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第3試合

……本日は土曜日です。

申し訳ありません。


次回金曜日からGW終了前日の日曜日まで毎日更新予定です。


「悠斗さん、その…、お疲れ様です。」

観客席に戻った俺は申し訳なさそうに頭を下げるレナさんに迎えられた。


「俺は大丈夫だから頭を上げて、ね?」

せっかくレナさんのためにと思って頑張ったのに謝られると少し申し訳なくなる。



ただこの状況を変えてくれたのは第1試合終わって俺の試合を観客席で見ていた、理由を知らないユウちゃん本人だった。

「なんでお姉様は謝っているの?

せっかくお兄ちゃん勝ったんだから喜ぼうよ!」


「そうだよレナさん。頑張ったんだから褒めて欲しいくらいだよ。」

俺も冗談混じりでユウちゃんに続く。



「ふふっ、そう、ですね。今日はお祝いと、明日のお二人のために腕によりをかけて料理を作りますね。」

そう言ったレナさんに笑顔が戻って一安心する。


「ねぇねぇ、お姉様?ユウも一緒に作っていい?」

「ダメですよ、ユウちゃん。今日は二人のお祝いなんですから主役は休んでいないといけませんよ。」


「むぅー。それじゃー見てるだけ!それはいい?」

「仕方ないですね。本当に見てるだけですからね?」

宥めつつもやっぱりユウちゃんに甘いレナさん。


「わかった!ありがとうお姉様!大好きー!」

ユウちゃんも嬉しそうに抱きついている。

やっぱり姉妹みたいだな、とその光景を微笑ましく見ていた。


「悠斗、その、あんたもけっこう強いじゃない。ちょっと見直したよ。」

「千佳が、褒める、だと…?」


今まで、というか生前?前の世界では散々俺に勝ち誇るようなことしか言わなかったあの千佳から褒められた。

やばいちょっと涙でてきそう。


「ちょっとあんた、あたしをなんだと思っているのよ!

少し褒めた程度で図に乗らないでよ!

どうせあんたなんてユウラシアちゃんの敵じゃないんだからね!」

余計な一言でツンツンに戻ってしまった。


その会話を聞いていたのか嬉しそうに抱きついているのは離さないまま、

「そっか、次お兄ちゃんとかー。」

「負けないからね?」


「ユウだって、修行最終日のように甘くはないよ?」

そうやってお互い牽制しあうがピリピリした雰囲気にはならず、

「レナさんのためにもユウちゃんには負けられないんだよー?」

レナさんを巻き込んでユウちゃんを揶揄う。


「えっ、ちょっと、悠斗さん!?」

慌てたレナさんを見れ、それだけで満足だった。


「えーお姉様、お兄ちゃんの応援するのー?」

不安そうな顔してレナさんを見上げている。

そんなユウちゃんの頭を撫でながらあやすように、

「どちらが勝つ、負けるにしてもお二人が無事であるなら私はそれが一番ですよ。」


「お姉様安心していいよ!お兄ちゃんはちゃんと傷つけないまま凍らせるから!」

「ちょっとそれ、俺は生きてるの!?」

「あははーどうだろうねー?

ユウはお姉様の前なら張り切っちゃうから手加減できないよ?」

「二人とも、ほどほどに、ですからね?」


俺たちは他愛ない話で盛り上がっていたが、ステージの方では次の試合の二人が現れ、観客席は熱気を帯びていく。

無事、とは言えないが少なくとも試合を見るには不自由なくてよかった。

「やっぱり気になるんだよな。」

口に出していたようで

「なに?やっぱりあんたもあんな綺麗な人が好みってわけ!?」

千佳が少し怒ったような口調で問いただしてきた。


「その流れ昨日やったから!」

慌てて流れを変えようとしたが墓穴を掘ってしまう。

「へーあんた、あたしたちを置いて遊んでたときの報告するなんていい度胸ね。」


「あー、その件は本当に悪かったって。それより試合始まるぞ!」

「あんたさっきもそうやって逃げたよね!

試合終わったら覚えて起きなさいよ!」

俺が無理矢理切ったことでステージに集中することになった。


ステージではお互いが顔そ合わせ会話をしている。

「先日は失礼したね。」

「はて?先日とはいったいいつのことでありんすか?

わっちとぬしは初対面でありんしょう。」


一瞬殺気めいたものを感じた。

ステージから離れていたこの場所まで感じたんだ。

近くにいた本人が感じていないはずもないが、アサギリさんは顔色一つ変えてない気がする。


「いや、すまない。予選では君にとってはただの一人に過ぎないということか。」

「なるほど、予選の時でありんしたか。

申し訳ありんせんが、確かに一人一人の顔は覚えておりんせん。」


「そうか。まぁ今度はきちんと実力をお見せしよう!」

そう言って一本の槍を取り出して構える。


「槍使いでありんしたか。」

そう言うもののアサギリさんは何も武器を取り出そうとしない。

審判の人も試合開始ができないためアサギリさんを見て困惑している。


「武器を取り出さないと始められないよ?」

促すようにクリストが言うが、

「わっちならもう武器は取り出しているでありんす。」


「ほう?見えない武器とでも言いたいのか?」

「ええ、今もぬしの喉元に刃を突き立てているでありんす。

それすらわかりんせんぬしは、わっちの敵ではありんせん。」


「そんな戯言!二度と言えないようにしてやる!」

今度は常に敵意を出している。

挑発に近い言葉に耐えきれなくなったのだろう。


彼女の方を向いて審判も困っていたが、

「構いんせん。」という言葉を聞き、おずおずと開始の合図をした。


「君の見えない武器とやら、全て叩き落としくれる。実力がないかはっきりさせてやるよ!」

怒りを滲ませながらも攻め急ごうとはしないようだ。


「子供たちがいうには…」

「子供?」

いきなりのことでキョトンとするクリスト。

しかし気にせずに話を続けるようだ。

「あぁちゃぁなる弓使いは剣を使うのだとか、らんさぁなる槍使いは自殺するのが運命なのだとか。」


なんか聞き覚えのある世界ですね…。

子供たちもちょっと知識が偏りすぎてませんかね。


「ほう?君の元いた世界のことか?」

「ええ。と言ってもわっちにもようわかりんせん。

でありんすから子供たちにその光景を再現させてあげるのも、と思いんしたが子供たちに見せるにはあまりにも凄惨でありんしょう。」


「俺が君の戯言に乗って自殺するとでも言いたいのか?」

「わっちにはそれだけの力がありんす。」


「ふんっ!やれるものならやってみろっ!!」

「そう怒りんせんでくんなまし。

それにぬしに死なれてはわっちの反則負けになりんしょう。

わっちの目的は勇者と相対すことでありんすから、ここで負けるわけにはいきんせん。」


「俺は眼中にないってか?」

「ええ、でありんすから“そのまま何もせず負けを認めてくんなまし”」


その言葉を発した途端、クリストから滲み出ていた怒りの感情が消えて無くなった。

そして、

「わかった、棄権しよう。」


結局クリストは本戦でも彼女を前にして棄権することになってしまった。

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