ユニークスキル<変換者>
この人は本当にブレ無いな。
「いや、獲得してもらうわ、じゃなくて説明をもらってもいいですか?」
「え?そっちの方が楽しそうじゃない。」
凍りつく俺を後目に話しを続ける。
「というのは冗談にしても、あなたにとって今後気をつけるべきは魔力の量なのよ。」
その説明からへーティさんの魔力お化けの正体はユニークスキルの影響だと予想はつく。
「たしかにそうかもしれませんが、理由としては弱くないでしょうか?」
「そうね、正直なところあなたがあの子のユニークスキルを獲得していなかったら獲得させようと思わなかったわ。
ただ放っておくと危険かも、そう思っただけよ。」
「危険?確かに効率の悪いスキルだとは感じましたけど、使わなければいい、という話では無いでしょうか?」
「使わないに越したことはないけど、あなたが…いえ、あなたに関わる人が危機に陥った時、救える力があるが自分を犠牲にした力をあなたは使わないを選ぶことができるかしら?」
前科がある俺の逃げ道を塞いでくる。
「そんな状況になれば躊躇いなく確かに使います。
それはきっと間違いない。
ただへーティさんだって共有スキルで獲得するのは危険だと言ったでは無いですか?」
「獲得した後どう反動がくるか…。
確かに想像がつかないわ。
だけど持てる力を使えるようにする。
それは今すべきことじゃ無いかしら?。」
「それは…。」
言葉に詰まる。
ユウちゃんから獲得した今や俺のスキルでもある。
「アタシはあなたに必要だと思うから覚えて欲しいのよ。
これは1日悩んだアタシの選択だわ。」
昨日倒れた時と同じような優しい笑顔のへーティさん。
最初に楽しそうといったいろいろな趣味を一切省いた選択なんだろう。
「先生が悩み、そして必要だというのでしたら。
ただどうして先生のユニークスキルが必要なんですか?」
「疑問に思うことはわかるわ。
そうね、アタシのユニークスキルについて教えましょうか。
アタシのユニークスキル<変換者>はその名の通り魔力変換に特化したスキルだわ。
色々制限もあるんだけど例えばね、こうやって魔術を発動させる。」
そう言って指を立てて発動させたのは小さな火の竜巻。
「そしてこの火を魔力変換を使って魔力に変える。」
グルグルと回っていた火の竜巻が指先へと消えていく。
「それで変換した魔力のみでもう一度魔術を使うわ。」
さっきよりも少し小さめの火の竜巻。
変換に生じるロスがあるってことなんだろうか?
「今までユニークスキルをおしえることなんてなかったし、こうやって口で説明するのは難しいわね。」
「なんとなく理解はしましたが、魔術のみにしか使えないのですか?」
「わかりやすく火魔術にしただけで空気でも一応変換できるわ。
その辺は獲得してからの方がわかりやすいんだけど…。」
「自分自身の力で魔力を補充させる、それが獲得させる理由に繋がっているんですか?」
「そうね、例えばあの子のユニークスキル。
多分獲得した本人だからこそあそこまで使えると思っていいわ。
全てを燃やす炎、それだけでも脅威なのよ。
それを凍らせる、に変えることができるスキル。
一体どれほどの力が必要なのかしらね?」
確かにもともとの力の消費とか考えず、ただ相性が悪いと思っていただけだった。
今までのことを思い出しているとさらにへーティさんは言葉を続ける。
「それに一つ気になったのが剣聖術を使ってユウラシアちゃんが持つ希少武器を持った時のことよ。」
「魔力を使ったような感覚に襲われたことですか?」
「ええ。本来持てる持てないはスキルだけで決まるわ。
そこに魔力なんて一切の影響は受けない。
ただ君の場合、魔力を消費したような感覚に陥った。
もし君の中途半端な才能の補助を魔力で補っているのであれば、魔力の枯渇が数倍早くなると思っていいわ。」
「そのために一定の魔力回復ができるようユニークスキルを獲得させたい、と。」
「その通りだわ。」
すごい回り道した気がする。
最初からその説明してくれたらすごく納得したんだけど…。
「正直なところ修行の餞別に受け取ってもらうことも考えたんだけどね。」
「へーティ先生…。」
俺は少ししんみりした気分に浸りそうになったが、それをぶち壊したのはへーティさん自身だった。
「あなたのことを考えると楽しくて楽しくて仕方ないわ。
いろいろなことができるって本当に素晴らしい!
これで憂いもなくユニークスキルを使わせることも出来るし、なんていいアイディアなのかしら。
ふふふ、どんな修行しようかしら?
これから修行終わりまで本当に楽しみだわ!」
俺は修行終わりを無事迎えることができるのだろうか?
俺の不安を他所に興奮冷めやまぬへーティさんを眺めるしかできなかった。
そしてへーティさんが落ち着いてところでスキル獲得を試すことに。
「準備はいいかしら?」
そう言って手を差し出すへーティさん。
待ってたのは俺の方、とは言えず、手を差し出して答える。
「はい、よろしくお願いします。」
「えっと、発動中にアタシから解除すればいいのよね?」
「ユウちゃんの時はそうでした。」
「わかったわ。それじゃ始めてもらえるかしら?」
俺はへーティさんの合図と共に小さい火の竜巻を作る。
それをさっき見せてもらったように魔力へと変えるイメージ。
しばらく何もなかったが内側に暖かいものが流れ込んでくる感覚。
そして……
【ユニークスキル<変換者>を獲得しました】
スキル獲得を告げるいつもの声が聞こえた。
毎日(週7話)12時30分投稿予定です。




