18禁コーナーに入ろうとのれんを潜ったら女尊男卑の異世界でした(短編版)
長編の構想を、独立して読める短編小説にしております。
主人公、徒 路斗はあと数十分後にとうとう18歳を迎える。
そんな彼が誕生日を迎える場所はレンタルビデオ屋だった。
お目手当てはもちろん18歳未満が入れない聖域だ。
いざのれんをくぐる。
すると──。
そこは異世界だった。
半裸の男性達が、まるで砂漠のような場所で仕事をしている。
帰ることもできず、変な目で見られる中で追い剥ぎにあった。
だが運がよくも女騎士に助けられ九死に一生を得る。
お礼を言うことができないまま、泊まった宿屋で働かせてもらうことになる。
酒場で給仕もする中でおかしな事に気がつく。
最初に出会った女騎士以外は男しかいなかった。
ここは女性が全てを支配する女尊男卑の異世界だった。
全ての女性が城で生活している。
興奮した気持ちも発散することもできず、月日が経っていく。
ある日、人だかりがあり、そこには遠征から帰ってきた女性の騎士団が行進していた。
美人ばかりだったため自分の中で静まりかけていた本能が蘇ってくる。
頑張ればあの聖地以上の経験ができるのではないかと考え、店の人にどうすれば城で働けるか聞いた。
当たり前だがそれは悲しくも男は働けないところだった。
有能だと判断された男だけが一夜だけ入ることを許されるらしい。
諦めかけた男は夢で自分の本心と出会う。
このまま何もせずに朽ち果てていいのかと。
18歳を迎えた男が初めての試練を受け入れるのだった。
そこで本気で城に呼んでもらうために有能さをアピールしようと考えた。
まずは女性と仲良くなるには男らしさが必要とのことで、城門を守る近衛兵の前で筋肉ありますよポーズをした。
もちろん変態ということで投獄される。
1日後に出所した。
次は異世界チートを使おうと、マヨネーズを作り、店で流行らせて目に止めさせる。
だがドロっとしたものは作ったらいけないらしく、またもや投獄。
解せぬ。
また次の日に出所。
このままでは埒が開かないので、女性のふりをして侵入することにした。
念のため夜に城壁を登って不法侵入する。
そこで偶然にも前に助けてもらった女騎士と出会う。
自分だとバレずに他国から逃げて来たと偽り匿ってもらうことになった。
女騎士はちょうど使用人が足りていないとぼやいたので、自分が名乗り出る。
頑張って働くうちに信頼され、他の使用人たちとも仲良くなる。
一緒にお風呂に入ろうと誘われたり、化粧の話などで男だとバレそうになったがうまく切り抜ける。
仕事振りが認められ、背中を洗うことを許される。
うまく布で隠されているので、大事な部分は全く見れなかったが、至福の時間を過ごしながらある時、己の愚かさに気がつく。
──俺はもっとエロいことがしたい。
こんな雑用はしたくないと頭を捻ってアイディアをだす。
今ならできるのではないかと考えたときに、女騎士の顔が沈んでいることに気がついた。
川が氾濫を起こして大変なことになっていることで心配していた。
逆にその氾濫を利用した、灌漑農業を始めてその土地に多くの緑をもたらした。
みんなから喜ばれて、ここで一生過ごすのもいいかと思えてきた。
ある時、自分の国へ帰れる暖簾があった。
これをくぐれば帰られたが、彼にはまだやりたいことが残っていた。
女騎士を自分のものにするという野望だ。
ある時、近くの豪族が攻め入ろうとした。
多くの女性騎士たちが頑張る中で、男がこのまま安全なところにいてどうすると、煽りに煽り、男たちも武器を持って女性騎士たちを助けにいく。
大きな犠牲を出しながらも、男も少しは良いところがあると、男の地位も少しずつ上がっていくのだった。
だがとうとう男だとバレたが女騎士が庇ってくれた。
今回の功績を認められて、夜にお呼ばれする。
だが感染病が広がっているという急な報告に、夜は何もできずにすぐに緊急会議を行う。
これまで現代知識を活かしてきたのに、専門外なことには全く太刀打ちできず、多くの村人たちを隔離して、焼き払うことで無理矢理解決となった。
誰も救えず、ただ犠牲者を出すだけだった。
女騎士から自分を責めるなと言われ、今日は一人にして欲しいと、前に雇ってくれた宿屋で一夜を明かす。
女騎士が宿屋に訪れると、伝言だけが残され、主人公はのれんの前にいた。
名残惜しくも後ろを振り返った。
R18を超えるのはもっと勉強してからだ。
そう言って一度帰り、大学で専門の勉強をしてから帰ってきた。
本当のR18とは本当の大人のみに許される。
またもや未曾有の災害が起きて絶対絶命の時に、彼は帰ってきた。
戻ってきた彼の豊富な知恵で救われ、R18と呼ばれる歴史書が作られた。
そこには、彼と女騎士の絵が載せられているのだった。