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騎士

 

 残りのごはんを頂くことにした。

 いろいろユウちゃんにはいったが、おいしいことには間違いない。

 残すなんてありえなかった。


「ごちそうさまでした。」

「明日はちゃんと自分の味付けで頑張ってくるから…食べてくれると嬉しいな。」

 少しだけ不安なのか少しだけ上目遣いで見てくる。

 子犬っぽいなと笑みがこぼれそうで必死に我慢する。


「もちろんだよ、ユウちゃんの手料理、楽しみにしてるよ。」

「うん♪」

 俺が食べることを約束したことで不安が消えたのか笑顔を見せてくれた。


 そもそもレナさんに料理を食べさせたかったはずだけど、そのレナさんの料理の味を真似してても越えられるんだろうか?

 その辺もいうべきだろうか?


 …いや、味付けも自分なりになっていくだろう。

 そこはもし今後悩むようなら、レナさんから言ってもらう方がいいし、俺の役目は味見をすることだけでいいだろう。


 母親においしい料理を食べてもらうため、味見をさせられながらも必死に頑張っている子供の成長を見守る父親の気分とはこういうものだろうか?

 味見と食べてもらう側が逆な気もするがそこは突っ込まないでおこう。


 それにもともと子供が優秀すぎる気もするがそこは仕方ない。

 子供の成長を見守るとき、料理を始めたときの味を知らないっていうのも悲しいものだね。

 俺は子供が生まれたときは親ばかになりそうだなっと少し自嘲気味に笑いがこぼれた。


「お兄ちゃんニヤニヤしてどうしたの?」

 恥ずかしい顔を見られてしまったようだ。

「なんでもないよ、ただちょっとユウちゃんのご飯食べられて家族みたいで幸せだなって。」


 その一言でボフっっと音が出るんじゃないかというくらいユウちゃんの顔が赤くなった。

 小声でブツブツ何かつぶやいてるが聞こえない。

 とりあえず落ち着くまでそっとしておこう。


 ご飯を食べ終わりユウちゃんが落ち着いたところで修行再開。

 ただここからも基本的な動き方や剣の捌き方、主にユウちゃんのやる気も絶好調なため防戦の仕方の練習となった。


 小さいからだで軽々と剣を振り回す姿は違和感でしかないが経験豊かな冒険者。

 俺の実力不足、スキルの上限制限もあるだろうが全然反撃させてくれる隙すらみせてくれない。


 防戦一方で時間が刻々と過ぎていく。

 せめて修行のせいかを見せたい。

 その思いから魔力を使った動きを少しずつ取り入れていく。


 ただユウちゃんは魔力を使わずただの剣捌きのみで防がれる。

 そして隙を見つけては叩かれる。


 そうしたことを繰り返しながらも、結局一矢報いることできずに終わりの時間を迎えることになった。

 両手を膝につき肩で息をする18歳の俺。

 片や軽くかいた汗を拭う程度の小さい女の子。


 子供大人関係ない世界かもしれないが、この結果がなにより実力差を思い知らされる。

「やっぱりお兄ちゃんは成長が早いね。

 ユウも本気でやらないとあぶなかったよ。」


「ははは…、ありがとう。でもユウちゃんとの実力差がわかってくる一方だよ。

 最初は本当に手加減できないとか言いつつ手加減してくれてたこともわかったし。」

「ユウもこんな風に身体を動かすのは久々だったから手加減してたわけではないよ?」


「あはは…そうなんだ…。」

 俺が成長しているより、ユウちゃんの勘を取り戻す方が早いのか。

 全然追いつける気がしないがやれるだけのことやる。


 そんな会話をしていると部屋に入ってくる女性。

 このあとの魔術の先生であるへーティさんだ。

 俺はユウちゃんを隠すように前に立つ。

「お兄ちゃん、どうしたの?」

「どうしたのって…そのへーティさんが…。」


「あー、うん。たぶん大丈夫だよ。」

 あれだけ避けてたのに大丈夫とはどういうことだろうか?

 頭の中が???で埋め尽くされた気分だった。


 近づいてくるへーティさんは、魔術を眺めている時のような危ない顔をしていない。

 ユウちゃんのことを話していた時はあんなに酷い顔だったのだが…、

 もしかして俺が昨日倒れたことをユウちゃんが知っていたのはこの人と話したからかな?


「調子はどうかしら?」

「えっと、問題ないです。

 昨日はありがとうございました。」


「良いのよ、私がお願いしたことだもの。それより…。」

 そう言ってしゃがみ込んでユウちゃんと視線を合わせるへーティさん。

 さすがに気づきますよね。


「ね?言った通りでしょ?騎士(ナイト)様はあなたを守ってくれるわ。」

「うん♪」

 ユウちゃんはご機嫌な様子。

 話の流れから俺が騎士(ナイト)と表現されているんだろうが本当に何があったんだろうか?


「お兄ちゃん、そろそろユウはお仕事行ってくるね!」

「うん、今日もありがとう。また明日もよろしくね。」

 俺は手を振りながらユウちゃんを見送った。


 見送ったあと俺は疑問を投げかけた。

「ユウちゃんと何があったんですか?」

「ふふふ、アタシに最高のモルモ…いえ、最高の弟子ができて嬉しいってことを彼女に伝えてお礼を言っただけよ。」


 なるほど。昨日の予定通り、へーティさんの興味を俺が引きつけられたってことか。

 モルモットとか言いかけてたのは気になるが、それならユウちゃんに再度興味がいかないようにしないとな。

掘り返してボロでも出そうものならいたたまれない。


 話に区切りをつけて今日の修行内容について聞いた。

「それで今日はいかが致しましょうか?」

 ただ聞いては見たもののだいたい予想はついている。


 ユニークスキル<反転者>を使った魔術だろう。

 火炎魔術以外ではどういった感じになるのか、へーティさんが興味を抱かないはずがない。


 だが答えは予想外のものだった。

「そんなのきまっているじゃない、アタシのユニークスキル<変換者(かえるもの)>を獲得してもらうわ!」

毎日(週7話)12時30分投稿予定です。

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