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第1試合その後

次回土曜日予定です。

 


「決着です!第1試合はユウラシア=カーネット選手の勝利!」

 ミーシアが負けを認めたことによりユウちゃんの勝利が確定した。


 最後は料理で負けを認めることになるとは会場に来た人たちも思っていなかっただろうが、それでも盛り上がる会場。


 小さな女の子同士の戦いで相手のスキルを奪ったり、蒼炎を斬ったり、斧を剣で真っ二つにしたり見所はあったからかな。


「レナさん、二人の女の子を料理で救った感想は?」

 俺は揶揄い半分でレナさんに聞いてみた。

「私はただ料理を作っただけなんですが…。」

 苦笑いをしつつもユウちゃんを見ているとき少し嬉しそうにしている。


「それにあの子を救ったのは私ではなくユウちゃんですよ。」

「それでもきっかけはレナさんの料理なわけだし、お姉様と慕う子がもう一人増えかもね。」

 俺は少し笑って冗談を言ったつもりだったが、

「ユウちゃんの時も実際お姉様と言われるとは思っていませんでした…。」


 二人の出会いもいろいろあったのかな。

 ちょっと気になるが二人だけの思い出もあるだろうし、聞かないでおこうか。


 それはともかくとして、正直この試合を見るまでは目標の本戦出場を果たしてるからエリクに負けても良いとさえおもっていた。


「ユウちゃんはやっぱり修行のときとは全然違うな。

 まぁあの時は木剣だったし、あの剣自体は使ってなかったから仕方ないのかもしれないけど。」


「なんなのあの子?強いとかそんなレベルではないじゃない。

 ほとんど無傷の勝利だし悠斗、あんたあの子に勝てるの?」


「いやいや、正直勝てるかどうかって言われたら難しいに決まってるだろ。

 そもそもエリクに勝てるかどうかさえ怪しいと思っていたし、心のどこかではよくやった、もう十分だと負ける理由も用意してた。ただ…。」


「ただ…?」

 不思議そうに聞いてくるレナさん。

「俺ね、ユウちゃんに一緒に冒険行かないかって誘ってるんだ。

 返事は大会終わってから聞くことにしてたけどね。

 レナさんとも一緒に居られるしあの子にとってもいいんじゃないかって。」


「ふふっ、悠斗さんならきっとユウちゃんを誘うと思っていましたので不思議ではありませんよ。」

「ははは…、レナさんには敵わないな。」


「ですが先程の試合を見て揺らいだ、ようですね。」

 本当にレナさんは人をよく見ているんだな。


「ユウちゃんにとって冒険者が最善なのかなって。」

「小さな女の子に言うことじゃないかもしれないけど、あそこまで強いと逆に天職とも言えそうだけどどういうこと?」

 千佳の疑問ももっともだと思う。


 戦ったミーシアだってユウちゃんの強さがあれば生きていけるって思っている。

 それでも、

「冒険をしながら料理を作るのもいいんだろうけど、ユウちゃんの夢はレナさんを超えることって言ってた。

 それなら相応しい場所があるんじゃないかって。」


「冒険者をしながら料理を作ることはできます。

 ですが食べる人が一緒ですと、自然と食べてもらう人の好みの味付けになっていき、どうしても味が偏って行くかと思います。


 多少なりとも変えることもできますし、それ自体はきっと悪いことではありません。

 それでも不特定多数のひとに食べてもらうのとはあまりにも経験できることが少ないのも事実です。」


レナさんも街に残った方がメリットがあると言っている。

俺から誘っておいてなんだけど街に残ってもらおう。

「そうだよね…。ユウちゃんには街に…

「それでも世界を知ることは何事にも変えられない経験だと思います。」

 俺の言葉を遮るようにレナさんは力強く口にした。


「レナさん…?」

「ユウちゃんはきっと誘いを断ります。

 あの髪飾りと一緒です。街に残ることが夢のために必要だから、と。

 それでも行きたいという思いもあり答えを先延ばしにしたのだと思います。


 これは私からのワガママでお願いです。

 ユウちゃんを連れ出してあげてください。

 今まで一人でしか見てこなかった世界を、今度は悠斗さんや私たちが隣にいて見て、知ってほしいのです。」


 レナさんが自分からワガママだと理解してて連れ出してほしいって言うことに驚いた。

「レナさんの気持ちはわかったよ。ユウちゃんと話してみるよ。そのためにも…。」

「ふふふ、試合に負ける人の誘い文句なんてただ『俺を守ってくれ』になっちゃうわね。」


 少し揶揄っているのだろう、七海さんがいたずらっぽく笑っている。

「そうですね。まずはこの試合勝って、ユウちゃんの前に立たないとな。」

「ありがとう、ございます。」


 レナさんからお礼を言われやる気も十分だ。

 だが意気込んでみたものの、勝算があるわけじゃない。


「まぁ何にしても勝ちにいかないといけないのは変わりない。どんな手を使ってでもね。」

「私が言うのも烏滸がましいですが、どうか無理だけはなさらないでくださいね。」


 たぶんレナさんも気づいているのだろう。

 元々レナさんのスキルだったんだ。

 それを最大限に使うにはまだまだ制御が甘いがそんなこと言っていてはきっと負ける。


「行ってくるよ。」

「「頑張って(ください)ね!」

「絶対にエリクの野郎に負けんじゃねーぞ!」

 3人と強面冒険者の方々に送り出され俺はステージへと向かった。


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