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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

終電後の終電

作者: 鈴蘭

 とある無人駅のホーム。

 近くには1〜2軒の居酒屋があるせいか、終電でもそこそこの乗客がいる。まあ、ほとんどが酔っ払いだ。

 その中でも、特にへべれけになっている人は、終電になってもベンチで眠っていることがある。

 よほどのお人好しがいない限り、へべれけの人は眠ったまま終電だというのに取り残されてしまう。


「終電ー終電です。この次は電車がまいりませんのでご注意ください」


 そんなアナウンスがあったところで起きないやつは起きない。

 普通は車掌がホームに降りてきて、寝ている人を起こすものだろうが、この駅では違った。

 誰も起こさないまま、へべれけの男が1人、無人駅のホームに取り残された。


 プシューと音を立て、終電の扉が閉まる。車掌の口の端は少しだけ上がっていた。


 その後、しばらくして、もう来ないはずの電車がもう一度やってきた。


「これが本当に最後の終電です。お間違えのないようにお乗りください」


 へべれけだった男は、よたよたとした足取りで電車に乗り込んだ。


「ああ、焦った焦った。周りに誰もいないから、乗り遅れたかと思ったよ」


 男は酒臭い匂いを発しながら、カラカラと笑い、電車に乗り込むと再び眠り始めた。

 車掌は、ニヤリと口の端を思い切り上げると、もう使われていないはずの駅のホームに向かった。

 そのホームには、1人の駅員の格好をした男が待っていた。

 車掌はそのホームに電車を止めると、ホームへと降り立った。


「やあ、大橋。今回はどうだい?」


 ホームで待っていた駅員が車掌に問う。


「ああ、今回は楽そうだ。まだ眠っていやがる」


 車掌はちらりと電車内でぐうぐうと寝こけている男を見てクククと笑った。

 その様子に、駅員も笑う。


「ああ、抵抗も何もできなさそうだな。しかも、でっぷりと太っていやがる。これで当分は獲物探しの必要もなさそうだ」

「ああ、いい感じに脂が乗っていて美味そうだ。さあ、早速引き摺り出して準備をしよう」


 そんなやりとりの後、2人は寝こけている男を電車から引き摺り出し、首を切って血抜きをした。


「ああ、ホームはちゃんと水で流しておかないとな」

「一々制服を買い換えるのだけが面倒だな」


 2人はあっという間に男を捌き終えると、私服に着替え、捌いた物を2人できっちりと分けて、嬉しそうに帰路につくのだった。



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