大会までの1週間
まずは召喚翌日、ギルドに二人を連れて行くと案の定ヒロナさんから、
「ハーレムでも作るんですか〜?」とからかわれる。
これは想定内だ。
「召喚魔術でまさか二人が来るとは思っていなかった偶然なんですよ。」
あくまで偶然を装うことにした。
いや、実際残滓さんが選んだだけであって俺からしたら偶然なのだ。
「もしかしたら〜悠斗さんが女性のペットが欲しかったのかも〜?」
「なっ!?」
お願いですから人がいるところでそんな爆弾放り込まないで!
「おい坊主、ヒロナさんだけでも許しがたいっていうのにレナさんをタラし込んでいるって話だ。
最近ではユウラシアさんやへーティ姐さんまで狙ってるって話を聞いたがあながちウソでもなさそうだな?」
後ろに立っていたのは怒りを滲ませたような目で見てくるガッツさんだった。
武闘大会へ向かう前にヒロナさんに挨拶しに来てたようだ。
「もう真に受けないでください!」
「坊主、俺はこの大会で優勝する。
そしてお前を倒してヒロナさんに認めてもらう!」
と年下の、しかもまともに冒険すらしたことないような後輩に戦線布告する大人気なさを見せつけられた。
挙げ句の果てにはガッツさんのパーティであるアーファさんとベルタさんからは
「おめーよ、女の子二人も増やして男パーティーの俺たちへの当て付けか?」
「それこそ誤解ですって!」
収まりがつかなくなりそうなところでニコラさんが降りてきた。
「お前ら、うるせーぞ!ったく、こっちは来週の大会のせいで仕事を前倒ししてたらんといけねーのに浮かれやがって。
下手な戦いしてこのギルドの評判を落としたらどうなるか分かってるだろうな?」
ガッツさんたち3名が背筋を伸ばして、
「わかってるぜ、マスター。あんたの期待に応えてみせる!」
「おいおい、その自信はどっから出てくるんだ?
どうせ今年も負けるんだから負けるなら勇者かユウラシアの嬢ちゃん、もしくはそこの若造だけにしてくれよ?」
迫力のあるニコラさんを眺めていたらいきなり油を注がれているのを気づいた。
「ちょっ!?それ逆効果ですって!」
「マスター!俺がこいつに負けるなんてありえねーですって!」
「ったく、そんなこと戦いで決めればいいだろうが。お前らは向こうで仕事あるだろう。さっさとネオンブライアに向かいやがれ。」
そう言われガッツさんも納得したように、
「へっ、それもそうだな。坊主、首を洗って待ってろよ!」
そう捨てゼリフにも似た言葉とともにギルドへ出て行った。
ようやく落ち着いたところでニコラさんに二人を紹介
できた。
「ほぅ、可愛い子たちじゃねーか。」
ジーッと二人を見ているニコラさんに向かって口を開いたのは七海さんだった。
「セクハラはダメ、ですからね?」
さすが社会人だ。される前に釘をさして上司を追い詰めておく。
ヒロナさんと同じ雰囲気を感じ取ったのか
「お、おう…しっかり頑張ってくれな?」
そう言いって部屋に戻って行こうとしたが足を止めて、
「ユウトよ、おめーに渡したいものがある。
旅立つ前にへーティと一緒に俺のとこにきてくれないか?」
「渡したいもの?わかりました。それでは明日以降、修行終わってへーティさんが空いたらお伺いします。」
「今日はこれねーのか?」
「今日はへーティさんとの初日の修行ですよ?」
「なるほどな…。」
俺の一言でどうなるかの惨状を理解したようだ。
そしてちょうどいいタイミングでへーティさんがやってきた。
「アタシのウワサが聞こえたのだけど?」
「き、気のせいだ!俺は仕事に戻るからな!」
口ごもる時点で白状しているようなものだが急いで部屋へと戻って行った。
そして俺は二人のことはへーティさんに任せて俺は大会に向けて準備することにした。
ただパトの協力もあり大会に向けての準備は滞りなく進んでいった。
あとは1週間後街を出て行くから挨拶だ。
ところどころで英雄呼びされたが笑って受け流した。
やっぱりまだ慣れないな。
もちろん空いた時間は素振りで剣聖術の使い方を身体で覚えていく。
夜になればクタクタになってるだろうから二人をギルドに迎えに行く。
案の定、修行している部屋に入ると倒れていた。
へーティさんが満面の笑顔を浮かべているが俺は何も見ていない。
俺は含み笑いをしながら千佳を近づいていき、
「いやー修行頑張っているようでなによりだ。」
「……聞いてなかったわよ?」
「あたりまえだ。こうなることを見越して何も言わなかったんだ。」
もちろん七海さんにはきちんと説明してたよ?
それでも防げる類のものではないから、教えておくだけでも心構えできればな、程度である。
そんな感じで一週間俺たちは自分にできることをして行った。
そしてプライ王国最終日、俺とレナさんは二人で先行してネオンブライア行きの馬車に乗り込み、次の街へと向かった。
「予選はきっと勝つと思うわ。だから予選終わるくらいまではアタシに二人を預けてくれないかしら?」
とのことで二人は本戦開始の3日後到着となった。
修行が伸びたことを意味するその言葉は、二人を絶望に叩き落としたのは無理もなかった。
毎日(週7話)12時30分投稿予定です。




