武闘大会・その2
3/1 追記
だいぶ仕事の方も落ち着いたので今月から少しずつ更新ペースあげたいと思います。
次話に関しては週末(3/3、12時30分予定)にて投稿します。
2月は1話のみしかあげれず申し訳ありませんでした。
「まさか予選の一戦目から苦労するとは思っていなかったよ。
そうだね、まずは名乗ろう。
私の名前はエリク・ハイルド。バトラー侯爵家に仕える一人だ。
君の名前、聞いてもいいかい?」
なるほど、騎士風ではなく騎士そのものだったのか。
「俺の名前は柳悠斗。1か月前にこの世界にきた人間だ。」
「そうか、君が件の英雄だったのか。
最初の緊張具合からただの思い出参加組かと思ったが、なるほどなるほど。」
件の英雄って…。俺の知らないところで話が大きくなっている気がするが気にしても仕方ない。
「それで君は名乗ってはくれないのか?」
「……。」
ずっと黙ったままで喋る気はなさそうだ。
「わかってはいたが君の仕事柄、名乗れないのは仕方ないか。
検討はついているんだが、いまは戦いを楽しむとしよう。」
そういってエリクは長剣を構えた。
身の丈ほどのある長剣をブレることなく構えている姿は威風堂々。
立ち姿だけで威圧感ばっちりだった。
それにくらべてアサシン風の人は存在感がないようにさえ感じる。
エリクが仕事柄名乗れない言っていたから、おそらく暗殺とかそう言った方向なのだろう。
なんでこんな目立つ大会にでているかとか疑問に残るが気にしている余裕はない。
さっきは咄嗟に反応したから良かったが、何もされずに攻撃されていたらレナさん達を心配させるだけで大会がおわっていたところだ。
俺は武器を構え直してどちらが攻撃してきてもいいように警戒した。
最初に動いたのはアサシン風の人だった。
正確にはいつのまにか動いていた、だ。
警戒を怠っていないにも関わらず危険感知が反応する程度に接近されていた。
相手の攻撃に半歩遅れていては間に合わない、そう思った瞬間、エリクが目の前に現れていた。
「やはり君は最初に彼を狙うようだね。」
そう言ってエリクは短剣による攻撃を受け止めて、そのまま相手を吹き飛ばした。
受け身をとりすぐさま立ち上がりながらまた短剣を構えた。
そして俺を置き去りに二人の戦いが始まってしまった。
俺は二人の動きを注視することに集中した。
この大会での目標はあるがあくまで自分が強くなるための足掛かりであること。
そのためには相手の動き知る必要があった。
警戒を怠らず動きを見ていたがこの二人はそれぞれが対極の位置にいると思う。
エリクは長剣を活かした重い一撃。
アサシン風の人は短剣による素早い動きで撹乱した急所への一撃。
エリクが攻めると魔術を使っているのか幻のように姿が消えて他の場所に現れる。
アサシン風の人が攻めようとすると長剣のリーチを活かされ攻め切れていない。
お互いがお互いの武器の長所を活かそうと戦っている。
そんな膠着状態ではあったが、長くは続かなかった。
アサシン風の人が自ら場外へ出てしまった。
呆気にとられた俺とは違い、納得だと言わんばかりに、
「不本意だが、君には君なりの理由があるのだろう。
またいつか手合わせ願いたいものだ。」
「……。」
返事をしないままアサシン風の人は闘技場を後にした。
「手を出さずにいてくれて礼を言うよ。
私は5人による戦いよりも一対一の戦いを好む。
決着をつけれなかったのは残念だが彼もこれ以上手の内を見せるわけにもいかなかったのだろう。
だがそれも、君という英雄と戦えるなら私も我慢しよう。
さぁ、思う存分楽しもう!」
もう少し落ち着いた人だと思っていたが戦闘狂だったようだ。
だがさっきの戦いでわかったけどこの人は長剣を扱い慣れている。
だから俺も手元にある剣を地面に刺して一つの武器を思い描く。
(出てこい!)
そして俺の手元には一つの長剣が出てきた。
「ほう、君は剣術使いだと思っていたが長剣術をマスターしているのかい?」
いきなり武器を変えることに興味を示してきた。
「残念ながら今の俺の長剣術ではあなたに遠く及ばないでしょう。」
エリクの眉間がピクっと動いた。
「それは負けを認めた上で私との戦いを愚弄するということかい?」
怒りを表情に出さないようしているが、俺への敵意を隠そうとはしていなかった。
「いいえ、違う。俺は強くなるためにこの大会に出た。
あなたはさっきの戦いでもわかったけど長剣術に長けている。
あなたを目指すためにも必要なことだから。」
少し考える素ぶりをして、
「君にも君の戦いがある、ということか。
なるほどなるほど。さっきの早とちりは謝罪しよう。
だが戦いは別だ。手加減は一切しない。本気をもって相手しよう!」
俺とエリクによる戦いが始まった。




