女の子の武器
できれば今日中に調整を終わらせたく思います。
「おはようございます。」
挨拶は基本だからね。とりあえず目が覚めて呟いてみたものの返答はなく…。
隣のベッドは綺麗に畳まれていてレナさんはもういなかった。
寝顔見られたかなと少し恥ずかしくなったが、俺も一度はレナさんの寝顔を見ている、おあいこだな。
顔を洗い酒場の方へいくとチェスカさんが話しかけてきた。
「おや起きたのかい?ちゃんと眠れたかい?」
「おはようございます、チェスカさん。
ベッドがふかふかで最高でグッスリでしたよ。
それでレナさんは…?」
「それはなによりだよ。
リーファレナならご飯つくってるが、呼んでこようか?」
「あ、いえ、大丈夫です。邪魔するのも悪いので席の方でまっていますね。」
そう言って俺は空いている席に座る。
酒場とは言っても朝も食事処としてやっているらしく数人の客がいる。
席に着くとレナさんがすぐにご飯を持ってやってきた。
「おはようございます、悠斗さん。」
「おはよう、レナさん。いつもありがとう。」
「いえいえ、悠斗さんに食べてもらえるだけでも嬉しいのにお礼まで頂いて…。」
いろんなことを嬉しそうにしてくれるおかげで俺も嬉しくなる。
「レナさんも一緒に食べよ!」
「はい、それでは失礼しますね。」
レナさんが隣に座ってきた。
昨日は前だったのになんでだろう?
「レナさん…?」
「えっと…ダメでしょうか?」
レナさんは上目遣いで聞いてくる。
こんなことされてイヤと言う男を俺は知らない。
「そこにいてください!」
俺は二つ返事でお願いする。
何かいい夢でも見たのかな?
朝からご機嫌なレナさんが見れて俺も幸せだ。
朝食はいつも通り美味しくておかわりしそうになったくらいだ。
しなかったのは修行で吐くわけにもいかないからね…。
そのかわりユウちゃんの分を含めお弁当はもらった。
今日はこれを希望に頑張ろう。
支度もそこそこにレナさんとはここから別行動。
何をしているか知らないが、レナさんもレナさんで修行みたいなものだろう。
「それじゃ、レナさんも頑張ってね!」
「はい、悠斗さんも無理なさらずに、です。
終わりましたら昨日と同じようにお伺いしますね。」
俺は「また後で!」と軽く手を振って宿を後にする。
ギルドに到着した俺はまずやらないといけないことがある。そう、ヒロナさんの件だ。
このままでは噂の広がりとあらぬ噂まで広がりかねない。昨日ガツンといくと決意したんだ。
さぁいくぞ…。
「おはよう、ヒロナさん。」
「あら〜彼氏さんじゃないですか〜おはようだよ〜。」
相変わらずのほほんとした喋り方だ。
本当にこの人を怒らせたらいけないんだろうか?
そもそもこの人は怒ることはあるんだろうか?
今日は俺が怒る番だからそんな疑問は今はどうでもいいんだ!まずは冷静に要点を伝えよう。
「ヒロナさん、ちょっとお話が…」
「ん〜?なにかな〜?レナちゃんとの熱い夜について教えてくれるのかな〜?」
「そう!それですよ!」
咄嗟に反応してしまったが、まずい方向に向かってしまった。
「おいおい、レナさんとお前が、なんだって?」
「兄貴、俺の聞き間違いじゃなければこいつ、レナ姐さんと熱い夜を過ごしたとか!」
「ほう?聞き間違いじゃなかったか。
坊主、ちょっとつらぁ貸せや。」
へんな人に絡まれてしまった。
「ちっがーーーーーう!」
ついつい叫んでしまったが、少し後ずさりしてくれたから俺はヒロナさんと話しを続ける。
「俺とレナさんはそういう関係じゃないですって!
それに彼氏でもないです!俺の名前は柳悠斗と名乗りませんでしたか?」
「ん〜?知ってるよ〜?レナさんの彼氏がイヤなのかな〜?」
「まだ彼氏じゃないんで!その辺はゆっくりお互いを、ね?知っていく途中だからいきなり同室とかは心臓に悪いの!」
「なるほど〜。レナさんと熱い夜に身体も心もドキドキと〜。」
中身はおっさんなのかっていうほどそっち方面に話をもっていきたいようだ。
「あーもーーー!」
「あらあら〜冗談だよ〜。揶揄うのもほどほどに、だね〜英雄さま〜。」
「そう!それもだよ!おかげで酔っ払いに絡まれるわで、レナさんもちょっと怖かったり大変だったんだよ!」
「ん〜?英雄様は英雄様でご不満〜?」
「そうじゃなくて!ヒロナさんがその…、ガッツさんに否定してなかったこととか、俺が英雄だと広まってるとか、いろいろなことにヒロナさんが関わってることですよ!」
「あ〜あれね〜。どうしようかな〜と思ってた時に〜閃いたんだよ〜。
そうだ〜、英雄様に勝てたらいいよ〜ってね〜。」
……思ってた以上に軽いノリだった。
「俺が負けたらどうするつもりなんですか?」
「ん〜負けちゃうの〜?」
「俺、新人冒険者ですよ?」
「優勝するなら〜関係ないよね〜?」
どうしてこの人は俺が優勝前提なんだろうか?
「いやいや、ユウちゃんだって出てきますし。」
「ん〜まぁ〜ユウラシアちゃんに負けるなら〜相手にもチャンスが無かったってことで〜また迫られちゃうかも〜?」
「…できるだけガッツさんに勝つ努力はしますが今後は俺を出さないでくださいね!」
「ん〜わかったよ〜。で〜も〜、それって〜これからはユウトさんを頼ったらダメってこと〜?」
上目遣いで聞いてくるポーズは女の子の武器だな。
まさか一日でレナさんだけじゃなくてヒロナさんにまでされるとは思わなかった。
初めてまともに名前呼ばれたことも相まって、ちょっとだけドキッとした。
「え?いや…そういうことじゃないんだけど…。」
「今度からも頼っていいのかな〜?」
「…はぁ…、大ごとになる前に言ってくださいね。」
「わかったよ〜、これからもよろしくね〜。」
そう言ってヒロナさんは屈託のない笑顔を向けてくる。
なんだかうやむやにされて言い包められた気がするが、頼られるのも悪くないかな、と自分自身でちょろいなと思う出来事だった。
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