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武闘大会・その9

次回は土曜日予定です。

 

 ガッツさんが鎚を構えて飛び込んでくる。

 構え方は俺が前にやっていたような狩人ゲームの格好だ。

 ニコラさんの構えが独特であって本来はあの構えが普通なのかな?


 ただニコラさんの鎚捌きは基本的に相手に思うように攻撃させないところにある。

 相手が攻撃しようと瞬間自らも飛び込み、右と左の持ち手の隙間で相手の攻撃を受け止め、巻き込むように魔力を使った最速の動きで相手を攻撃する。


 鎚術は受けること自体少ないから咄嗟の対応が難しいらしい。

 最初の一撃は全力でいけ!それがほぼ唯一の教えだったので実践してみた。


 先ずは先制攻撃のつもりだったが、

「遅え!」

 魔力を使った動きだったにも関わらず簡単に防がれてしまった。


「知ってるぜ、その動き。だけど全然ダメだ。」

 その言葉とともにガッツさんの猛攻が始まった。


「おらおら、どうした!?」

「…くっ…!」


 俺は防ぐだけで精一杯だった。

 ニコラさんのスタイルはもう完全に崩壊している。

 ほとんど避けさせられてる感じさえする。


 場外付近まで追い詰められて、

「あの人の劣化版に負けるわけにはいかねーんだよ!」!」

 鎚同士のヘッドに当てるようにガッツさんの渾身の一撃が襲った。


 俺はその衝撃とともに武器を手放してしまい、ガッツさんの追撃がくる。

(…負け、る…!)


 だがその攻撃は俺に当てるのではなく目の前で叩きつけていた。

 そして地面から武器を離し俺の方に突きつけ、

「てめーの鎚術じゃ俺に勝てねーよ。

 魔術はどうした?

 魔獣を倒した時に使ったのになんでこの戦いでは使わない?俺には使うまでもねーってか?」


「いや、そういうわけではないです!

 俺はただ鎚術を使えるようになりたい!」


「舐めるなよ、小僧!

 てめーの全力を叩き潰してこそ意味があるんだ。

 どんな思惑があろうと手を抜くんじゃねー!


 それでも鎚術だけ使い続けるってんなら構わねーが、ヒロナさんへの負けた言い訳がそれならゆるさねーからな!」


(言い訳、か。勝っても負けてもいろいろな武器を使える機会、使う人を見れるだけでも自分の糧になる。

 それで納得している部分が少しあった。

 だけどこの人は最初から本気だ。


 俺が強くなるのを楽しんでたエリクとは違う。

 今ある俺の全力に勝ててこそヒロナさんに認められる、と思っている。


 ヒロナさんに頼られた、と思うには傲慢かもしれないが、俺が勝つと思ってくれたからこそ、ガッツさんに俺への勝利を提示したのだろう。


 それにやっぱりレナさんや、大会でまともに戦えるために修業つけてくれたユウちゃんの前で何も出来ずに負けるのはイヤだな。

 だったら俺も勝つために最善を尽そう!)


「ふん、面だけは良くなったが何もしねーならこれで終わりだ。」

 武器を振り上げ勢いよく叩きつけてくる。


 俺は一本の剣を思い浮かべ“出てこい”そう念じる。

 そして出てきた武器を手に取り、魔力を使って全力で攻撃を弾き返す。


「チッ!今度は剣か!だから本気でやれと…。」

 怒りの限界に達しそうになっていた。

 だが剣聖術と魔術。両方合わせてこそ今ある全力だ。


「これが俺に出来ることの全力です。」

 まずは魔術による先制攻撃。

 対人戦において使い勝手のいい、ユニークスキル<反転者>を使った暴風魔術、まとまりつく重い暴風。


「なんだこの風!?動きにくい…、こんな魔術聞いたことねーぞ!!」

 ユウちゃんのスキルを使ってるからね。


 ユウちゃん自身は蒼炎にしか使っていないが俺はへーティさんのおかげで獲得した全上位魔術分、人が見たことない魔術を扱える。


 見たことがない、のアドバンテージを生かすためにも、最大限剣聖術を生かす暴風魔術を軸に戦うことにした。


 そして効果を発揮したのを確認して俺は斬りかかった。

「…思うようにうごかせねぇ…!」

 明らかに動きが鈍くなっている。

 鎚聖術に比べて動き慣れている剣聖術。


 ようやくまともな試合になるかと思ったが、それも長くは続かず均衡が崩れる。

「くそったれーーー!!」

 怒声とともにガッツさんを中心にまとわりついた風を吹き飛ばすように暴風が吹き荒れた。


「……やっちまった……。」

 俺の魔術を吹き飛ばし元の動きやすさに戻ったが、何故か苦虫を噛み潰したような顔をしている。


 俺のエクストラスキル+ユニークスキル込みの暴風魔術を風魔術、いや少なくとも吹き飛ばせるほどの暴風魔術を持っているようだ。


 暴風魔術は相手が上である以上、暴風魔術で攻め続けてもいつかは負ける。俺は作戦変更を余儀なくされた。


 ただ何故かガッツさんの動きが鈍い。

 俺の暴風魔術の影響はもうないはずだが、考えても仕方ない。

 魔力的にも長引かせることはできない。


 俺は勝負を決めに行くため手のひらを突きつけ蒼炎球をつくる。

 燃やす、ではなく凍らせる蒼炎。


「なんでお前が蒼炎を!?」

 驚いているガッツさんに向けて俺は撃ち放った。

「くらええええーーー!!!」

「クッソぉぉぉ!!」


 魔力を込めた鎚の一撃で蒼炎を打ち返そうとする。

 だが俺もエクストラスキル<炎熱支配>、アビリティスキル<火炎の加護>、ユニークスキル<反転者>全てを込めた俺にできる最高の魔術。


 これで塞がれたら俺の負けだっただろう。

 だがぶつかった瞬間、ガッツさんの鎚が凍っていく。

「なんで蒼炎で凍って!?これはあの嬢ちゃんの!!?」

 驚いているガッツさんに近づき、俺は剣に魔力と生命力変換を使用して最後の一撃を入れる。


「これで終わりだーーー!」

 凍った鎚で無理矢理ガードしてきたが俺はそのまま斬りかかり、そして剣と鎚がぶつかった瞬間、鎚が砕け散った。


「………、俺の負けだ。」

 振り絞ったような一言で俺の勝利が確定した。

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