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武闘大会・その4

次回は3/9(20時30分)予定です。


追記

本日仕事で書く時間取れなかったため明日(3/10)に変更いたします。

申し訳ありません。

 

 攻撃に転じたエリクの一撃は非常に重かった。

 さっき無理矢理ガードして弾き返した動きを真似ようとしたが、受け止めた瞬間片膝をついて踏ん張って耐えなければならないほどの一撃だった 。


「ふむ、さっき私が見せたものを真似をしようとしたのかな?」

「……ええ、まぁ…無理でしたが…。」

 圧倒的に不利な状況な上に何をしようとしたのかとすぐバレてしまう始末。


「君の成長は驚嘆に値する。

 だが分不相応な戦い方は身を焦がすだけだよ。

 ここまで私の攻撃を凌ぎ切ってきたのは君にできることをしていたからではないだろうか?」


 対戦相手に試合中にアドバイス…?

 この人は勝ちたい、というより戦いたい、という欲求の方が強いのだろうか。

 しかし、

「俺にできること…?」

「そうだとも。私には私の戦い方があるように君には君の戦い方があるのではないか?」


 俺の戦い方、か。

 たしかに俺にはエリクほど体格が大きいわけでも日頃から鍛えてたわけでもない。

 そんな俺がエリク相手に力勝負を挑んどころで結果が見えてる、というかその結果が現状だ。


「私の動きを取り入れているのはすぐにわかった。

 それに合わせて長剣術が急激に成長しているのだろう。


 だが君は私ではないのだから、私の全ての動きを取り入れる必要はない。

 長剣術にしても戦い方は一つではないのだから君の剣術をベースにしてもいい。


 ただ長剣術で手数で攻めろとは言わないさ。

 なんと言っても斬ることにおいて一撃の重さこそ長剣の魅力でもある。


 できること、できないこと。

 向いていること、向いていないこと。

 戦い方に千差万別があるように敵にだって千差万別がある。


 相手と同じ戦場に立てるのは相手と同等以上の力がある時だけさ。

 ただ取り入れるだけでは成長できないよ。」


 俺が修行の時、ユウちゃん相手に力勝負挑んだからと言って同じようにエリク相手に力勝負を挑めるか、と言ったらそうではない。

 引き出しは多いに越したことはないが使い方を見誤るなってことかな。


 言われた事を噛み締めながら、

「理解、できた気がします。ありがとうございます。」

 お礼なんて対戦相手に言う台詞ではないだろうがただ取り入れれば、真似ていけばきっと強くなる。そんな驕りがあった気がする。

 気付けて良かった。


「なに、礼を言われるようなことではない。

 君の成長を見てみたいと思うのは誰もが思うことだろうさ。

 それに私達は未だに敵同士。

 決着が着くまでは情けすら不要!」


 エリクは再度俺に攻撃してきたが今回俺は受け止めずに避けることに徹した。

 力で受け止めようとしても結局さっきの二の舞だ。


 だが回避後に反撃しようとするが一歩出遅れて簡単に防がれてしまう。

 こういう攻め合いはエリクも慣れているのだろう。

 逆に反撃をくらってしまう。


「やはり反撃スタイルにされると私としても戦いにくい!」

 なぜか戦いにくいことを嬉しそうに報告してくる。

 一瞬こう言う戦い方に誘導させているのかと警戒したが、力技主体のエリクによってガードしてくれる方がありがたいのだろう。


 だが反撃主体にしたからといっても情勢が変わるわけではない。

 それ以上に息が上がっていてあまり長期戦はできない。このままでは負ける。


 何かできることはないだろうか?

 動きのサポート、攻撃に込める分魔力なら少なくともへーティさんの<変換者>のおかげで確保できるだろう。

 だが避けてからの攻撃では魔力有りサポート有りですら躱され、更に反撃を喰らう。


 避けるだけではダメ、そんな言葉を思っている時ふと修行を思い出す。

 立場的に力技を使う今のエリクが俺で、それを防ぐ俺がユウちゃん。

 ユウちゃんが俺に攻撃したように俺もエリクに攻撃できるのではないか?


 そして手段は思いついたが、ぶっつけ本番で有効かどうかもわからない。

 ただ他にチャンスが残っているとも思えない。

 俺は握った剣に力を入れる。


「覚悟は決まったかい?」

「ああ、俺はあなたに勝って次にいく!」


 エリクはニヤっと笑い、

「よく言った、勇者候補よ!」

 そしてエリクが飛び込んできて先程みせた大きく振りかぶった横振りの一撃の構えに入った。


 俺は剣を剣身を裏から支え、エリクの攻撃の勢いを殺さないまま斜め方向に受け流す。

 もちろん魔力をギリギリまで込めた動きの一つ。

 俺はそのまま回転するようにエリクの胴体へ一撃を入れる態勢を取って寸止めしていた。


 綺麗に一撃入る態勢だったが、人を斬ることを躊躇ってしまった。

 鎧を着ているエリクだ。

 おそらくそのまま斬っても助かっただろう。

 だが俺は魔力のサポートでブレーキをかけていた。


「ふぅ…参った。降参だ。」

 エリクの言葉で決着はついたが、その目は少しだけ敵意を向けているように怒りを滲ませていた。

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