01 prologue
初投稿です。とにかく、しっかりと続けていこうと思ってます。 最初は説明ばっかりでつまらないかもしれませんがよろしくおねがいします。
その頃の記憶は無いので、生まれた時からかどうかは分からないが、物心というものがついた時には既にソレは視えていた。
ある日、母さんと散歩している時にソレを視たので、
「あそこにいるね。」
と指を指して言うと、母さんは難しい顔をして、
「そう、あなたにも視えるのね。」
そう言って、すぐに祖母の所へ俺を連れて行った。
祖母曰く、それは妖というもので、大小様々なのがいるらしい。そのほとんどが、ただの靄みたいな形を持たないような奴らで(実際、俺が視ていたのもそんなのばかりだった)、ヒトに何かをしたりできないくらい力が弱いやつらしく、形を持っていたとしても、せいぜい蟲程度だと言っていた。
普通の人には視えないので関係はないが、視える人にはそういうのが寄って来やすいらしく(気がどうとか言っていた)、ある程度対処法などを知っておかなくてはいけない、ということでしばらく祖母の家に泊まることになった。
うちの家系には、視える人が現れやすいみたいで母さんも視えるらしい。
対処法と聞いて、それっぽい呪文を唱えるのだろうかと思い、少しワクワクしていたが、そんなものは一切なかった。
ただ毎日、数時間祖母の家の道場で黙想をするだけだった。
こんなものがなんになるのかと思い、祖母に聞くと、
「妖相手に一番やっちゃならんのが、目を合わせることや。目と言っても顔についとる目だけやない。心の目もや。やから、心を静めて合わさんようにするんや。」
と言われ、納得してしまった。
ところが、いつのまにか修行の一環だとかなんとかで(何故か修行になっていた)、炊事・洗濯・掃除その他もろもろをやらされていた。今思うと、それを信じ、律儀にこなしていた自分はなんて純粋だったのだろう。
そのせいか、おかげかは分からないが、とにかく俺は小学生になる前から、パーフェクトな主夫だった。
まぁ、そういうことばかりだったわけではなく、対処法を含めいろいろなことをやっていた。
妖の中にもまれにではあるが、力の強いのがいるらしく、そういうのに出会ったら一目散に逃げろと言われた。そういうのはどうしようもないらしい。また、そういうのは魂を喰らうとかどうとか。
そうして半年ほど祖母の家で過ごしてから家に帰った。
その後は祖母の家で習ったことを活かして、妖関係のトラブルにも巻き込まれることなく、家事を担いながらただの子供として暮らしていた。
そうして、たまに変なものが視えるけどそれ以外は全くもって普通な高校生になって2年目のことだった。
俺は彼女の秘密を知ってしまった。
正直に言って全く知りたく無かった。