第2試合・その2
遅くなり申し訳ありません。
次回土曜日中を予定しています。
ユウちゃん相手にも簡単に負けないということはそれだけの策や経験があるということ。
下手な小細工は負け一直線だろう。
だから俺も防御力、生命力のほとんどをユニークスキル<犠牲者>で最高の一撃に割り振る。
今の俺はデコピン一発でも致命傷になりかねない状態だろう。
それをエリクが知るはずもないが、
「何故だろうか、今の君は予選の時とは比べものにならほど脅威を感じるよ。」
「買い被りはやめてくださいよ。」
変に警戒されるのも、と思い悟られないようにしているがバレてるんだろうな。
「私個人としては事を急かさず、観客のためにも君が予選で使った蒼炎やら多彩な魔術を派手に使ってほしいのだがね。」
「やっぱり予選はみていたのか。」
「本来なら決勝まで行くつもりだったが君が私を置いて勝ち上がったんだ。
私には君を見る義務があるのさ。
しかしそれはさておき、君があそこまで実力を隠し持っていたことは驚きだったんだがね。」
「あなただって実力を隠していたようなものじゃないのか?」
「ふむ、言われてみればその通りだな。」
「一方的に俺だけ見られて不公平なんだけど?」
「騎士としてはたしかに不公平は許しがたいが、騎士だからこそ確実に勝たなきゃいけないのさ。」
挑発には乗ってくれないか。
「だが、私としては君の全力と戦えればそれでいい。
君の誘いに乗ってあげるよ。
予選で見せた私の一撃。それにて相手をしよう。」
そう言ったエリクは剣を後ろに構えおお振りの態勢を取った。
俺はいつもと同じように構える。
そして一刻もしないうちにお互いが動き出す。
「はぁぁぁ!」
「ふんっ!!」
お互いに力を込めた剣がぶつかり合い周囲に衝撃を齎す。
互角、…いや若干こっちが不利だとわかる。
魔力をありったけ込め、ユニークスキル<犠牲者>を使ってなお押し負けるのか。
それでも負けたくない!負けられない!!
犠牲にするものが足りないなら他のものも犠牲者で力に変えてやる!
そう思った瞬間、力が漲ってきた。
無意識のうちに何か犠牲者で力に変えたのだろうか?
ただ、今は!
「くらえええええ!!!!」
「むっ!?」
エリクの表情が一気に曇る。
俺は押し切るためにもより一層力を込める。
そしてエリクも俺の攻撃を支えきれなくなり、振り抜いた剣の勢いそのままに場外の壁に叩きつけられた。
「ぜぇー…、はぁー…。」
肩で息をしながらエリクの方を見る。
砂埃も晴れていき、長剣と鎧が粉々になっている。
ただエリクはなんとか生きているようだ。
「ふぅ…、押し勝てる、と思ったんだが、ね…。
やれやれ、若者の成長は本当にはやいな…。」
一瞬立ち上がろうとしたエリクだったがそのまま前のめりに倒れてしまった
それは俺の勝利を決定づけることになった。
「勝利!大勝利です!!一撃のぶつかり合い。
それを制し、次へと駒を進めたのは若き異世界人!
ユウト=ヤナギ選手です!!」
実況の勝者コールと共に沸く会場。
見応えのある試合かはさておき、俺の勝利に盛り上がってくれている。
俺は歓声に応えたかったが、魔力や生命力を根こそぎつぎ込んでしまったためそれどころではなく、剣を杖にして立っているのがやっとだった。
このままではまずいな、そう思っていた最中、観客席にいた七海さんが飛び降りてくるのが見えた。
危ないと思い体を動かそうとしたがうまく動かせず成り行きを見てるしかできなかった。
だが俺が思ったような惨事は起きず、風魔術で器用に落下の勢いを殺したようだ。
1週間ちょっとであそこまで魔術を使いこなしていることに感心していたら俺に近づき、倒れそうな体を支えてくれた。
「悠斗くん、お疲れ様。それと、おめでとう。かっこよかったわよ。」
大人の女性を感じさせてくれるその笑顔はとても綺麗で目を奪われかけた。
「あ、ありがとう、ございます。」
誤魔化すようにお礼を言ったが、すこしだけ詰まってしまう。
「ふふっ、レナちゃんも行きたそうにしてたけど私の方が適任だったから先に来ちゃったわ。」
少しだけその行動力にびっくりしたが、
「適任?」
「私のユニークスキル<治癒者>で少しでも癒してあげれると思うわ。」
そう言って回復魔術…、いや治癒魔術を発動させていた。
犠牲者の代償でしばらくこのままかと思ったが、思いのほか元に戻る感覚があった。
「あれ?犠牲者の代償が薄まったような…。」
疑問に思っていたがすぐに答えをくれた。
「レナちゃんにも試したことあったから大丈夫と思ったけど、私のユニークスキルは回復補正を上乗せするだけではなく呪い、毒、その他諸々デバフ?というのかしら、それを治したり弱めたりできるのよ。」
本当に回復特化のユニークスキルなんだな。
しかしいつのまにレナさんで試していたのだろうか?
女の子同士、いろいろコミュニケーションを取ってることを少しだけ羨ましく思った。
「おいおい、彼女かー?」
「イチャイチャすんじゃねーぞ!」
とか会場の方で聞こえてくるが俺には言い返すだけの気力がない。
七海さんの方を見ると、
「ふふふ。」と少し笑顔になって俺に魔術をかけ続けてくれた。
会場の誤解を解くことなくそのまま魔術を受け続け、七海さんのおかげでだいぶ歩けるようになり、俺たちは観客席に戻ることになった。




