可能性
「報酬はレナさんと相談してから決めるとして、問題があるとすればレナさん自身の事だけど…。」
「そういえば看病している間も彼女、元気なかったわね。あなたが目覚めないからとも思っていたけど何か理由があるのかしら?」
へーティさんも気になっていたようだ。
「俺が意識を失ったあと何もできず自分の無力さを痛感した、と言っていた。
魔術による回復ができなかったからだろうけど、それは俺がまだまだ弱かった話だと思う。
でもレナさんの悩みはたぶん、魔力がないことが根本にあると思うから、どう言ったらいいのかわからなくて…。」
「討伐前にも話したましたが、僕の知る限りでは唯一レナさんは魔力を宿していない人物です。
魔力が空っぽの状態はそれだけで危険な状態です、あなたが経験したように。
だけど彼女は普通に生活も、戦闘すらこなせる。
魔術の素養は、魔力がなく使えないにもかかわらず、ユウトさんが共有した通り敵を殲滅し得るほどです。
僕たちからしたら異世界人はみな特殊です。考え方が違うこともある。
その影響でこの世界に来る際、魔力を宿さないことを彼女自身が望んだのかはわかりません。
緊急討伐依頼を出して、苦しめる原因を作った僕が言うのも心苦しいのですが、彼女自身が回復魔術を使えないことを恐れるというなら、解決策がないこともないです。」
「解決策?」
「単純なことです。戦力を増やすことです。」
そうか、メンバーは二人である必要がないのか。
どう言ったメンバーを増やすかは考えないとな。
まずは…
「それじゃパト…
「僕は調合屋の仕事がありますので!」
「…それじゃ今回の言い値の報酬は…
「レナさんと相談ですよね?」
「……」
一緒についてきてはくれないようだ。
へーティさんはギルドの仕事が忙しいだろうし他はユウちゃんかな?
ただユウちゃんは自分のやりたいことをやっている。だから誘うのは気がひける。
この辺もレナさんと相談だな。
「レナさんの件は僕が原因だ。僕の方は魔力を宿す何かいい方法がないか探してみます。」
「それならアタシも探してみるわ。魔力を必要としない魔術、なんてものも楽しそうだもの。」
「ありがとう、パト、へーティさん。助かる。」
へーティさんの顔は、レナさんのためっていうより新しい玩具を手に入れた子供のような顔だった。
この人は魔術関係になると綺麗なお姉さんから残念美人になるようだ。
俺は心の中でレナさんに被害がいかない事を祈るしか出来なかった…。
「ほかにあるとすれば、ユウトさん自身が強くなることです。」
「確かに俺が弱かったら、いつ戦闘不能になるか分かったものじゃないからな。
それではレナさんも安心して戦えない、か。
とはいえ、簡単に強くなれたら苦労はしないしまずパーティーメンバー探しからだな。」
「ギルドには新人冒険者もいっぱいいます。
今やユウトさんは時の人。英雄様ですから引く手数多ですよ。」
まだ揶揄うのか…。
そんな会話の中、へーティさんがとんでもない事を言ってくる。
「あなたが今より強くなるだけなら正直なところ簡単だと思うわ。」
「それはどういう…?」
「どういう事ですか?」
俺とパトが声を揃えて聞いた。
だがへーティさんは気まずそうにパトの方を見る。
「その、ユウトさんのスキルのことなんです…。」
あーなるほど。それで納得した。
「ユニークスキルか。パトにも聞いてもらっていいよ、意見が欲しい。」
「わかりました、お役に立てるならせめてもの恩返しになります。」
「ユニークスキル憧憬者の効果を利用する、ということです。
あのスキルを用いて魔術の実け…ゴホン、教育していた時にわかりました。
もともとスキル適正もたかいわけではないからすぐに上限に引っかかるけど、成長速度は格段に良くなると思います。」
「魔術にしても武器術にしてもだれかに憧れることで、魔術のように多少は扱えるようになる、ということか。」
「問題は経験に見合うだけの成長ではないことね。
急激な成長で、頭ではわかっているのに身体が違和感を発する。
その頭と体の動かし方の折り合いが早ければ、あなたは飛躍的な成長すると思うわ。」
なるほど、へーティさんが俺のままでいなさい、と言ったのは成長に合わせて強くなれってことだったのかな?
いきなり強敵だったから強くなる事に意識が行きすぎていたのかもしれない。
選択肢の一つとして考えておこう。
「何にしても身体を戻すことから始めないとな。」
俺は二人にお願いして、治療を続けてもらうことだった。
毎日12時30分投稿予定です。
ストックは作らず行き当たりバッタリの作品ではありますが、しばらくは毎日投稿(週7話)は基本的に守れるようにしていますので、気軽に読んでもらえたら嬉しいです。
仕事の都合により投稿できなかった場合、週末2話等調整致します。




