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クールキャラなんて演じられない!  作者:
2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
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89話 エスタジにバレる

「おや?」

「…………」

「はて?」


 こっちを見てはひそひそひそなんてのはとっくに終了していたのだけど、社交界明けの学園は私達に対してそんな感じという。しかもそのひそひその中に黄色い悲鳴も聞こえる。ここにアイドルという職業芸能人はいないはずだけど。


「害なさそうだからいいか」

「また貴方ときたら」

「あ、エスタジ、おはよう」

「お早う御座います」

「ええ、おはようございますわ。お二方」


 やれやれといった具合にやってくるエスタジは、オリアーナ(見た目オルネッラ)が戻っても変わらずにいてくれた貴重な人材だ。

 ひそひそもなく詮索もない。いたって通常通りで、オリアーナの負担軽減になっていること間違いなし。そもそも品性という点では上位に入るレベルで磨き上げられてる子だ。件の事さえなければ礼儀正しい立派な令嬢そのもの。


「貴方が先日の社交界で、ソラーレ侯爵令息と踊り抱擁されていたから、このようになっているのでしょう?」

「え?」

「自覚がおありでないの?」

「あ、うん」


 そんなに驚かなくてもいいじゃないの、エスタジ。隣のオリアーナは黙ったままでフォローないし。

 ダンスパーティっていうからには皆踊るだろうし、まあ抱きしめられたのが話題になったとしても、ここまで黄色い声がひそひその中から聞こえる程にはならないと考えていた。


「こんなに話題になることだとは思わなかったです」

「貴方、ソラーレ侯爵令息がどのような方か分かって?」

「ちょっと面倒なこじらせツンデレ」

「え?」

「あ、聞かなかったことにして」


 また訳の分からないことをと肩を落とされる。いやなかなか事実で的を得た比喩だと思うけど。現在はぐいぐい系俺様言動が鼻につく子にレベルアップしました。


「彼は今まで誰とも踊った事がありませんし、女性に触れる事もあまりお好きではなかったのよ? そういう殿方が自ら申し込み、楽しそうに踊られて抱擁までされてれば、こうもなります!」

「そっかー」

「貴方私の申し上げる事、理解してらっしゃる?」

「うん?」


 ようはレアキャラが本気出すと驚き万倍ってことだよね。確かにあの豹変ぶりは話題になるの分かる。ついに出てきた新キャラ新ルートって画面の前でガッツポーズすると思う。


「……もう」

「期待に応えられなくてごめんね?」

「ええ、構いません。最近の貴方の破天荒ぶりは承知しています」

「そう、よかった」

「しかし一つ伺いたい事が」


 なんだろう、と急に声を潜めて私達に近づく。内緒話みたいで可愛い動作、美人がこんな近いのも貴重。

 なんだなんだ噂話とかやっぱり好きなの。折角だからパジャマパーティして、夜中に恋バナとかしちゃう?


「貴方方、入れ代わってるのではなくて?」

「ひっ!」

「…………」


 なんでここで爆弾投下されるの?!

 最近秒でばれすぎだよ。ディエゴにエドアルド……あ、いやエドアルドはオリアーナから言ったし、ディエゴはオルネッラ好きすぎた故にだったけど、それにしても知られるのが早くない? もしかして私が社交界のダンスでミスしたから? あまりにオリアーナじゃないダンスレベルだったから?


「チアキ、大丈夫です。ダンスの良し悪しは関係ありません」

「え、本当?」

「はい」


 なんだ、よかった。そして何度目かな、私の心の声読むの。


「エスタジ」

「ええ」

「私がオリアーナです」

「やはりそうなの」

「まだ周知の事実にするつもりはありません」

「ええ、分かっているわ。私の胸の内に」


 こうして見るとエスタジのオリアーナに対する態度が昔馴染み感出てる。私を前にした時と違うというのか。和解しても少しだけ畏まっている雰囲気は感じられたから、彼女は最初から感じ取っていたのかもしれない。そういうことにしておこう。私の今までのクールキャラ頑張って作ってます努力が無駄になる。


「また別に時間をとります」

「ええ、ぜひ」


 あっさりエスタジは去った。

 まあひそひそされてるここでわざわざ話すことでもないし、オリアーナの言う通り別場所で改めて時間をとればいい。



* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *



「オリアーナは?」

「エドアルドと二人でランデブー」

「らんでぶー?」

「恋人同士が二人きりで過ごす時間」

「成程」


 しかし丁度いい、とエステルトットは互いを見合って頷いた。

 表情がかたいのを見る限りシリアスな話とみた。最近はディエゴのおかげでドタバタ劇だったから、たまにはシリアスもいいよね。三人で話す事にも今みたく時間と場所に限りがあるし。


「オルネッラの事故の事よ」

「進展あり?」

「ああ。事故の日、オリアーナには学園で臨時講義があったのはチアキも知っているな」

「オリアーナから聴いてる」

「その講義はオルネッラが希望したものだ」

「え?」


 当時、遅れ気味だった古代言語の講義について、詰めてほしいこと、その頃研究者の間で解明され実用に至るものだった古代から伝わる魔法を、言語学の面から学び正しく使えるようにということを提案したとか。

 丁度、研究部分にあたるとこが教え不足だったことと、国がその話題に持ち切りだったことから学園側も子供達の学びの意識があがっていてチャンスとみたらしい。

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