おさらい
「はぁ…疲れた…。」
俺は緊張がとけてその場に倒れこむ。
スキルの組み合わせ、か。
俺は確かにいろいろなスキルを持っている。
だけど極めることができないスキルを組み合わせたところで、果たしてへーティさんにダメージを与えられるのだろうか?
まぁやってみなくちゃわからない。
今は言われた通り、今日のおさらいをしていこう。
まずはユウちゃんの剣術。
魔術の力だけで蒼炎の戦姫と呼ばれているにも関わらず、剣ですら手も足も出ない。
剣術の上位スキル、剣聖術を持っているから当然の結果。俺とは経験が違う。
ユウちゃんが一人で人生の半分を戦いに生きた結果。
身近な人が殺され、仇を討てるくらい強くなること願い、そして強くなった。
俺が病院のベッドで塞ぎ込んでいた間、あの子は戦い続けたのかと思うと遣る瀬無い。
魔獣戦後に毎日お見舞いに来てくれてたのも、きっと近くで人が死ぬのが怖かったんだろう。
どんなに強くてもまだまだ小さな女の子なんだ。
彼女がいつまでも笑っていられるくらい強くなりたい。
なんたって俺はお兄ちゃん、だからな。
心配されなくて済むように少しでも追いつこう。
やる気をだして今から頑張りたいが、流石に身体を動かせないから動きをイメージだけする。
俺のユニークスキル<憧憬者>はイメージトレーニングだけでもだいぶ違うはずだ。
ユウちゃんの構えはいたってシンプル。
剣道でいうなら中段の構えかな?
基本に忠実とはああいうのをいうのかもしれない。
戦い方も無理せず相手の動きを見極める。
俺が切り掛かっても受けとめるではなく受け流す。そして受け流しながら攻撃に転じる。
剣術に関してはユウちゃんを基本に考えよう。
2週間きっちり剣を学ぶだけでも 、今とは違った世界が見えると思う。
次に魔術のおさらいだがこれは思った以上の収穫だった。
共有スキルで火炎魔術を使ったことにより、火魔術の精度が上がっていたこと。
おかげでへーティさんの変なスイッチが入ってしまったが、そこは目を瞑るしかない…。
その分、全上位魔術を体験使用する事ができた。
魔力切れを何回やったかな…。
辛い出来事ではあったが、損ではないのだ。
そこでふと思い出す。使ったものは全魔術だったかな?
鑑定して思い出す。そう時魔術だ。
その説明は何も受けてなかった。
とはいえ今日はもういないし明日に持ち越しだな。
そして何よりの収穫がスキルの組み合わせだ。
ユウちゃんにも聞いていたが、まさか全力全開の火の玉でダメージすら与えられないのはショックだったな。
あれが今の俺の限界…。
へーティさんとの実戦のためにもなんとか形にしないといけない。
それにへーティさんやユウちゃんができるということは上位冒険者必須の技能なんだろう。
へーティさんにダメージを与えれるというユウちゃんの意見も聞いてみよう。
こんな感じでイメージトレーニングとおさらいをしているとレナさんが部屋に入ってきた。
倒れている俺を見て駆け足で近づいてきた。
「悠斗さん!?大丈夫ですか!?」
「あ、ごめん。大丈夫だよ、レナさん。」
俺は身体を起こして笑いかける。
「それは良かったです。本日はいかがでしたか?」
「思ったよりも順調だったよ。ユウちゃんは可愛い女の子だけじゃないし、へーティさんもいろいろあったけどちゃんとした先生だなって。」
「…悠斗さんはモテますからちょっと心配です…。」
レナさんが少し拗ねているようだった。
ヤキモチというやつだろうか?
少し嬉しくなったが身に覚えがない。
「え?俺がモテる?いやいや、ないない。
さすがにそれは話を盛りすぎだよ。」
慌てて否定し悲しくなる。
「そんなことありません!現に私や、ユウちゃんだってあんなに気を許してるではありませんか!?」
「ユウちゃんはやっぱりまだまだ小さな女の子なんだよ。
今日一緒にやって思うこともあった。
お兄ちゃんが守ってあげれるくらい強くならないと、ね。」
「悠斗さん、もしかして…、いえ、それよりもユウちゃんが、というよりお兄ちゃんとよんでくれる小さな女の子がお好きなんですか……?」
ロリ○ン認定されそうな雰囲気だ。
流石にユウちゃんの過去は言うわけにはいかないが、疑惑だけは慌てて否定する。
「ち、ちがうよ!ユウちゃんだけじゃない。レナさんの笑顔だって守りたい、そう思っているよ!」
「ふふふ、ありがとうございます。
でもごめんなさい、冗談ですよ。お兄さんがユウちゃんのことばかり言うから少し嫉妬してしまいました。」
…?レナさんからお兄さんと呼ばれる違和感。
なんだろうと思っているとあどけない笑顔を見せてくれるレナさん。
…冗談だったのだろう。
「レナさん…。心臓に悪いから普通でお願いね?」
「ふふふ、残念です。」
そんな笑顔を見つつ、こんなまったりな生活も悪くないかなと思い俺も笑みが溢れる。
そして話題切り替えるようにレナさんが
「本日もギルドに泊まられるのですか?」
「さすがに体調もよくなっているからここを使うわけもいかないし宿に戻るつもりだよ。」
「それでは一緒に戻りましょうか?」
「ただもう少し待ってもらえるかな?ちょっと疲れて…。」
「わかりました。それでしたらお隣に座ってもよろしいですか?」
「うん、大丈夫だよ。」
そう答えるとレナさんは寝そべっている俺の隣に座った。
「ありがとうございます。それと悠斗さん。本日はお疲れ様でした。」
レナさんはその言葉とともに笑顔で頭を軽く撫でてくれた。
俺は照れくさくなり目線を外す。
「レナさんもありがとう。ユウちゃんもお弁当、すごく喜んでた。明日もお願いしていいかな?」
「はい、もちろんです。悠斗さんやユウちゃんに頼られるのは嬉しいですね。」
そこからは今日の特訓内容やユウちゃんの格好良さをアピールしつつ、へーティさんの変態性など他愛のない話で盛り上がった。
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