武闘大会・その3
12時30分投稿予定してがアラームセットし忘れ4時間遅刻申し訳ありません。
次回は3/6、20時30分予定です。
まずは俺から斬りかかる。
長剣の間合いを意識しつつも、動きは剣術仕様になってしまうのはまだ使い慣れていない武器だから仕方ない。
ユウちゃんの剣術が両手で剣を持つ動きだったからリーチが伸びただけ、と感じていたが実際は違う。
小回りはしにくいし剣を振るにも力がいる。
それに相手の攻撃も手数で攻めるユウちゃんとは全然違うし、攻撃角度が違うで、回避することで精一杯な時もある。
少しずつエリクの動きを見て長剣の戦い方を取り入れていってはいるが、攻めきれない。
それでもまともに戦えるのはユウちゃんとの修行で身体の動かし方、受け流し方を学んでいたからだろう。
「なるほどなるほど、剣の振り方はぎこちない。
だが回避技術に関しては申し分ない。
剣術の動きがベースになっているのかな?
アンバランスだがなかなか攻めにくいのも事実。
そして何よりこの成長速度!
1合打ちこむごとに剣の鋭さが増していっている。
長引けば少し苦戦しそうだな。」
そう言ってエリクが長剣で無理矢理ガードし、跳ね返すと同時に攻め込んできた。
「長剣は何も避けることが全てではない。
こういうこともできるんだよ!」
ユウちゃんは受け流しメインだったから自然とそういう戦い方になっていた俺にとって、攻撃を受け止め弾き返される経験はほとんどなく対応に遅れが生じた。
試合を決めに来たかのようにエリクの大きく振り回した横振りの一撃が俺を襲う。
(避けれ、ない…!)
俺は先程エリクがしたように長剣で無理矢理ガードをする体勢を取っていた。
その状態を見たエリクが少しだけニヤっと笑ったようだが確かめる間も無く攻撃が俺を襲った。
おそらく魔力を込めた一撃だったのだろう。
ガードしていたとはいえ、関係ないと言わんばかりに思い切り吹き飛ばされてしまう。
(やばい、このままでは場外にっ…!)
咄嗟に剣を地面に突き刺し勢いを殺す。
なんとか踏み止まり場外は免れたがこの攻撃を何度も食らうのは危険だ。
「ほぅ、今のを防ぎきるか。
いやはや、本当に恐ろしい成長速度だ。」
「はぁ…はぁ…。」
余裕綽々のエリクに対して肩で息をする俺。
反撃の糸口を見つけないと負けてしまいそうだ。
「長剣術が発展途上であることは理解したよ。
それに君は自分より大きな相手と戦ったことが少なそうだ。動きがぎこちない。
少しずつではあるがそれも経験でカバーできている。」
たしかにユウちゃんは俺より小柄だ。
上段から攻撃が来ることが少なかったがエリクは俺よりも大きいし、普通に上段からも攻撃してくる。
「だがこのまま成長し続けてたとして、私に勝つために通らなければならないのは困難な道だ。
確実な勝利のために剣術に変えようとは思わないのかい?」
エリクが質問してきたがそんなの決まっている。
「今、確実な勝利なんていらない。
剣術は剣術の先生に多少なりとも認められている。
たしかに剣術で戦えばあなたもより楽しめるかもしれない。
だけど俺が欲しいのは、たとえ困難な道だとしても誰かを守れるだけの強さ。
あらゆる状況に応じて戦えるようになるため、俺はここにいる。
あなたにすぐに追いつけるなんて思わないが、それでもここで長剣で戦うことは未来の俺にとって必要なことだと思う。」
俺は剣を構えて戦闘態勢に入る。
だがエリクは武器を構えず俺を観察しているようだ。
「ふむ…、さすがは勇者候補、英雄と呼ばれているだけはあるね。」
(…勇者候補?英雄と呼ばれてることかな。)
自分が勇者だの英雄だの呼ばれることに抵抗があるのか背中がむず痒くなるが我慢する。
「それに君という人間を少しだけ理解できた気がするよ。
たとえ困難な道でも未来の自分のためにその道を選ぶか。
魔獣討伐した際は火炎魔術を使ったと報告を受けていたが、この戦いで魔術を使わないのはそれも理由なのかい?」
(…!!わ、忘れてた…。
…やばい、変に納得しているエリクに忘れてたなんて言えない。)
「そ、そうです。」
声が裏返った気がするし、エリクが少しジト目で見ている気がするが気にしたら負けだ。
「そ、それに魔術にもちゃんと先生がいるし認められたからこそこの場にいる。
だったら今俺に必要なことはコレの使い方を覚えること。」
「魔術にも先生か。君の全力と戦えないのは仕方ないが、予選だから手の内を全てさらけ出すのも避けるべきか。」
納得してくれたようであるが俺も気になっていた事を質問する。
「あなたも本気で相手をするといいながら手を抜いてはいませんか?」
「ほう?どうしてそう思うのかい?」
「あなたが本気で相手をしていたらおそらく俺は簡単にやられていた。長剣の使い方を教えてくれている気がする。」
少し驚いているようだが、剣を構えて
「安心したまえ。本気で君と対峙している。
それでも君がそう感じるなら謝罪しよう。
私も全力を出せないことを悔しくても思うが、君の全力と戦える日のため私も困難な道を選ぼう!」
会話が終わり今度はエリクから攻め込んできた。




