修行開始
異世界きて敵を一体倒して次にすることは修行。
でも仕方ない。俺は中途半端で弱い。
武闘大会に出てスキルを活かして強くなるために、まず相手の前に立つために今より強くなること。
強くなるためにまずは強くなるとか、どこのバトルジャンキー漫画だよ。
でもこの世界で強くなることは悪い気はしない。
こんな俺でも人を救えることが嬉しかった。
ただ強くなるというのも漠然としていたので、大会出場にあたって一つの目標を設定することにした。
最初は優勝だ!のつもりだったが、難しいと悟る。
ギルドの本戦出場推薦枠の1人はユウちゃんだった。
ニコラさんに頼まれて前は断ったみたいだが、俺が出るって聞いて、枠を無理矢理空けてもらったらしい。
…推薦枠の人を説得したのはヒロナさん。
空けた本人も蒼炎の戦姫様が復活するって喜んで譲ってくれたと、ヒロナさんが笑顔で話していた。
おっとりお姉さんが、いたずらっぽい笑顔で言うと勘繰ってしまうが君主危きは近寄らず、だ。
俺は深く突っ込まないことにした。
だからまずは本戦出場が目標だ。
そこからはユウちゃんにあたるまで負けない。
ユウちゃん相手は全力で修行の成果をみてもらう!
修行するにあたって、先生をお願いした2人だけど、へーティさんは陽が落ちるまでギルドの仕事があり、ユウちゃんは陽が落ちてから見習い修行。
必然的にユウちゃん→へーティさんの順で修行となった。
修行期間は2週間。出場を決めた時は一か月あったが、へーティさんから絶対安静の解除がでるまで1週間かかった。
そこから残り大会まで3週間だが、2週間修行なのは残りの一週間で安全に召喚魔術をするためだ。
召喚魔術をするには俺がこの世界にやってきた場所、冥宮殿がいいらしい。
異世界人がくる場所でもあるが、生を作り出したルージュさんのお膝元。
召喚魔術と相性がいいという理由だ。
そう決定したが、レナさんがソワソワしている。
いろいろ悩んで何か言いかけたと思ったら俯いて、それなのに嬉しそうな顔になったりと表情が多彩だ。
いろんな表情がみれてこっちも楽しくなる。
嬉しそうだからいいかな?と俺は特に気にすることもなかった。
修行はギルド登録ができる水晶部屋ですることになった。
派手な戦闘しても部屋が元に戻る最新鋭設備だ、とニコラさんが嬉しそうに語ってくれた。
私財を投げうって作ったから自慢したいらしい。
スルー推奨だよ〜。とヒロナさんからアドバイスをもらっていたので、今日ギルドへ赴いた際は一言、使いますっと言って挨拶を終え修行部屋に向かった。
「よろしくお願いします!ユウラシア先生!」
俺は教えてもらう立場だと意思表示をしたが、ユウちゃんはお気に召さないようだ。
「もーお兄ちゃん!背中がヒヤッとしたよ!
普通でいいよ、普通で!」
「わかったよユウちゃん。これから2週間、よろしくね。」
「それでお兄ちゃん、修行だけど何から始めたらいい?」
「あのーユウちゃん?それ俺のセリフなんだけど…。」
「あ、違うよ。剣と火魔術どっちからいいってこと!。」
「なるほど…ってユウちゃん剣使えたの!?」
「使えるよ?…あれ?知らなかったの?」
「蒼炎の戦姫と呼ばれてるから魔術メインだと思ってたよ。」
「えへん、ユウは剣聖術持ちなのですよ。」
ドヤッと子供らしい胸を反らす。
ユウちゃん曰く、剣聖術とは剣術がいつのまにか剣聖術になってた!だそうだ
…進化したってことだろうか?
いつの間にか、というのは語弊があり剣聖術に限らず、上位スキルは魔力を使った性能が劇的に変わるから使っていると進化したことはすぐにわかるらしい。
ユウちゃんは、持っている希少武器を取り出してくれた。
さすが上位冒険者、普通に持ってるんだ…。
ユウちゃんはそれを床に軽く突き刺して「持ってみて?」というので引き抜こうとした。
最初は軽く引き抜こうとしたが抜けない。
次に「フンッ」と気合入れたがダメだった。
…どんなに力を入れても抜けない。
どう見ても軽く刺さってるだけ。
重いとかではなく拒まれている感じがする。
これがレナさんから聞いていた熟練度が高くないと扱えない武器。どういう原理かわからない。
勇者や魔王のように世界に選ばれた結果なのだろうか?
ユウちゃんは剣を床から簡単に引き抜いた。
小さな女の子には似つかわしくない姿だが、軽々と振っている。
ユウちゃんは剣を収納させて木刀を二つ取り出し、片方を俺に渡した。
流石に修行では木刀か。
「久々だから手加減できないよ。」
その一言を最後に何をしていたのか覚えていない。
ユウちゃんの攻撃を防ぐので精一杯だった。
ユウちゃんが軽く勘を取り戻したいから、ということで手合わせのみとなった。
魔力を使わず、剣の動かし方、身体の使い方を実践方式で学ぶ。
思い通りに身体を動かせる魔力を使った戦い方は、基本の動きから流れで使っていく。
それ故にまずは基本の動き方だ。
魔力を使わずとも剣術と剣聖術、スキルの影響が全くないわけではない。
というか相手にすらなってない。
俺が動いていられるのも手加減できない、といいつつ出来る限り手加減してくれているからだと思う。
それでも打ち合いも長くは続かず、息が上がったため休憩となり、休憩中はユニークスキルの話題となった。
ユウちゃんの<反転者>は戦闘特化の便利なスキルだった。
燃やすと凍らせる、二つの蒼炎を操るだけではなく剣聖術にも取り入れて戦うスタイル。
見せてもらった武器は物凄く軽く、簡単に刃毀れする剣だそうだ。
何故そんな欠陥武器が希少武器かと言うと、斬る、に主観を置いてない魔術補助が剣の本来の使用用途らしい。
もう一度見せてもらったが本当に刃毀れしている。
その剣にユニークスキル<反転者>を使うことで重く頑丈な近接武器へと早変わりするそうだ。
重い武器だろうとスキルの熟練度で重さの感じ方が変わる世界。
重いことが使用武器を選ぶ際のデメリットにはならないそうだ。
この辺りはレナさんに習った通りか。
俺のスキルは<憧憬者>、今のところ憧れることで発動するかもってことはわかっている、学習特化といえるだろうか?
憧れるの範囲は正直わかってない。
そう話すとユウちゃんは徐に立ち上がり
「ユウお兄ちゃんに憧れてもらえればいいんだね!」
ユウちゃんが一言呟き俄然やる気になり、休憩終了となった。
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