた。

あれが街道か…。


………街道を見つけたら見つけたで尻込みしてしまった。いきなり人に会ったらどうしよう。この世界ではなんと挨拶するんだろう?面識もない者同士がすれ違いに挨拶なんてするものだろうか?


色々考えながら、少し離れた所でしばらく街道を観察していた。すると馬車が一台通りかかった。

テンプレだと野盗の襲撃やモンスターの襲撃があるんだけど…。


少しだけ速度を落としながら何事もなく馬車は通り過ぎて行った。

まぁ当然だよね。


もうしばらく街道を眺めていると今度は男女のペアが通りかかった。

男の方は屈強な戦士と言った風貌で、自分が本当に異世界に来たんだと実感出来た。胸だけを覆うような形の灰色の鎧を着ている。チェストプレート的な?

女性の方はとんがり帽をかぶった、いかにも魔導士と言ったいでたちだ。

この二人もリースに行くのだろうか。

その後、何事もなく通り過ぎて行った。


うん、わかってる。

ここでこうしていても何も始まらない。

そろそろ僕も動くか…でも怖いな。

…………。

もうちょっとだけ!

もうちょっとだけここで様子を見てみよう!


地面に座り込んでマジックバッグの中を見てみた。

ライフポーションとマナポーションは前に見た。

これが3個づつ入ってる。ポーションは基本だよね。

キュアポーションというのも3個入ってる。

先輩に聞いてみるとどうやら毒や麻痺などの状態異常を回復出来るポーションのようだ。

後はエリクサーが3個入ってる。

エリクサーってあれだよね。

全回復出来ちゃって、なんだったら蘇生まで出来ちゃうあれだよね?

神様……マジ神!

ポーションは以上かな。


次は素材かな?なんかよくわからないのが沢山入ってる。この辺はいちいち調べてたら時間がかかり過ぎるよね。追々覚えていこう。


あと同様のカテゴリとしてまとめられているものが

「ワードストーン」という物だ。

ワードストーンの後にファイアとかウォーターとかヒールとか書いてある。

金色で表示されてるのと普通に黒く表示されてるのとある。他のアイテムで金色に表示されてる物は辞典先輩だけだ。エリクサーと素材の中のいくつかは青く表示されてる。青はレア、金はユニークアイテム的な意味合いだろうか?

金色のワードストーンを一つ取り出してみた。

スマホより一回り小さいぐらいの大きさで、材質は石だ。厚さはスマホと同じぐらいで、液晶がある面にウォーターと金色で刻印されている。

儀式を受けた事によって言語理解の恩恵が受けられているようだ。あの儀式、ビビったけど必要な儀式だったみたいだね。

ちなみにこの世界は英語のようにアルファベットを組み合わせて単語が出来ているようだ。ウォーターも複数の文字で構成されている。


「神様の手紙に書いてあったな。この世界では「ワード」を使うと様々な効果が得られると…。」


ワードと呼ばれるスペルを詠唱して魔法を使うのかと思ったが、少し違うのかも知れない。

僕はウォーターと書かれたワードストーンをじっくり見ていた。


「少し試してみようか…?ウォーターだし、怪我や火傷の心配は少ないよね。」


僕はワードストーンを手に持って少し考えた。僕のマナって初期値は少ないのかな?ウォーター一発でマナ切れになって倒れたりしないよね?


やっぱり不安だ…先輩に聞いてみよう。


「教えて先輩、ウォーターの消費マナは?」


極小と出た。うぁ、ザックリしてんなぁ…。


「じゃぁ僕の保有マナはいくつですか?」


小と出た。先輩ザックリし過ぎっすよ!


でも小は極小より多いよね。

マナは残るはず。

っていうか、流れで僕の魔力量を聞いてみたけど、普通に先輩から情報が出てきたね。マジで鑑定要らず?


とりあえずワードストーンを前に差し出してポーズを取ってみる。


ドキドキ……。


「…………ウォーター。」


ワードストーンの文字が薄く光った。


「おっ、きた?きた?」


ドキドキドキ………………。


「………あれ、何も起こらない………。」


少し体から生気が抜けた感覚があったけどすぐに元に戻った。


何も起こらなかった。

文字が光ったのもほんのわずかな時間だった。


「あれかな?体に流れるマナを感じ、制御しないといけない的な?」


深呼吸をして心を鎮め、目を瞑って自分の中のマナに集中してみた。やがてドクンドクンという心拍を感じ取れるようになってきたので、その状態で手からかめはめ波を出す要領でやってみた。


「うぅぅをぉぉぉぉたぁぁぁぁあああああ!!」


また文字が少し光った。

けどそれだけ。


だめだ。超恥ずい………。

血流を感じ取ってもダメみたいだ。


その後いろんなやり方でやってみたがダメだった。

欲にまみれてるとダメなのかも?と、ソシャゲのガチャを引くように

「どんな魔法が出ても嬉しいですよ。大丈夫、大丈夫だからね。ウォーター。」

よそ見をしながらもののついでのように

「あぁ、お腹すいたなぁ。どっかに食べ物落ちてないかなぁ。」きょろきょろ………「…ウォーター。」


考えられる方法全て試す勢いでウォーターを唱え続けたけど、何回やっても少し光るだけで何も起こらなかった。

毎回生気が抜けるような感覚はあるから惜しい所までは来てると思うんだよね。

いつも取説は見ない派だけど、これは適当なやり方じゃダメっぽい。僕はまた辞典先輩を取り出した。


「先輩、ワードストーンの使い方は?」


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