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クールキャラなんて演じられない!  作者:
2章 神よ、感謝します。けど、ちょっと違う叶ったけどちょっと違うんです。
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84話 ハニーフェイスな天使をよしよしする夢が叶う

「貴方の覚悟は分かりました…………応援します」

「どうして!?」


 なんでなの、オリアーナ。どういうことなの、オリアーナ。

 すると私を見下ろして、彼の気持ちを鑑み、彼を応援しますと言ってきた。どうしてそうなる。


「え、そんな、オリアーナ私を助けてくれないの?」

「ええ」

「あんなにデレてたのに?!」

「ええ」


 さっきまでの不穏な雰囲気と厳しい目元はどこへいったの。私のチアキをとらないでよね感はどこへいったというの。ここはそれでも、貴方を認めません。ガラッシア家総出で止めにかかります的なこと言ってもいいんじゃないの?


「チアキ、貴方の好きなイケメンですよ。良いではないですか」

「確かにイケメンだけどさ! イケメンっていう人種は鑑賞用なんだよ! オルネッラが好きでオルネッラに告白してるツンデレが最高においしいのに!」


 イケメン? と男性二名が小首を傾げている。

 あ、イケメンが二人もいるなんて、ここ理想郷なんじゃないの。いやいやそうじゃない、和んで癒されてしまった。うっかり。


「私はチアキ自身が幸せである事を見届けたいのです」

「おお、デレよ……君達のデレという供給があれば、私は充分幸せなんだよ?」

「なので、貴方の幸せになる事は応援しようと決めました」

「聴いてた? というか私の意思は?」

「決めましたので」


 揺るがない。

 割とオリアーナ頑固だし、きちんと決めた人は強い。これは早々に意見を変える事はなさそうだな。


「ええ、私、頑固なので」

「何故ばれたし」


 私の心読んでる?

 この子、前に進みすぎて一番敵に回しちゃいけないタイプに成長したわ。さすがガラッシア家、アグレッシブな娘さんですね。いいえ、とても美味しく素敵なんだけども。


「となると、俺はガラッシア家公認という事か」

「こっちはこっちで無駄にポジティブ」

「ぽじ?」

「前向きだねって」

「ああ、そうだな。何を言われても構わんさ。君が好きな事は変わらない」

「ひえ」


 そしてさっきまでの敵意とデレの応酬はもうどこにもない。仲良くしましょう、そうしましょうな雰囲気だ。いや二人が仲良しなのはとてもいいことだけどね、私の気持ちはどこへいけばいいの。やるせないのだけど。置いてけぼりにされてるんだよ? 私が主軸になるはずの話なのに。


「ふふ、君ってチアキっていうんだね」

「エ、エドアルド……」


 天使が私に微笑みかけている。ずっと気になっていたんだと言って。

 オリアーナが元気になったのは、チアキのおかげなんだねとか言ってきて、もうなによ、ここにきて天使が私を慰めてくれている。きゃわわとは今この時に使う単語で間違いない。


「エ、エドアルド」

「これからもよろしくね、チアキ」

「ハニーフェイス! 好き!」

「え?!」

「おい、ちょっと待て!」


 もういいよね、だって私がオリアーナだと思い込ませる必要ないもの。

 目の前のハニーフェイスを抱きしめて思い切りよしよししてやった。そうだ、これこそエドアルドにずっとやりたかったことだ。この可愛いさを目の前によしよしを選択しないとかもう無理。我慢はしない、思う存分撫でる。


「チアキらしいですね」

「こら、離れろ!」

「いいじゃん、少しぐらい可愛いを味わってもいいじゃん!」

「女性がそう易々と男性に触れるものじゃない!」


 ばりばりっと力づくで引き離される。エドアルドが! ハニーフェイスが!

 あ、ちょっと赤くなってる、うんいいすごくいいエドアルド。

 いや、そもそもオリアーナがそう言うならまだしも、何故ディエゴに引き剥がされなければいけないというのか。淑女の品性云々についてはこの際置いといてだ。


「知った仲なんだから許してよ」

「駄目だ」

「いやそもそも何故ディエゴの許可が必要なのか」

「俺が嫌だからだ」


 見ればこちらもちょっと顔赤いぞ。照れてる? ツンの中にある照れなの? それはそれで非常にいい供給!

 でもそれとこれとは別ですな。私は私の夢を叶える、これとても大事なとこ。


「いいじゃん、ずっとハニーフェイスをよしよししたかったんだよ! 私のささやかな願いを叶えてさせて!」

「さっきからはにーどうとか何なんだ!」

「ハニーフェイスですう」

「エドアルドのような容姿の事を指すそうです」

「そうか」


 冷静だね、オリアーナ。そして素直だね、ディエゴ。

 さてもう一回ぐらい撫でてもいいよねと、手を伸ばすとディエゴに阻まれた。逆に手をとられてしまう。


「もう一回撫でさせて!」

「だから嫌だと言ってるだろう!」

「え、え? えと、僕は、」

「エドアルド、気にしなくて結構です。チアキはいつもこのような挙動ですので」

「そ、そう」


 今思えば、顔を赤くして必死に私を止めるディエゴは充分ツンデレの典型例をしていた。

 ハニーフェイスをよしよしすることに視野が狭くなっていて、ディエゴのツンデレを保管しそこなったのは惜しまれる。

 それを後々オリアーナに語ったら、割と引き気味だった。誰か私の気持ちに賛同して良いお酒一緒に飲んでくれないだろうか。語るのはもちろん萌えと言う癒しについてだ。

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