召喚魔術
毎日(週7話)12時30分投稿予定です。
「しかしユウトよ、召喚魔術を行うようだが大丈夫なのか?」
「大丈夫、というと?」
「召喚魔術とはその名の通り魔物であったり悪魔、別の世界から人を召喚するものじゃ。
それには対価が必要での。
魔物や悪魔は基本的に魔力を分け与えて一時的な戦力として召喚したり、名づけをすることで主従関係を結ぶ。
もちろん契約魔術というものもある。
じゃが魔力制御に失敗してしまうとお主の命はないかもしれん。
そこまで危険を冒してまでやることかの?」
「危険なのはわかりました。
でも俺はもう二度とレナさんを一人にしたくない。
たしかに召喚魔術をせずにパーティーメンバーを増やすのも、戦力増強の手段の一つでしょう。
だけどそれはいつでもできる。
レナさんと一緒にやるから意味があると思うのです。」
「一緒に…。そうか、共有スキルか。」
「はい。」
「お主の考えはわかった。しかしレナはどうなのかの?」
そう言ってレナさんを見つめている。
睨む、とは違うが視線のプレッシャーは、視線を向けられていない俺ですら後ずさりするものだった。
「私は…。」
レナさんは先の言葉が言い出せないのか口ごもる。
もしかして今まで何か言いたそうにしてたのは、楽しみにしていたのではなく、断るタイミングを探してただけなんだろうか?
その結論に至ったとき、独りよがりなのだと思い至りレナさんに謝る。
「ごめんレナさん!レナさんと一緒にと言いながらずっと自分のことばかり考えていた。
レナさんが不安に思う気持ちを理解できていなかった。」
頭を下げて謝る俺に、あたふたしながらも自分の気持ちを口にした。
「ずっと悩んでいました。
もしまた悠斗さんを失うのではないのかと。
もしかしたら今度は悠斗さん自身を一人にさせてしまうのかもしれのかと。
そう言ったが怖さはあります。
それでも私もその、一緒にできることは嬉しいのです。
だけどそれは感情論ではありません。
失敗するとも思っていません。
魔力制御はこの2週間でお墨付きをいただいていると聞いてます。
悠斗さんの頑張りを支えるのが、私の役目だと思っています。
だから例えなにがあろうと結果をありのまま受け入れます。
それが私たちの冒険の最善になると信じていますから。」
レナさんが決意とともに力強く見つめ返してきた。
「レナさん…。」
「レナよ、いいんじゃな?」
「はい。」
今度はジューザさんを見つめはっきりと頷いた。
「わかった。ワシからはもうお前たちの意思を惑わせるようなことは言わん。
ただ何かあった時のために召喚魔術に立ち合うがいいかの?」
「ありがとうございます。
もしもの時はよろしくお願いします。」
俺はお礼を言うが笑い飛ばすように、
「なに、お主達がきちんと魔力制御ができていれば何も起きんさ。」
「それでお主はどう言ったものを呼び出したいのだ?」
俺たちは俺が召喚されたゲートと呼ばれる場所へ向かっている途中、ジューザさんの質問を皮切りにどう言ったものを呼び出すかの話し合いになった。
「召喚できるものを選べるんですか?」
「この世界は個人の希望で成り立っておるからの。
魔力制御ができていれば望んだものを召喚できる。
極論を言えば世界を救える力を持つ勇者がそうだな。」
たしかに魔力を使った剣術の動きも、魔術の形も自由に変えられる。
なるほど、スキル獲得だけではなく行使そのものも希望を反映される世界、か。
希望か…。
「俺は俺たちの冒険を支えてくれる相手、かな。」
「ほう、なかなか漠然としておるの。」
ジューザさんの言葉に答えようとしたらレナさんが後押ししてくれた。
「私もその、同じ考えです。
得意不得意を求めるのではなく、召喚された方と私達がお互いを支え合える関係になれれば、と思います。」
「そうか、わかった。召喚魔術を行う際、その気持ちをしっかりと持っていれば望んだ結果になるであろう。」
「はい、頑張ります!」
そして俺たちは異世界人転生召喚門、通称ゲートに到着した。
「懐かしいな。ここでレナさんと初めて出会ったんだよね。」
「そう…、ですね。」
なんだろう、少し歯切れが悪かった?
やっぱりどこかで会ったことが…と言っても俺はこの世界に来たのはここが始まりだ。
それならやはり前の世界で?
そう思って記憶を探ってみるもやはり見覚えがない。
レナさんの白髪は目立つ。元は黒髪だった、とか?
話せないこと、話したくないこと。
人にはいろいろある。詮索はやめておこう。
「でもここって異世界人用のゲートではないのですか?」
俺の質問に答えてくれたのはここの管理者ジューザさんだった。
「それは少し誤解での。
ここはありとあらゆる召喚魔術を行う場所じゃ。
生をお作りになったルージュ様が祀られておるからの。
ただ召喚魔術とはあまり民衆には馴染みがなくて、世界を救った異世界人勇者がこの地に召喚された場所、として広まったのが原因と聞いておる。」
生誕地を記念にしているような感覚だった。
「ははは…。その勇者もまさか自分が原因だとは思っていないでしょうね。」
「まぁの。ずいぶん昔の話だから言い伝え程度ではあるがの。」
さて、話も聞けたところで俺たちはゲートという名の魔方陣みたいなところに近づき、召喚魔術を開始することにした。
レナさんが何も言わずに手を差し出してくる。
俺はそれを握り返し共有スキルを発動させ準備万端だ。
【個体名:リーファレナ=リスアミィとの知識共有により、一時的に限定解除に成功しました。悠斗様、ご命令を。】
あの声が聞こえた。やはりレナさん相手に共有スキルを発動した時だけ?
今はあの時は違い戦闘中ではないから、少しだけ余裕がある 。
できれば話ができればいいんだが…
(あなたは一体なんなのですか?)




