冒険者ギルドにて
出口にある関所みたいな場所に入ると受付の60歳くらいだろうか、お婆さんが出迎えてくれた。
少し視線が冷たい気がする…。
「さっきレナが顔を真っ赤にして出ていったけど何かしたのか、異世界人よ?」
あー、そういうことか…。
俺はあたふたしながらお弁当を一緒に食べることになったから恥ずかしがって、と誤解を解く。
「あはは、そっかそっか、すまんの、勘違いであったか。
レナはの、ずっとお主のこと待っておったのだからちょっと情がわいておったのじゃ。
変な出会いじゃなかったら良かった」
俺は疑問に思っていた、レナさんはどうして俺を待っていたのだろうか?
「深い理由は聞いておらん、お主を待っておる事だけは聞いていた。
ただ…お主を待つ理由と関係あるかどうか知らなんだが、あの子は特別な存在だということじゃ」
「特別?」
「そうさね、ワシが知っておることはあの子も異世界人だが異世界で命が終え転生できたわけじゃない。
ただ転生でない場合、本来であれば複数の魔術師がゲートの魔方陣に膨大な魔力を込め転生を行う。
緻密な制御を行う事で、必要とされる人物を召喚の儀式で召喚するだけども、それとも違う。
あの子は突然ここに現れた。
本来であれば転生者がここへ来る際は少し前からわかるものなのじゃ…。
あの子がお主を待っていたようにな、だけどレナの場合その兆候もなかった。
異世界での記憶もほとんど持っておらんと言っておったしな。」
彼女はたぶん話したがっていないんだろうか、もしくは話せない理由があるのか。
お婆さん曰く、異世界にきたのも何かに巻き込まれた可能性が高いらしい。
一緒に冒険することもできるのだからレナさんのことは少しずつ知っていけばいい。
お婆さんは一息ついて説明を始めた
「まず冒険者ギルド登録について説明するわね。冒険者のランクは上からS下はGとなっておる…
っと名前聞いてなかったわね、まずは私は冒険者ギルド冥宮殿出張所のジューザよ」
「おれは柳悠斗…悠斗柳?でいいのかな?」
「ファミリーネームは後ろだからユートヤナギね、さてランクについてユートに関してはGから始めることになるわね。」
「なるほど、その辺は一緒か…」
「おや、知ってるのかい?今まで来た異世界人からは異世界に冒険者なんてなかったときいてたよ?」
「あ、いやそういった本がたくさんあったというだけですよ。」
「冒険者もいない世界で冒険者の本がでているなんて変わった世界じゃな、
話が逸れちゃったけどつづけるぞ。ランクをあげるのは何も冒険者だけではない。
例えばレナね、レナは冒険者としての実績はないけど料理人としての実績は多数ある、
おかげで高ランクで個人のお店を持つことも許されてるほどにな。」
「へぇーそういったシステムなんですね。」
「あぁ、じゃがただあくまで料理人としてのランクだからの、冒険者としてのランクはGのままのはずだ。」
なるほど、料理人になるしても冒険者になるにしても実績が必要なのは変わらないということか、実績はあくまでその分野のみ。
しかし店を出せるのは高ランクのみでレナさんはその高ランクに入る実力なのか…。
そんな人のお弁当か、すごく楽しみで仕方がないの一言につきる。
「さて、あとは異世界人の人に説明しないといけないのがスキルや職業についてなんだけが…。」
そこで俺は先程レナさんからある程度説明を受けたからと飛ばしてもらった。
わからなければレナさんに聞いてもいいからね、決して早くご飯を食べたからじゃない。
聞いたことを再度説明させてジューザさんを煩わせたくない俺の気持ちを理解してもらえると思う。
「そうかい、それじゃスキルと選べる職業の確認でもするぞ。
もちろんここで鑑定された結果が外に漏れることはないから安心してよい、報告義務のある職業が選ばれない限りはだけど。」
報告義務のある職業ね…おそらく魔王さんなんだろう、レナさんから聞いた危なそうなのはそれだけだが他にもあるのかな?
「さて、鑑定!。」
するとジューザさんの顔が真っ青になる
…え、いや、ちょっとまって、たしかにさ魔王さんが街作ったりする小説読んで憧れてたよ?
だからそれでそんな簡単に魔王はないよね?
いやいや、勇者ものもあったしそれで勇者にも憧れてたし英雄ものもいっぱい読んで憧れてたよ、
本当だよ、いきなり魔王で異世界生活監視付きとか絶対嫌だよ。
俺は恐る恐る口を開く…。
「あ、あの…大丈夫ですか?顔真っ青ですが…その…報告義務のある職業とかでてきてないですよね、でてきても選ばなければいいのかなーなんて…ははは…。」
ジューザさんは落ち着きを取り戻し口をひらく
「……ここまで変わった子は初めてだよ。」