1回戦第2試合
次回水曜日朝方までには。
追記
体調崩してしまい木曜中に変更します。
申し訳ありません。
俺がステージに上がると既にエリクは俺を待っていた。
「やぁ、待っていたよ。」
「待たせたつもりはないんだけどね。」
「いやいや、君と戦った時から数日、私は君と全力で戦う日を待ち遠しくて仕方なかったさ!」
最初、この人のことカッコいい騎士だなとか思っていたが、知っていくにつれて評価が変わっていく悲しさ。
「それで制限なしのあなたはどれくらい強いんですか?」
「おや?気になるのかい?」
「そりゃまぁユウちゃんの強さを知っていた気でいたが、さっきの試合を見た後で本戦で戦う人間が最高水準の強さって本当の意味で理解できたからね。」
「そうかそうか、ただ安心していいとは言わないが、少なくとも蒼炎の戦姫殿より私の方が弱いのは確かだよ。」
「そこを簡単に認めるのか?」
「彼女には実績がある。
それを証明するだけの実力もある。
彼女と私の実力差は十分理解しているとも。
ただ、簡単に負けるほど私も経験がないわけではないがね。」
この人も本戦に出るだけの実力がある、ということか。
手の内をしっているのに実力がわからないとか不安でしかない。
「聞きたいことはそれだけかい?」
「答えてくれるのか?」
「なに、初めてこの大会にきたのだろう?
だったら私が少しばかり教えても不都合がない部分であれば構わないよ。」
「…えらくブーイングが多いしあんたをぶっ飛ばしてくれって送り出されたんだが何やったんだ?」
エリク引っ込めーとか聞こえてくる観客席を見渡しながら俺が質問すると、
「それは私が街の脅威を排除を率先していたからであろう。
あとは魔物退治の際、私が彼らの獲物だと主張するモノを片付けていたこともあったな。」
荒くれ者から嫌われるって感じなのか?
あとは実力がありすぎて横取りみたいな形になったんだろう。
そう思っていたが、
「私はただ力のある魔物を探していただけなんだがね。」
この一言でこの人がただの戦闘狂だから悪いと結論がついてしまった
「他に聞きたいことは?」
「それなら…、この組み合わせはなんか意味があるのか?」
「意味、とは?」
「今日の最終戦だよ。明らかに決勝で戦うような組み合わせじゃないのか?」
「あー、なるほどなるほど、その件か。
ウルド殿に出場を打診した時に条件として、勇者とお互い手の内を曝け出す前に戦いたい、とのことだったからな。
我々としても決勝を盛り上げてもらうためにも別々に配置したかったが、盛り上げてもらうのは戦姫殿でも十分であろう。」
「あくまでユウちゃんが勝ち上がる前提なんだね。」
「怒らせたのならすまないが、私はただ客観的事実を述べたまでだよ。」
実力的にも仕方ない。だが俺にはユウちゃんにも負けられない理由が出来てしまった。
背中を押してくれた仲間がいる。
だからまずはこの試合、無茶してでも全力をだしてエリクに勝つ!
「正直俺が第1試合だったら、どうしても勝ちたい、とは思わなかっただろうな。」
「理由を聞いてもいいかい?」
「無理はしないで、って送り出されたのもあるし実力差であれば俺もユウちゃんの実力は多少知っていた。
正直勝てるとは思っていない。
だけどさっきの試合をみて、あいにくだけどあなたにも、ユウちゃんにも負けるわけには行かなくなってね。」
「ほう?つまり君が勇者殿かウルド殿と戦うと?」
「結果的にそうなるかもだけど、そんな先のことより今は!あなたを超えて行く!」
「簡単に勝たせてやるほど私は甘くはないぞ。
だが困難に立ち向かう姿!それでこそ勇者候補だ!」
俺たちはお互いに武器を出して構える。
「おや?今日は長剣を使わないのかい?」
「長剣を使っていては全力のあなたに勝てるとは思っていないよ」
「そうか。それは何よりだ。
今回は止めないでくれたまえよ?」
そう言った瞬間、エリクからとんでもない威圧が飛んでくる。
予選の時とは比べものにならない。
俺も剣を強く握りしめ審判の合図を待つ。
そしてついにその時が始まる。
「始めっ!!」
その言葉とともに俺は一つのスキルを発動させる。
ーーーーユニークスキル〈犠牲者〉。
修行が終わった翌日にレナさんから貰ったスキル。
生命力変換もこのスキルの一部だったらしい。
そもそも俺は生命力変換スキルを持っていなかった。
それではどうやって発動していたのか。
状況を思い出すと使ったのはレナさんと共有スキルを使っていた時だった。
レナさん自身も渡そうとしてくれていたみたいだがスキルの名前の通り、何かを犠牲にして力を得る、危険を伴う諸刃の剣。
レナさんが魔力がないのに魔力がある人と変わらない動きができるのは、生命力変換を使って動いているため。
簡単に言えば火事場の馬鹿力。
正直そんな危険なことをさせていたのか、と思うとゾッとしたが戦闘に影響ない程度の最小限に留めているとのこと。
少しだけ安心したけどそれでも強くならないと、と思う内容だった。
犠牲、という言葉で少し不安に思うこともあったが、生命力だけではなく他にもいろいろできるから結構便利な能力らしい。
攻撃力を犠牲にする代わりに防御を固めたりと。
一度全力で防御振りにして実践してもらったがレナさんがビクともしないほど硬かった。
そのかわりレナさんの全力パンチは痛くもなくとても愛らしかったのは、今思い出しても微笑ましい出来事だ。
ただ欠点もあって、スキルを発動させた後はしばらくその状態のままでいなければならないこと。
どうしてこんな<犠牲>なんて名前のスキルを獲得したのだろうか?
何かを犠牲にしてでも手に入れたかったものがあるのかとか、魔力もこのスキルで犠牲にしているのかとか。
聞きたいけど聞けない雰囲気って胸がモヤモヤする。
仕方ないのでいつか聞けたらなと、先送りとなってしまった。
スキルを渡そうとしてくれたのはレナさんからだが、最後までもしもの時に逃げるなど用に、と念を押されたくらいだ。
攻撃特化にするとそれだけ危険が伴うからね。
…結局予選決勝で最小限とはいえ使ってしまっているんだが。
それでも今回は使うとわかってて送りだしてくれた。
お姉様と慕ってくれるユウちゃんのために。
俺はレナさんの願いを叶えたい。
そのためにも全力で犠牲にしよう。




